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クラリス錠(クラリスロマイシン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 小村 稜
2021年08月28日
クラリス錠は有効成分としてクラリスロマイシンを含む医療用医薬品で、病原性の細菌が原因となる感染症に広く用いられています。今回は、クラリス錠の効果や用法・用量、服用時の注意点などを詳しく解説していきます。

クラリス錠(クラリスロマイシン)とは

大正製薬が製造販売しているクラリス錠は日本での販売開始は1991年と現在までに長い間用いられている抗菌薬のひとつです。クラリス錠は一般的な細菌感染による諸症状に対して使用できるだけでなく、ヘリコバクター・ピロリの除菌にも用いることができる医療用医薬品です。

クラリス錠(クラリスロマイシン)の成分について

クラリス錠の有効成分であるクラリスロマイシンは様々な種類がある抗菌薬のうちマクロライド系抗生物質に分類される医薬品成分です。

マクロライド系抗生物質はクラリスロマイシンの他にエリスロマイシンやアジスロマイシンなどがあり、これらの成分はヒトにはなく細菌にはあるリボソームと呼ばれるタンパク質-RNA複合体の働きを阻害することで細菌の増殖を抑えます。

既存薬を改良して開発

クラリス錠が販売される以前はエリスロマイシンと呼ばれる医薬品成分を有効成分として含む医薬品が先に日本で製造販売を開始していました。

しかしながら、エリスロマイシンは胃内(酸性条件)で不安定で、体内へ吸収されて効果を発揮するまでに分解されやすい有効成分でした。そこで、エリスロマイシンに比べて酸性環境での安定性向上に成功したクラリスロマイシンが後に開発されました。

抗菌薬と抗生物質の違いは?

「抗菌薬」と「抗生物質」は似た言葉で区別がしづらいため、簡単に整理をしていきます。

まず、抗菌薬とは感染症の原因となる細菌など病原性の微生物に対して殺菌的もしくは静菌的(それ以上増殖しないようにする)な作用を持つ成分のことを指します。
そして、殺菌・静菌作用や抗がん作用を持つ微生物が産生する成分やそれに似た構造を持つ成分を抗生物質と呼びます。

クラリスロマイシンは病原性微生物に対して静菌作用があり、さらに微生物が産生する成分に似た構造を持っています。つまり、クラリスロマイシンは抗菌薬であり抗生物質でもあります。同じ抗菌薬でも、微生物が産生する抗生物質以外に全て人工的に合成する抗菌薬のことを化学療法薬と呼ぶこともあります。

クラリス錠(クラリスロマイシン)はどんな症状に効果がある?

クラリス錠は以下の感染症に対して効果があります。

一般感染症

・適応菌種
クラリスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属

・適応症
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸管炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

非結核性抗酸菌感染症

・適応菌種
クラリスロマイシンに感性のマイコバクテリウム属

・適応症
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症

ヘリコバクター・ピロリ感染症

・適応菌種
クラリスロマイシンに感性のヘリコバクター・ピロリ

・適応症
胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALT リンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

クラリス錠(クラリスロマイシン)の用法・用量は?

一般感染症
成人はクラリスロマイシンとして400mgを1日2回に分けて服用します。

非結核性抗酸菌症
成人はクラリスロマイシンとして800mgを1日2回に分けて服用します。

ヘリコバクター・ピロリ感染症
ヘリコバクター・ピロリ感染症に対してはクラリスロマイシン以外にアモキシシリン水和物とプロトンポンプ阻害薬(例:ランソプラゾール、オメプラゾール)との併用が基本で、1日2回で7日間服用します。

