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リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 福岡 蓉佑
2021年08月29日
病院やクリニックなど医療機関で取り扱われる医療用医薬品「リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)」はご存知でしょうか。今回は皮膚外用合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)として知られるリンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)について成分の特徴や効果、副作用、市販薬の有無について解説していきます。

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)とは

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)は1966年に塩野義製薬株式会社が販売を開始した皮膚外用合成副腎皮質ホルモン薬です。薬の剤型には今回ご紹介する軟膏タイプをはじめ、クリームタイプやローションタイプも販売されています。

なお2019年4月に塩野義製薬株式会社からグループ会社であるシオノギファーマ株式会社に製造販売承認が承継されています。

有効成分にベタメタゾン吉草酸エステルはいわゆる「ステロイド」と呼ばれるお薬で湿疹や皮膚炎、乾癬などの皮膚トラブルに使用します。では、有効成であるベタメタゾン吉草酸エステルにはどんな特徴があるのでしょうか?

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)の成分について

リンデロン-V軟膏の有効成分であるベタメタゾン吉草酸エステルは副腎皮質ホルモン剤で別名ステロイドとよばれるお薬です。そもそもステロイドとはどんなお薬なのでしょうか?

ステロイドとは

ステロイドとは、体内で作られる副腎皮質ホルモンのことを指します。副腎皮質ホルモンは副腎という臓器で作られるホルモンのことで、これを人工的に合成した薬がステロイド剤です。ステロイド剤には塗り薬(外用薬)以外にも飲み薬(内服薬)、坐薬、吸入薬、注射薬など多くの種類が存在します。

ステロイドは主に炎症を抑える働きがあり、ステロイドの種類によってこの炎症を抑える強さ(ランク)が異なります。ではステロイドの主な働きと強さ(ランク)について詳しく見ていきましょう。

ステロイドの働き

ステロイドには以下の働きがあります。

・抗炎症作用
 細胞の中で炎症を起こす原因になる物質を作らせないように働きかけることで、炎症そ
 のものを抑える。
・細胞増殖抑制作用
 炎症反応を引き起こす細胞の数が増えないように働きかけます。
・血管収縮作用
 炎症している場所の血管を収縮(ひきしめる)ことで、患部の赤みを抑える。
・免疫抑制作用
 からだの中で抗体が作られにくいように働きかけることで、炎症を引き起こす免疫系の 働きを弱める。

ステロイドの強さ(ランク)

ステロイドは成分によって作用の強さ(ランク)がことなります。作用の強さ(ランク)によって5段階に分けられ、1番作用が弱い「ウィーク」からはじまり「マイルド」「ストロング」「ベリーストロング」「ストロンゲスト」の順に作用が強くなっていきます。

今回ご紹介するリンデロン-V軟膏の有効成分であるベタメタゾン吉草酸エステルは「ストロング」ランクに該当します。

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)はどんな症状に効果がある?

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)は以下の症状に効果があります。

・湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、 日光皮膚炎を含む)
・皮膚そう痒症
・痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)
・虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、光沢苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、ジベルバラ色
 粃糠疹
・紅斑症(多形滲出性紅斑、結節性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)
・紅皮症(悪性リンパ腫による紅皮症を含む)
・慢性円板状エリテマトーデス、薬疹・中毒疹、円形脱毛症(悪性を含む)
・熱傷(瘢痕、ケロイドを含む)、
・凍瘡、天疱瘡群、ジューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡を含む)
・痔核、鼓室形成手術・内耳開窓術・中耳根治手術の術創

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)の用法・用量は?

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)の用法・用量は以下の通りです。

通常、1日1〜数回、適量を患部に塗布する。
なお、症状により使用量を増やしたり、減らしたりすることがあります。

では適量とはいったいどれくらいの量なのでしょうか?ここでは塗り薬を使用する際に知っておきた『1FTU」について詳しく説明します。

1FTUとは?

ステロイド外用薬の場合、薬の効果をしっかり得るために塗る分量の目安としてFTU(フィンガーチップユニット)と呼ばれる単位が使われています。大人の人差し指の先から第1関節までの長さにクリームや軟膏がのる量「1FTU=約0.5g」を大人の手のひら2枚分の面積に塗る目安とします。

例えば患部の広さが大人の手のひら1枚分の大きさなら、人差し指の先から第1関節の長さの半分の長さが目安の量となります。

1FTUを覚えて、必要な量をしっかり塗ることが大切です。

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)の副作用

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)の重大な副作用に眼圧の上昇、緑内障、後嚢白内障があらわれることがあります。目の周りの皮膚に使用した場合には眼圧の上昇や緑内障が、大量又は長い期間にわたる広い範囲での使用や密封法で使用した場合には緑内障や後嚢白内障があらわれることがあります。このような症状があらわれた場合には、使用を中止して医師、薬剤師にご相談ください。

また発生頻度ごとに起こる副作用を下記にまとめました。

<0.1〜5%未満>
魚鱗癬様皮膚変化、紫斑、多毛、色素脱失

<頻度不明>

【眼】
中心性漿液性網脈絡膜症

【皮膚の感染症】
細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛嚢炎・せつ等)、真菌症(カンジダ症、白癬等)、ウイルス感染症

【皮膚の症状】
ステロイドざ瘡(尋常性ざ瘡に似るが、白色の面炮が多発する傾向)、ステロイド酒さ・口囲皮膚炎(口囲、顔面全体に紅斑、丘疹、毛細血管拡張、痂皮、鱗屑)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張)

