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帯状疱疹は何科で診てもらう?症状や治療方法について詳しく解説

監修医師 田頭 秀悟
更新日:2024年07月24日

更新日:2024年07月24日

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年を重ねると共に、私たちの身体はさまざまな健康課題に直面します。その中でも、帯状疱疹は特に注意しないといけません。帯状疱疹は免疫力の衰えが引き起こす皮膚疾患で、しばしば激しい痛みを伴います。

帯状疱疹は、生活の質を著しく損なうことがあり、50歳以上の人々や女性に多く見られます。しかし、実際には若い方や男性の方にも発症する可能性がある病気です。この記事では、帯状疱疹の症状や治療法について、わかりやすくご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じウイルスが原因で起こる病気です。子どもの頃に水ぼうそうにかかった方の体内に、そのウイルスは隠れて生き続けていると考えられています。そのため、何年も後でも身体が疲れたりしたときに、このウイルスが再び活動を始め帯状疱疹として現れることがあります。

 

帯状疱疹は、体の片側に沿って痛みを伴う赤い発疹や水ぶくれが出るのが特徴です。多くの場合、上半身に現れますが顔や目の周りに出ることもあります。

 

50歳以上の方に多い皮膚の病気です。ただし、若い人でも発症することがあります。ほとんどの方は一生に一度だけの発症ですが、免疫力が落ちている方は何度も繰り返すことがあります。

 

帯状疱疹自体は、他人にうつることはありません。水ぼうそうにかかったことがない子どもには、水ぼうそうとして感染するリスクがあるため注意してください。もし帯状疱疹が何度も繰り返す場合は、他の病気が隠れている可能性があるため、医師に相談しましょう。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹は身体の中にずっと隠れていた水ぼうそうのウイルスが、ある日突然活発になることで発症する病気です。

 

子どもの頃にかかる水ぼうそうのウイルスが、大人になってから再び活動を始めることで起こります。水ぼうそうを経験した後、ウイルスは体の中で眠っているような状態になりますが完全には消えません。そして、何らかのきっかけで免疫力が落ちると、このウイルスが目を覚まし帯状疱疹として現れるのです。

 

帯状疱疹が起こるきっかけは人それぞれですが、ストレスが多い時、身体を酷使している時、年を取って免疫力が落ちた時、または他の病気で体が弱っている時などがあります。日本では大人の約90%がこのウイルスを体内に持っていると言われており、誰でも帯状疱疹を発症する可能性があります。

帯状疱疹の症状

帯状疱疹は一見するとただの皮膚の病気のようですが、実は神経に関連した深刻な症状を伴うことがあります。

 

帯状疱疹は、最初に体の片側に限定された神経の痛みから始まります。この痛みは、しびれるような、刺すような感じが特徴です。そして、数日から1週間ほどで、痛みのある部分に沿って、赤い斑点や小さな水ぶくれが帯のようにたくさん現れます。これらの症状は夜間に特に強くなることがあるため、症状が辛いときは寝られません。

 

治療を行うと通常は2〜3週間で症状は改善しますが、高齢者の場合は痛みや感覚異常が長引くことがあります。これは帯状疱疹後神経痛と呼ばれる後遺症です。痛みが数ヶ月以上続くことがあり、50歳以上の方で痛みが強かったり皮膚の症状が重かったりすると、このリスクが高まります。

 

帯状疱疹は症状が出る場所は人によって異なりますが、身体の上半身に出ることが一般的です。顔にも症状が出る場合があり、目や耳に影響を及ぼす合併症が起こることがあります。また、腰や下腹部に症状が出た場合には、排尿困難や便秘を引き起こすこともあります。

帯状疱疹の前兆

帯状疱疹が始まる前に、身体にはいくつかのサインが現れることがあります。これらのサインを「前兆」と呼びます。

 

最初に感じるのは、患部に起こる痛みや違和感です。この痛みは、ピリピリしたり、チクチクしたり、鈍く重たい感じだったりと人によってさまざまです。かゆみを感じることもあります。

 

痛みや違和感が数日から1週間ほど続いた後、皮膚に赤い発疹が出てくるのが帯状疱疹の典型的な始まり方です。その後、発疹は水ぶくれや嚢胞(のうほう)、潰瘍(かいよう)、そしてかさぶたへと変化していきます。

 

帯状疱疹の症状は、体の片側に帯のように現れることが一般的です。全身どこにでも出る可能性はありますが、特に胸や顔に出やすいとされています。

 

帯状疱疹の前兆としては以下のような症状があります。

 

・皮膚の痛みや違和感

・赤い小さな発疹

・水ぶくれ

・嚢胞

・潰瘍

・かさぶた

 

これらの症状が見られたら、帯状疱疹の可能性があるため、早めに医師の診察を受けましょう。特に痛みや発疹が一方の体側に集中している場合は、注意してください。

帯状疱疹の発症部位

帯状疱疹は特定の部位によく現れる傾向があります。顔、首、腕、お腹、脇の下、背中など神経が集中している場所です。体の片側に沿って、帯を巻いたような形で発疹が出ます。

 

