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新型コロナウイルス感染症の潜伏期間はどのくらい?

監修医師 木村眞樹子
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

新型コロナウイルス感染症の潜伏期間はどのくらい?のイメージ
新型コロナウイルス感染症が世界的なパンデミックを引き起こしてから少しの時が経ち、未だ終息はしていないものの次々と新たな知見が得られています。

今回は、その中でも新型コロナウイルス感染症の「潜伏期間」に注目し、従来株と変異株の潜伏期間の違いや新型コロナウイルス感染症と他の呼吸器感染症の潜伏期間の違いなどを詳しく紹介していきます。

感染と発症の違い

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめとする感染症は、「感染」した後に潜伏期間を経て「発症」します。COVID-19の潜伏期間に関する解説をする前に、その前提となる「感染」と「発症」について簡単に整理します。

感染

COVID-19の場合であればSARS-CoV-2という病原体が体内(細胞内)に入り込んで病原体が増殖することを「感染」と呼び、感染が成立した人を保菌者(キャリア)といいます。

また、感染が成立するためには感染源・感染経路・感受性宿主という3つの要素が必要です。

 

感受性宿主とは、ある病原体に対して感染が成立しやすい状態の人(生物)を指します。病原体によってはヒトに感染しない(できない)病原体や感染する側(宿主)に備わっている免疫機能により感染が成立する前に病原体を排除できることがあります。

 

これらは病原体に対して感受性がない、つまり感受性宿主ではないために感染は成立しません。

発症

一般に、ある病原体が感染してから一定以上病原体の数が増えると感染症の症状が現れ始めます。そして、症状が出始めるタイミングを「発症」と呼びます。感染が成立しても症状が現れない状態を不顕性感染といい、この状態でも他の人へ感染を拡げてしまうことがあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について

COVID-19について現時点で分かっていることを整理します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状

COVID-19患者は無症状のまま回復してしまう場合がありますが、何らかの症状が出ることはあり、典型的な症状として発熱・咳・息切れ・筋肉痛・頭痛・咽頭痛・味覚異常・嗅覚異常などが報告されています。

日本ではこれらの症状に加え、呼吸困難・肺炎の有無や酸素飽和度などを指標として軽症・中等症Ⅰ・中等症Ⅱ・重症のいずれかに重症度分類を行います。

軽症の場合は発症から1週間ほどで回復しますが、中等度以上のCOVID-19では各重症度に合わせて適切な治療を行う必要があります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬

日本ではCOVID-19の適応を持つ治療薬は2021年10月時点でレムデシビル・デキサメタゾン・バリシチニブ・カシリビマブ/イムデビマブ・ソトロビマブの5種類あり、重症度などに応じて使い分けて使用します。

 

治療薬とワクチンは世界中で研究開発が進められており、今後もCOVID-19のために開発された医薬品やワクチンが承認されて治療の選択肢が充実していくことが予想できます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症

COVID-19の大きな問題点のひとつとして後遺症が挙げられます。COVID-19の後遺症は、感染後に症状が一度治まったのちに再度症状があらわれる場合や一度出た症状がそのまま消失せずに長引いている場合があります。

 

発症から4ヶ月ほど経過してもCOVID-19による症状に悩まされている方もいます。特に後遺症としてあらわれやすい症状として脱毛があり、COVID-19患者の25%で脱毛が起きる可能性があるといわれています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期間

次に、SARS-CoV-2に感染してから発症するまでの潜伏期間について解説します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期間は14日以内

今までのCOVID-19患者に関する報告から、COVID-19の潜伏期間は14日以内であると考えられています。特に、SARS-CoV-2に感染してから5日前後で発症することが多いといわれています。

潜伏期間中に感染を拡げてしまうことはある?

感染症を原因となる病原体に感染した人が他の人を感染させる可能性がある期間のことを感染可能期間と呼びます。COVID-19の場合、この感染可能期間は発症2日前から発症後7~10日間程度だと考えられています。

 

つまり、SARS-CoV-2は感染してから発症するまでの潜伏期間でも感染を拡げてしまう可能性があります。
また、COVID-19の症状が出ずに回復する無症状者も他の人に感染を拡げることがあります。

他の呼吸器感染症との比較

COVID-19の潜伏期間14日以内で、潜伏期間でも感染可能期間に該当する可能性があることを説明しました。では、他の呼吸器感染症の潜伏期間は何日程度なのでしょうか?