【過敏症】
皮膚の刺激感、接触性皮膚炎、発疹

【下垂体・副腎皮質系】
下垂体・副腎皮質系機能の抑制

特に【皮膚の感染症】が現れた場合には、抗菌剤や抗真菌剤を使用し症状を改善していくため、症状に気づいたらお薬の使用を中止し、医師又は薬剤師に相談しましょう。

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)に関する注意点

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)は次の疾患がある人は使用してはいけません。使用してしまうことで、症状が悪化や治療が遅れてしまう恐れがあるためです。

・細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ 等)
・リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)でアレルギーなどの過敏症を起こし たことがある
・鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
・潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

また基本的な注意としてはリンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)を大量に使用したり、広範囲の密封法での使用はステロイドを全身に投与した場合と同様の症状があらわれることがあるため、避けなければなりません。

特に妊娠中の方や妊娠している可能性のある女性、小児、高齢者の場合は注意が必要になるため、医師や薬剤師からの伝えられた使用方法を守ることが大切です。

リンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)と同じ成分の市販薬はある?

これまでお話ししてきた内容は、医療用医薬品のリンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)でしたが、市販薬にも主成分にベタメタゾン吉草酸エステルを配合した商品が存在します。

以下がベタメタゾン吉草酸エステルを配合した市販薬の一例です。

・リンデロンVs(指定第2類医薬品)
・ベトネベート(指定第2類医薬品)

ここからはそれぞれの商品について詳しく見ていきましょう。

リンデロンVs

リンデロンVsは今回ご紹介したリンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)の製造販売元である塩野義製薬株式会社のグループ会社であるシオノギヘルスケアが市販薬として発売している商品です。

リンデロンVsは医療用医薬品のリンデロン-V軟膏と同様にベタメタゾン吉草酸エステルを配合したスイッチOTCになります。配合しているベタメタゾン吉草酸エステルの濃度も0.12%と医療用医薬品のリンデロン-V軟膏(ベタメタゾン吉草酸エステル)と同じ濃度で配合しています。

しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましんに効能を持つお薬です。

なおリンデロンVsには軟膏とクリームの剤型があり、患部の状態や使用感で選ぶことができます。では軟膏とクリームにはどのようなちがいがあるのでしょうか?

軟膏
クリームに比べて刺激性が少なく、皮膚の保湿・保護作用が高いです。刺激性が少ないため、お肌が弱い人も使えます。患部の状態もジュクジュクした患部や乾燥した患部など様々な状態に使用ができます。使用感としてベタつきがあるのが特徴です。

クリーム
ベタつきが少ないのが特徴です。伸びがよく、軟膏のベタつきを避けたい方におすすめです。患部の状態は乾燥している患部に向いており、ジュクジュクした患部や傷になっている患部への使用は刺激になることがあるため適しません。

ベトネベート

ベトネベートは第一三共ヘルスケアが販売する鎮痒消炎薬です。第一三共ヘルスケアは風邪薬でおなじみの「ルル」シリーズや外用消炎薬・解熱鎮痛薬「ロキソニン」、総合胃腸薬「第一三共胃腸薬」など数々の有名市販薬を手がける製薬会社です。ベトネベートにはベトネベートクリームsとベトネベートN軟膏ASの2種類が存在し、商品の中身も異なります。ではそれぞれの商品について詳しく見ていきましょう。

ベトネベートクリームs
ベトネベートクリームsは医療用医薬品のリンデロン-V軟膏と同様にベタメタゾン吉草酸エステルを配合したスイッチOTCになります。配合しているベタメタゾン吉草酸エステルの濃度も0.12%と医療用医薬品のリンデロン-V軟膏と同じ濃度で配合しています。

しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましんに効能を持つお薬です。

ベトネベートN軟膏AS
ベトネベートN軟膏ASは医療用医薬品のリンデロン-V軟膏と同様にベタメタゾン吉草酸エステルを配合したスイッチOTCになります。配合しているベタメタゾン吉草酸エステルの濃度も0.12%と医療用医薬品のリンデロン-V軟膏と同じ濃度で配合しています。

さらにベトネベートN軟膏ASは抗菌作用を持つ抗生物質のブラジオマイシン硫酸塩を配合しています。そのため化膿がおこっている皮膚トラブルに適したお薬です。

抗生物質が配合されていることから効能は化膿を伴う湿疹・皮膚炎・あせも・かぶれ・しもやけ・虫さされ・じんましんや化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)があります。
参考文献
リンデロンV|添付文書
リンデロン−V軟膏0.12%/リンデロン−Vクリーム0.12%
ステロイド外用剤について|リンデロンVsについて|リンデロンVs
リンデロンVs 軟膏
皮膚用薬(塗り薬)ってどのくらいの量を塗るのがいいの? │ 皮膚Q&A一覧 │ ひふ研 「ひふ症状、ひふ薬の使い方の疑問に答える情報サイト」 │ 第一三共ヘルスケア
グループ会社 | 会社概要 | シオノギ製薬(塩野義製薬)
選べる軟膏とクリーム|リンデロンVsについて|リンデロンVs
ベトネベートクリーム|添付文書
ベトネベートN軟膏AS|添付文書
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監修薬剤師 福岡 蓉佑
ドラッグストア薬剤師を4年間経験した後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
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