目の周りに出る帯状疱疹は、眼部帯状疱疹と呼ばれ、目に関連する炎症を起こす可能性があるため注意してください。首に発症した場合には、手のしびれや腕の動きに影響が出ることもあります。脇の下は神経が密集しているため、痛みが強く感じられることが一般的です。

 

帯状疱疹が出やすい部位とその発症割合は以下の通りです。

 

・頭部~顔面: 約18%

・頸部~上肢: 約15%

・上肢~胸背部: 約30%

・腹背部: 約20%

・腰臀部~下肢: 約17%

 

最も発症しやすいのは上肢から胸背部で、約30%の割合です。次に多いのは腹背部で、約20%です。体の神経は互いに関連しているため、一箇所に問題が起きた場合、他の部位にも影響を及ぼすことがあります。

帯状疱疹の発症年齢

帯状疱疹は、60代の方に最も多く見られる病気ですが、50代から70代の方にも発症が多くみられます。しかし、過労やストレスなどの影響で、若い世代にも発症することがあります。

 

以下に年齢別の発症率を紹介します。

 

・60代:22.3%

・50代:19.7%

・70代:16%

・40代:10.3%

・20歳未満:9.6%

・20代:7.8%

・80歳以上:7.7%

・30代:6.6%

帯状疱疹は何科で診てもらう?

帯状疱疹が疑われる場合には、何科を受診したらよいのでしょうか?

基本的には皮膚科を受診しましょう

帯状疱疹は皮膚にできる病気です。そのため、皮膚科を受診しましょう。診断して帯状疱疹と分かり早期に治療を開始すれば、皮膚の処置もでき痛みや他の不快な症状を抑えられます。

内科での診察も可能

もし皮膚に症状がなくて帯状疱疹の可能性がある場合、まずは内科を受診してもかまいません。また帯状疱疹は、神経痛のような強い痛みで始まることがあります。その痛みがある場合は、整形外科やペインクリニック(痛みを専門とするクリニック)での治療が必要になることもあります。

帯状疱疹で病院に行くタイミングは?

もし体の片側に痛みがあるけれど、他の病気のような症状ではないと感じる場合、注意してください。それは、帯状疱疹の初期症状かもしれません。

 

最初はただの痛みとして現れることが多いため、他の病気と間違えられることもあります。たとえば、偏頭痛や五十肩、狭心症、腰痛、虫垂炎などと間違えることがあります。

 

大切なのは、痛みに加えて皮膚に発疹が出た場合には、3日以内には皮膚科を受診してください。早めに治療を始めることで、後遺症が残らず完治する可能性が高くなるためです。

 

治療には抗ウイルス薬を使用し、通常は飲み薬か点滴で投与します。ただし、すぐに症状が良くなるわけではなく、ウイルスが活動を停止するまでには2〜3日は必要です。

 

もし「痛いけど、まだ大丈夫」と思って受診を遅らせると、症状が長引いたり、抗ウイルス薬の効果が十分に得られないリスクがあります。週末に症状に気づいた場合でも、土日診療している医療機関や救急外来を利用しましょう。治療期間は通常7日間です。

帯状疱疹の検査と治療法

帯状疱疹はどのように診断されて、どんな治療が行われるのか紹介します。

帯状疱疹の検査方法

帯状疱疹は、医師が症状や過去の水ぼうそうの経験の有無などを聞いて診断することが一般的です。この際に最近ストレスを感じたり、体が疲れているかなど、免疫力が落ちていないかも尋ねます。皮膚に帯状に赤い発疹や水ぶくれがあるかもチェックします。

 

皮膚の症状だけでは判断が難しい場合に行われるのが、細胞診という検査です。この検査では、水ぶくれの中身を取り出して顕微鏡でウイルスを探します。

 

血液検査では身体が帯状疱疹ウイルスに反応する抗体を作っているかどうかを確認できます。ただし、日を空けて2回行うことで最近感染したのか、ずっと昔に感染したことがあるだけなのか区別しないといけない場合があります。また発疹が出現してから数日経たないと正確な結果が得られないため、早すぎる検査は避けないといけません。

 

帯状疱疹のウイルスは長期間体内に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して症状を引き起こします。そのため潜伏期間中は、ウイルスがいつ活動を再開するかを予測することはできません。もし帯状疱疹を疑う症状があれば、医師に相談しましょう。

帯状疱疹の治療法

帯状疱疹の治療は、ウイルスの増殖を止めて痛みを管理することが中心です。治療には、ウイルスの増殖を抑える薬(抗ウイルス薬)と、その治療を補助する薬(ステロイド、ビタミン剤)、痛みを和らげる薬(鎮痛薬)が使われます。

 

抗ウイルス薬

症状が軽度の場合は飲み薬で治療が可能です。ただし、重度の場合や免疫力が低下している場合は、入院しての点滴治療が行われることがあります。また、ウイルスに直接作用する塗り薬を皮膚に使うこともあります。

 