このときのクラリス錠の用量は1回あたりクラリスロマイシンとして200mgを基本とし、1回400mgまで増量できます。

クラリス錠(クラリスロマイシン)の副作用

クラリス錠の服用による副作用はQT延長、劇症肝炎、血小板減少、偽膜性大腸炎、横紋筋融解症、下痢、発疹などがあります。

クラリス錠(クラリスロマイシン)に関する注意点

クラリス錠を服用するときに注意すべき点を紹介します。

自己判断で服用を中止しない

医師から処方されて服用する全ての医療用医薬品に共通しますが、感染症治療のために服用する医薬品は特に自己判断での中止は避けてください。理由は耐性菌の出現です。

本来であれば感染症の原因となっている細菌に効果がある抗菌薬でも、定められた用法・用量通りに服用しないと効果が十分でなくなることで症状が長引くばかりか、服用していた医薬品が効きにくくなるよう細菌が変化してしまうことがあります。この変化が起きてしまうと医師が原因の病原微生物に効果があると判断して服用していた薬が効かなくなってしまいます。

他の薬と併用するときは医師または薬剤師へ相談

クラリス錠の有効成分であるクラリスロマイシンは多くの医薬品成分の代謝するCYP3Aと呼ばれる酵素の働きを阻害してしまいます。そのため、クラリス錠と他の医薬品を併用するときは、併用薬の血中濃度が本来より高くなることで副作用が起きやすくなる可能性があります。

お薬手帳を利用するなどして、併用薬の有無を医師や薬剤師へ事前に知らせておきましょう。

ウイルス性の感染症には効果がない

クラリス錠など病原性の細菌に対してのみ効果がある医薬品は、あくまで細菌性の感染症に有効な医薬品です。例えば、かぜ(風邪症候群)にはウイルス性と細菌性の両方があります。

さらに、病原体となる細菌は1種類だけでなく多くの種類があり、細菌の種類によって有効な抗菌薬は異なります。つまり、単に「かぜ」と言っても全てのかぜに有効な抗菌薬は今のところ存在せず、医師の診察によって有効な医薬品を探し出す必要があります。

小児でも服用しやすいドライシロップがある

クラリスにはクラリス錠200mg、クラリス錠50mg小児用、さらにクラリスドライシロップ10%小児用の3種類が製造販売されています。錠剤がまだ飲みにくい年齢の場合は、錠剤ではなくドライシロップに変更してもらうと良いかもしれません。

クラリス錠を服用できない場合がある

・肝臓又は腎臓に障害のある患者でコルヒチンを投与中の患者
理由:コルヒチンの血中濃度上昇による中毒症状が起きる可能性があるため。

・以下の成分を含む医薬品を服用している患者
ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、チカグレロル、イブルチニブ、アスナプレビル、ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(用量漸増期)
理由:クラリスロマイシンが上記を代謝する主な酵素の働きを阻害することで、血中濃度が上昇する可能性があるため。

クラリス錠(クラリスロマイシン)と同じ成分の市販薬はある?

クラリス錠の有効成分であるクラリスロマイシンを含む市販薬は現在販売されていません。感染症の原因となっている病原体の特定は自分自身では判断できず、仮にクラリス錠が有効な細菌が原因の感染症であった場合でも、原因となる細菌の違いによって用法・用量が異なることもあります。

さらに、先ほども述べましたが、細菌がクラリス錠の有効成分であるクラリスロマイシンに対して耐性を獲得してしまうおそれもあります。
以上のように、抗菌薬は自己判断での服用に関するハードルが非常に高いため、現時点でクラリス錠と同様の有効成分を含む市販薬は販売されていません。

今回紹介したクラリス錠は様々な細菌性感染症に対して効果のある医療用医薬品です。現時点でクラリス錠の有効成分であるクラリスロマイシンを含む市販薬は販売されていません。クラリス錠を医師から処方されたときは十分な治療効果を得るだけでなく細菌の耐性獲得を防ぐためにも、用法・用量を守って服用しましょう。
参考資料
マクロライド系抗菌薬を中心に |日薬理誌 130、294-298(2007)
クラリス錠|医薬品インタビューフォーム
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監修薬剤師 小村 稜
医療編集プロダクションMEDW代表
Webディレクター / 薬剤師

今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
「メディアから医療を支える」をミッションに活動している
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