新型コロナウイルスに「感染する」と「発症する」は同じか
更新日:2024年09月12日
答えはどちらもNOです。
今回は、感染と発症の意味の違い、また感染・発症を防ぐために何ができるかを中心に解説します。
新型コロナウイルスとはどういうウイルスか
その前に、新型コロナウイルスがどのようなウイルスなのか確認しましょう。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はコロナウイルスの一つです。
他に、コロナウイルスにはヒトに感染するウイルスとして以下のようなものがあります。
4種類のコロナウイルス(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1)
一般的な風邪の原因となる4種類のコロナウイルス(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1)が発見されており(2021年10月22日時点)、風邪の10~15%(流行期では35%)はこれらが原因とされています。
SARS-CoV
2002年11月から2003年7月の間に世界30ヵ国で流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」を引き起こすSARS-CoVもコロナウイルスの一つです。疑い例を含むSARS患者は8,069人(2003年12月時点)、致死率は9.6%。感染源はコウモリの一種(キクガシラコウモリ)で、ヒトに感染すると重症肺炎を引き起こすといわれています。
MERS-CoV
2012年にサウジアラビアで発見され、これまでに27カ国で2,494人の感染者(2019年11月30日時点)の「MERS(中東呼吸器症候群)」の原因ウイルスはMERS-CoVであり、34.4%と致死率が非常に高い感染症です。
感染源はヒトコブラクダで、ヒトに感染すると重症の肺炎を引き起こすとされています。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」の原因ウイルスの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)です。2019年に中国武漢市で発見、全世界に感染拡大し、日本では2020年2月13日に始めてCOVID-19による死亡者が確認されました。
感染源が未だ不明であり、2021年9月までに2億2千万人が感染、死亡者は455万人であり、以前のSARSやMERSとは感染性や病原性が明らかに異なります。2020年1月21日にWHOはヒトからヒトへの感染が確認されたと発表しました。
「感染」と「発症」の意味の違い
簡単にいえば、「感染」とはウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入し増えることをいい、「発症」とはその病原体が原因となり何らかの症状が現れることです。
ウイルスや細菌に「感染する」とは
感染が成立するには ①病原体(感染源)②感染経路 ③感染を受けやすい人(宿主)の3つの要因が揃うことが必要であり、この“感染の連鎖”を断ち切らなければいけません。
特に、感染拡大防止において②の感染経路を止めることが重要です。
COVID-19の感染経路は飛沫感染、空気感染、接触感染であるとしています。
当初、空気感染はないという話でしたが、WHO(世界保健機関)やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)は見解を変え、空気感染も重要な経路の一つと考え、厚生労働省もHPの内容を更新しました。
●飛沫感染
咳やくしゃみ、会話した際のつばなど感染者の口や鼻より出た飛沫と一緒に放出されたウイルスを吸入または目や鼻や口に直接接触して感染すること
咳やくしゃみ、会話した際のつばなど感染者の口や鼻より出た飛沫と一緒に放出されたウイルスを吸入または目や鼻や口に直接接触して感染すること
●空気感染
感染者が飛ばしたエアロゾル(飛沫核)を吸い込むことで感染すること
エアロゾルとは直径5㎛以下のものと定義されています。くしゃみや咳、つばなどの飛沫の水分が乾燥して水分を含んでおらず、病原菌だけが空中に浮遊している状態のため、数十メートル離れていたとしても、感染する可能性があります。
また、エアロゾルは軽いため、浮遊しやすく3時間程度空中で浮いていられるというデータもあります。
感染者が飛ばしたエアロゾル(飛沫核)を吸い込むことで感染すること
エアロゾルとは直径5㎛以下のものと定義されています。くしゃみや咳、つばなどの飛沫の水分が乾燥して水分を含んでおらず、病原菌だけが空中に浮遊している状態のため、数十メートル離れていたとしても、感染する可能性があります。