ステロイド

帯状疱疹で発生する皮膚の炎症を抑える目的でステロイドという薬を抗ウイルス薬と一緒に使用することがあります。一般的にステロイドは長く使用すると様々な副作用が出てくることが知られていますが、帯状疱疹の場合は短期間(7日間)だけ使用するので副作用が問題になることはほとんどありません。

 

ビタミン剤

神経の回復を促す働きのあるビタミン剤(ビタミンB12)を抗ウイルス薬と一緒に使用することがあります。

 

痛み止め

発疹に伴う痛みや帯状疱疹後神経痛に対して使用します。痛みの程度に応じて、一般的な鎮痛薬から、必要に応じて神経ブロックという注射による治療が行われることもあります。

 

 

帯状疱疹が治った後に残る痛み(帯状疱疹後神経痛)には、鎮痛効果の強い麻薬性の薬の使用も選択肢の一つです。また、痛みがとても強い場合には、レーザー治療や再び神経ブロック注射を行うことがあります。

帯状疱疹が発症した際、日常生活における注意点4つ

帯状疱疹を発症した場合の日常生活での注意点を紹介します。以下のことに注意して、過ごすようにしましょう。

安静にする

帯状疱疹は、疲れやストレスがきっかけで出ることが一般的です。しっかり休んで、体をいたわりましょう。十分な睡眠とバランスの良い食事が、早く良くなるためには大切です。

水ぶくれをいじらない

水ぶくれをつぶしたりすると、感染の原因になることがあります。清潔に保ち、無理に触らないようにしてください。

妊婦や子どもとの接触を控える

一度かかると通常は免疫ができるため、帯状疱疹自体は他人にうつりません。ただし、水ぼうそうを経験していない小さな子どもには、水ぼうそうをうつす可能性があります。また、妊娠中の女性が水痘に罹患するケースは稀ですが、もし罹患した場合にはさまざまなリスクが発生します。

 

妊婦は水痘肺炎という重い合併症を発症するリスクがあり、これはウイルスが肺に感染してしまう状態です。また、出産前後に水痘を発症すると、新生児にウイルスが感染する可能性が高まります。

患部を冷やさない

患部が冷えると痛みが増すので、冷やさずに保温することがポイントです。ただし、直接肌に強い熱を当てると、やけどのリスクがあるので注意してください。

まとめ

帯状疱疹は、痛みが最初の症状として現れることが多いため、他の病気と間違えるかもしれません。原因のわからない痛みが出た場合、帯状疱疹の可能性も考えましょう。

 

帯状疱疹だった場合、治療を早く始めないと、症状がひどくなったり、長引く神経痛に悩まされることになるかもしれないためです。もし帯状疱疹かもしれないと感じたら、迷わず皮膚科を受診してください。

コメント 帯状疱疹の診療では、全身の皮膚を広く観察したり、水ぶくれがあれば検体を採取したり、必要に応じて血液検査を行ったりする必要があるため、原則として対面での診療が望ましいです。ただし、何らかの事情でオンライン診療を必要とする場面もあるかもしれません。その場合、患者さんがオンライン診療を受ける上で気をつけておきたいことを2つお伝えしたいと思います。1つ目はオンライン診療を受ける環境です。医師が皮膚の状態をよく観察できるように、必要に応じて服を脱ぐこともできる場所でオンライン診療を受けるようにしましょう。もう一つは早期に治療が開始できるかどうかです。帯状疱疹は早期に治療を開始できれば後遺症をきたすリスクを減らすことができると言われています。ですのでオンライン診療を受けた後すぐに薬を受け取ることができるように、地理的に近い病院でオンライン診療を受けたり、病院が遠くても処方を受けるのは近くにある薬局と連携してもらうなど、早期治療を開始できる体制でオンライン診療を受けるのが望ましいと思います。

監修医コメント

医師
田頭 秀悟

帯状疱疹の診療では、全身の皮膚を広く観察したり、水ぶくれがあれば検体を採取したり、必要に応じて血液検査を行ったりする必要があるため、原則として対面での診療が望ましいです。ただし、何らかの事情でオンライン診療を必要とする場面もあるかもしれません。その場合、患者さんがオンライン診療を受ける上で気をつけておきたいことを2つお伝えしたいと思います。1つ目はオンライン診療を受ける環境です。医師が皮膚の状態をよく観察できるように、必要に応じて服を脱ぐこともできる場所でオンライン診療を受けるようにしましょう。もう一つは早期に治療が開始できるかどうかです。帯状疱疹は早期に治療を開始できれば後遺症をきたすリスクを減らすことができると言われています。ですのでオンライン診療を受けた後すぐに薬を受け取ることができるように、地理的に近い病院でオンライン診療を受けたり、病院が遠くても処方を受けるのは近くにある薬局と連携してもらうなど、早期治療を開始できる体制でオンライン診療を受けるのが望ましいと思います。

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監修医師 田頭 秀悟
経歴:鳥取大学医学部 卒業 / たがしゅうオンラインクリニック院長 / 脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門とし、主として糖質制限食やストレスマネジメント指導を中心に内科疾患全般に対しての診療を行うオンライン総合診療医。 また東洋医学会専門医でもあり、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。 所属:たがしゅうオンラインクリニック
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