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セフゾン(セフジニル)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 伊波 綾乃
更新日:2024年02月29日

更新日:2024年02月29日

セフゾン(セフジニル)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
抗生物質にはペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系、アミノグリコシド系と様々な種類がありますが、こちらではセフェム系の医薬品であるセフゾン(セフジニル)について解説していきます。

セフゾン(セフジニル)とは

セフゾン(セフジニル)とは第三世代セファロスポリンと呼ばれる抗生物質の一つです。日本では第三世代セフェム系と呼ばれています。セフゾン(セフゾン)は藤沢薬品 ( 現 アステラス ) 研究所において開発され、1991年に承認・販売されました。

剤型はカプセルと細粒が発売されており、小児でも使用できる抗生物質です。現在はジェネリック医薬品も販売されており、使用頻度の高い医薬品になります。

セフゾン(セフジニル)の成分について

セフゾン(セフジニル)がどのような作用をして菌に働きかけるのか説明する前に、まずは細菌がどのような構成をしているのか説明します。

細菌とは?

「細菌」という言葉はよく耳にする方も多いと思います。では、細菌とはいったいどういう生物なのでしょうか?

「細菌」とは全長が約0.001mmと人の目では見ることができない小さな生物で、一つの細胞しか持っていない単細胞生物と呼ばれています。

 

栄養源があれば自分と同じ細菌を複製して増えていくことができる、人の皮膚や大腸にも多く生息しており、腸内環境や皮膚の状態を保つなどの特徴があります。

人に有益に働いてくれる細菌(納豆菌や乳酸菌など)もいれば、人の体に侵入して病気を引き起こす有害な細菌もいます。

 

細菌は細胞核(核酸と呼ばれる遺伝子情報を包むための膜)を持っていない原核生物と言われており、細胞壁、細胞膜、核酸、プラスミド、リポソームと呼ばれる成分で構成されています。

 

細胞壁はペプチドグリカンというN-アセチルムラミンサンとN-アセチルグルコサミンという多糖骨格でできており、ペニシリン合成タンパク質(PBP:penicillin-binding protein)と呼ばれる酵素により最終的にペプチドグリカンへと合成されます。

 

細菌はこの細胞壁の厚さの違いによりグラム陰性菌(大腸菌、サルモネラ、緑膿菌など)とグラム陽性菌(レンサ球菌、ブドウ球菌など)に分けることができます。この違いにより使用できる抗生物質が変わってきます。

セフゾン(セフジニル)の作用機序

では、セフゾン(セフジニル)はどのようして抗菌作用を示すのか説明します。
先に説明した通り、細菌の細胞壁はペニシリン結合タンパク(PBP)と呼ばれる酵素によって最終的にペプチドグリカンへ合成されます。

セフゾン(セフジニル)はこのペニシリン結合タンパク(PBP)に作用し、細菌の細胞壁の合成を阻害することで殺菌作用を示します。

セフゾン(セフジニル)はどんな症状に効果がある?

セフゾン(セフジニル)は幅広い菌に対応できる医薬品で、主に耳鼻科、皮膚科、呼吸器科領域で使用されることが多いです。

 

適応菌種・適応症は下記の通りとなります。

<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌

<適応症>
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

セフゾン(セフジニル)の用法・用量は?

セフゾン(セフジニル)は小児から高齢者まで幅広く使用される抗生物質です。菌の種類や成人と小児でそれぞれ用法用量が異なります。

成人の用法用量

セフゾンカプセル50mg/100mg
通常、セフジニルとして成人1回100mg(力価)を1日3回経口投与する。
なお、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

小児の用法用量

セフゾン細粒小児用10%
通常、小児に対してセフジニルとして1日量9〜18mg(力価)/kgを3回に分割して経口投与する。なお、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

小児は体重によって投与量を決めます。受診する際、処方箋を薬局に持ってきていただく際には体重の申告をお願いします。

セフゾン(セフジニル)の副作用

重大な副作用に、ショック・アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)・皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)などの皮膚障害、凡血球症・血小板減少・無顆粒球症・溶血性貧血などの血液障害、偽膜性大腸炎、間質性肺炎、腎障害、劇症肝炎、肝障害、黄疸などの症状がみられることがあります。

いずれも頻度としては0.1%未満となっていますが、早期対応が遅れると命に関わることがあるため、服用後に体調が悪化するようであれば早急に医療機関を受診してください。

 