また、エアロゾルは軽いため、浮遊しやすく3時間程度空中で浮いていられるというデータもあります。
●接触感染
皮膚や粘膜への直接的な接触または手すりやタオルなどのような間接的な接触により、病原体が付着することで感染すること
WHOは、新型コロナウイルスはプラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存すると発表しています。
皮膚や粘膜への直接的な接触または手すりやタオルなどのような間接的な接触により、病原体が付着することで感染すること
WHOは、新型コロナウイルスはプラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存すると発表しています。
「発症する」とはどういうことか
病原体に感染し、数日の潜伏期間を経て、何らかの症状があらわれることを「発症する」といいます。
COVID-19の主な症状は、発熱や咳などの呼吸器症状、強いだるさ(倦怠感)などです。頭痛、嘔吐、下痢、結膜炎、嗅覚・味覚障害等が起きる場合もあります。
感染から発症までを「潜伏期間」という
感染してから発症するまでの間を「潜伏期間」といいます。わたしたちの身体には、外部から侵入してきた細菌やウイルスなど自分以外の異物を攻撃し、排除する免疫機能が備わっています。
そのため、免疫機能が活発に働き、発症する前に侵入してきたウイルスや細菌を退治できれば発症しないで済みます。
潜伏期間の長さはそれぞれ細菌やウイルスによって異なり、新型コロナウイルスの場合、潜伏期間は1日~14日とされ、多くの人が感染して5~6日後に発症するといわれています。
そのため、濃厚接触者や海外から帰国した人が14日間の隔離が必要とされるのは、その間にCOVID-19の発症が見られないかを確認するためです。
感染した人が全員発症するわけではない
感染したからといって、全員症状がでるわけではありません。中には無症状の感染者もいます。
しかし、その無症状感染者こそが世界中をパンデミックに陥れた原因の一つです。
発症する2日前から3日後にうつしやすい
新型コロナウイルスで厄介なことは、次のようなことが挙げられます。
・潜伏期間である発症前からウイルスを排出すること
・発症直前直後にウイルス排出量が多いこと
・無症状感染者からもウイルスが排出され感染リスクがあること
そのため、COVID-19の治療は困難といわれています。
【濃厚接触者の感染リスクについて】
まだ感染力の強いデルタ株は出現していない2020年1月~7月の中国にて、COVID-19一次感染者730人(平均年齢46歳、男性51.2%)とその濃厚接触者8852人(平均年齢41歳、男性52.9%)を対象とした研究データが発表されました。
その結果、濃厚接触者のうち感染した人は327人(3.6%)でした。
●濃厚接触者が新型コロナウイルスに感染するリスクは、一次感染者の発症前2日から発症後3日の間に接触した場合に最も高い。
●中でも最も高かったのは発症0日目(発症当日)、特にこの期間に一次感染者と同居もしくは接触時間が長かった場合に感染リスクが高い。
●無症状の患者に接した場合よりも、軽症や中等症の患者に接した場合の方が、濃厚接触者の感染リスクが高い。
●一次感染者が無症状だった場合、その人から濃厚接触者が感染した場合、無症状である確率が高い。
(「JAMA Internal Medicine」2021年8月23日に掲載)
厚生労働省では新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させてしまう可能性がある期間は、発症の2日前から発症後7~10日間程度としており※¹、もし感染者が重症の場合には4週間程度ウイルスを排出している可能性があると考えてください。
(※¹ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5.3版より)
発症するかは感染者の免疫力の強さによる
免疫機能により、わたしたちの身体は防御され健康を保つことができますが、その免疫細胞の約70%が腸に集中しています。実際の数でいうと1000種類の菌が100兆個、重さにして1~2kgの腸内細菌になります。
腸内細菌は次の3つに分けられます。
・体にいい影響を及ぼす「善玉菌」
・特に影響のない「日和見菌※²」
・体に悪い影響を及ぼす「悪玉菌」
理想的なバランスは、善玉菌 2:日和見菌 7:悪玉菌 1といわれています。
※² 日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のどちらか優勢な方に味方につきます。そのため、腸内細菌のバランスが悪く悪玉菌が有利な状態な場合、免疫機能も低下し感染症に罹りやすくなります。