 

潜伏期間
COVID-19 インフルエンザ SARS(重症急性呼吸器症候群)
14日以内 1~3日 2~10日

 

感染可能期間
COVID-19 インフルエンザ SARS(重症急性呼吸器症候群)
発症2日前から発症後7~10日間 発症前日から発症後3~7日間 有症期間

 

COVID-19はインフルエンザやSARS(重症呼吸器症候群)の他に、MARS(中東呼吸器症候群)や風邪症候群と比較しても一般的な潜伏期間は長いことが分かっています。

 

また、COVID-19と同様に、季節性のインフルエンザでも潜伏期間から感染を拡げてしまうと考えられており、これが毎年冬になると季節性インフルエンザが流行する原因のひとつです。

変異株に感染したときの潜伏期間

SARS-CoV-2はCOVID-19が世界中で感染拡大していくうちに、いくつかの変異株が確認されています。WHO(世界保健機関)ではSARS-CoV-2の変異株をギリシャ文字で区別しており、従来株より感染力が高い可能性が指摘されているデルタ株は日本でも注目されています。

 

さらに、デルタ株は従来株と比べて潜伏期間が異なる可能性を示唆する研究報告がされています。その報告によると、デルタ株の潜伏期間は従来株より2日ほど短いと述べられています。

疑わしい症状が現れたら

最後に、COVID-19かもしれないと思うような症状が出たときにどのように対応すれば良いか紹介します。

かかりつけ医や相談センターへ連絡

以下に該当する場合はかかりつけ医もしくは各自治体の相談センターに相談してください。

・高熱・呼吸困難・強い倦怠感などの症状がある方
・発熱や咳など比較的軽い感冒症状がある高齢者、糖尿病・心不全・呼吸器疾患などの基礎疾患がある方、透析治療を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤による治療を受けている方
・上記以外で比較的軽い感冒の症状が続いている方
これらのいずれかに該当する場合は感染拡大を防ぐために電話で相談してください。また、まずはかかりつけ医がいる方はかかりつけ医へ連絡し、かかりつけ医がいないもしくは連絡先が分からない場合に各自治体の相談センターへ連絡しましょう。

感染対策の再徹底

COVID-19を疑う症状が出た時は外出しないことを前提としますが、同居家族への家庭内感染を防ぐためにも以下の感染対策を今一度確認・徹底していきましょう。
・マスクを正しく着用
・こまめな手洗い・手指消毒
・3密(密着・密集・密閉)の回避
これらの感染対策は症状が出ていないときでもワクチン接種の有無にかかわらず実行しましょう。

まとめ

今回はCOVID-19の潜伏期間について詳しく解説しました。COVID-19はSARS-CoV-2に感染してから発症するまでの潜伏期間が14日以内と他の呼吸器感染症と比べて長い傾向があります。

 

また、潜伏期間中でも病原体であるSARS-CoV-2を他の人へ移してしまう可能性があることが分かっています。

 

以上のことから、COVID-19の症状が出ていなくても十分な感染対策を引き続き実施し、自分だけでなく周囲の人もCOVID-19から守ることができるような行動を心がけましょう。

参考資料
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5.3版(2021年8月31日改訂)|厚生労働省
インフルエンザ施設内感染予防の手引き(平成25年11月改訂)|厚生労働省健康局結核感染症課ー日本医師会感染症危機管理対策室
SARS(重症急性呼吸器症候群)とは|国立感染症研究所
重症急性呼吸器症候群|厚生労働省
Tracking SARS-CoV-2 variants|World Health Organization
Viral infection and transmission in a large, well-traced outbreak caused by the SARS-CoV-2 Delta variant
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第12報)|国立感染症研究所
感染拡大防止 特設サイト|内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室

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監修医師 木村眞樹子
現役医師、産業医 10年以上大学病院で臨床に従事、産業医として企業の健康経営にも携わる 2019年より医療ライターとしても活動している
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