その他の副作用に、過敏症として、発疹・蕁麻疹・発熱・痒み・浮腫・紅斑が出現することがあります。

また、下痢や腹痛・胃部不快感・悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状、口内炎・カンジダ症などの菌交代症、ビタミン欠乏症、頭痛などの報告も挙がっています。

薬による副作用が疑わしい場合は服用をやめて処方医、または薬剤師に相談してください。

セフゾン(セフジニル)に関する注意点

禁忌・使用注意となっている方、併用注意の医薬品などを項目ごとに説明していきます。

使用禁忌の患者さん

セフゾン(セフジニル)使用で過敏症が起きた方は禁忌となっています。また、セフェム系の医薬品で過敏症が起きた方も原則禁忌となっているため、副作用歴のある方は受診する際の問診や受診で自己報告してください。
また、お薬手帳には副作用歴を記入する欄があるので薬の名前を忘れてしまいそうな時は記入しておくと便利です。

併用注意の医薬品

鉄剤
セフゾン(セフジニル)の吸収を約10分の1まで阻害するので併用は避けることが望ましいとされています。もし併用する場合は、セフゾン(セフジニル)内服から3時間以上の間隔を空けてください。

 

ワルファリンカリウム
セフゾン(セフジニル)と併用することによって腸内でのビタミンKの生産を抑制するためワルファリンの作用が増強され、易出血などの副作用の発現率を挙げてしまう可能性があります。

 

アルミニウム・マグネシウムを含む制酸剤
併用することでセフゾン(セフジニル)の吸収を低下させ、効果を弱めてしまう可能性があります。併用する場合は、セフゾン(セフジニル)の内服から2時間以上間隔を空けてください。

 

上記の薬意外にも定期的に薬を服用されている方は、医師・薬剤師へ申告していただくかお薬手帳を提示していただくことをお勧めします。

使用上の注意

昨今、抗生物質の耐性菌が大変問題になっています。耐性菌を防ぐためにも菌への感受性(抗生物質がその菌に対して効果があるかどうか)をしっかり確認し、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめることが大切になってきます。

 

耐性菌をつくらないようにするためにも、副作用の発現がない場合は処方された日数分しっかり飲み切りましょう。

 

また、高度の腎障害のある患者ではセフゾン(セフジニル)の代謝が遅れることにより血中濃度が健康な人と比べて下がりにくいとされています。

 

腎障害の程度に応じて投与量を減量し投与の間隔をあけて使用することとされており、血液透析を受けている患者さんは1日100mg1回投与が望ましいとされています。

 

併用注意の項目でも記載した通り、鉄剤との併用は避けることが望ましいです。やむを得ず併用する場合にはセフゾン(セフジニル)の投与後3時間以上間隔をあけて服用してください。

 

また、服用中に尿が赤くなることがありますが、体に影響はありませんのでそのまま内服を継続してください。

セフゾン(セフジニル)と同じ成分の市販薬はある?

残念ながら、セフゾン(セフジニル)を含む抗生物質の内服薬は市販では販売されていません。先にもお話しした通り、適正に使用しないと薬に対して耐性菌ができてしまう恐れがあるためです。

 

内服の抗生物質の使用には専門的な知識が必要とされきます。また一般の方の手に入りやすくなると多剤乱用されことが懸念されることから、今後も市販化は難しいとされています。

 

また、セフゾン(セフジニル)を含むセフェム系の外用薬はありませんが、抗生物質が入った外用薬は市販されているので、症状に応じて登録販売者や薬剤師に相談の上、購入を検討されてください。

最後に

感染症の症状は様々ですが、持続する発熱、激しい嘔吐や下痢、怪我をしてしまった場合は創傷部位の熱感や脹れ、化膿などの症状があれば感染症を疑ってもいいと思います。

 

重症化する前に早めに医療機関を受診して、医師の診断のもと、決められた量を決められた日数分しっかり服用することが治癒・耐性菌の予防の近道になります。

 

参考文献
セフゾンカプセル50mg/セフゾンカプセル100mg 添付文書
細菌とウイルス|感染症の基本|AMRリファレンスセンター

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監修薬剤師 伊波 綾乃
総合病院で4年、保険薬局で3年勤務。がん治療期~緩和ケア領域、小児科、耳鼻科、透析、心療内科を経験。現在はフリーランス。 症状に適したお薬選びができるよう、読者の皆様の手助けができればと思います。
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