新型コロナウイルスに「感染したかも」と不安な方には、SOKUYAKUのオンライン診療サービスをおすすめしています。
家にいる状態で診察を受けられ、処方せんも受け取ることが可能です。
また、PCR検査も受けることが可能なので、不安な方はぜひ以下のリンクよりご利用ください。
※受付時間:平日10:00~19:00
どうすれば免疫力を高めることができるのか
では、わたしたちはどのような生活を送っていれば、免疫力を高めることができるのでしょうか。ワクチンには感染予防効果もありますが、COVID-19に罹らないというわけではないのです。
以下はいずれも特別なことではありません。少し気を付けるだけで、自己免疫アップにつながります。ぜひ参考にしてください。
バランスの良い食事で腸内環境を整える
腸内環境にいちばん影響するのは、やはり食事内容でしょう。昔と比べ、食生活が欧米化したこともあり、腸内細菌のバランスが乱れやすくなっているといわれています。
食生活の欧米化の例として、以下の項目が挙げられます。
・肉が中心で、魚・野菜が少ない
・白米よりもパン・パスタなどが多い
・噛む回数が少なく、食べるのが早い
・動物性たんぱく質・脂質が多く、炭水化物・食物繊維が少ない
・おかずが少なく、いつも同じメニューが続く など
もし、当てはまる項目があるようならば要注意です。当てはまる項目を改善してみましょう。
質の高い睡眠
コロナ禍になり、リモートワークでつい夜遅くまで仕事してしまう人も多いと思います。しかし、睡眠リズムの乱れは睡眠不足同様、免疫力の低下につながります。また、週末の寝だめもよくありません。
睡眠の質の低下は免疫細胞がうまく働かなる原因となる上に、いろいろな疾患に影響する炎症物質を増やす原因となります。
代謝や体温を高める
日本人の平熱は大体36~37℃の間といわれていますが、昨今35℃台の「低体温」の人が多いことを知っていますか?
体温が1℃下がると免疫力が約30%低下するといわれており、感染症リスクが高くなる、ガン細胞を活性化、花粉症などのアレルギー症状が起こりやすいといわれています。
適度な運動をする、お風呂は湯船につかるなど、代謝アップをはかりましょう。
まとめ
今回はCOVID-19の感染から発症までを解説しました。
免疫力アップをはかり、COVID-19とインフルエンザと風邪の感染症流行期を乗り切りましょう。
最近ではオンライン診療を行っている病院も増えており、誰でも気軽に相談できるという状況が生まれています。
オンライン診療は、
・受付や会計の待ち時間が短縮される。
・自宅や外出先で診療が受けられる。
・院内処方の場合くすりが自宅に届く。
・院内感染・二次感染のリスクがない。
などのメリットがあり、非常に便利なサービスです。
SOKUYAKUでは、多数の診療科目や全国から病院を探すことができます。
また、新型コロナウイルス感染症の検査は、医療機関以外の自宅でも実施が可能です。
SOKUYAKUで、ビデオ通話にて診療をご受診頂き、PCR検査をご希望の場合は、SOKUYAKUからご自宅で唾液採取して頂く検査キットをご注文頂けます。
周辺への感染の可能性を配慮して外出を控えたいやその他事情により、病院に行くことが難しい場合は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料(すべて参照 2021-10-22)
コロナウイルスとは|NIID 国立感染症研究
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|問2|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-2
新型コロナ 発症2日前から3日後がうつりやすい | ヘルスデーニュース|毎日新聞(2021年9月11日)
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20210910/med/00m/070/001000d
腸内環境の改善がカギ!免疫力を高める腸活|大正健康ナビ
https://taisho-kenko.com/column/detail/29
睡眠の乱れが免疫力低下のリスクに 週末の寝だめ注意|NIKKEI STYLE|日経電子版
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO69263850Z10C21A2000000/
体温アップを目指す!|特集記事|元気通信|養命酒製造株式会社
https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/feature/091225/index.html
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