オンライン服薬指導の流れについて|自宅で薬剤師から薬剤の情報を提供してもらうには?
更新日:2024年02月21日
この記事では、対面を避けてオンライン服薬指導を受けるにはどうすればよいのか、実際にはどのような流れでオンライン服薬指導が行われるのかについて紹介します。
COVID-19拡大により高まるオンライン診療やオンライン服薬指導(遠隔服薬指導)の医療ニーズ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全世界で猛威を振るい、医療の体制が大きく変わろうとしています。
これまでは、病院やクリニックに通院して診察を受け、調剤薬局に行き薬をもらうという流れが普通でしたが、最近、オンラインを利用して便利な医療サービスを実施しようとするヘルスケアのデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されています。
新型コロナウイルスへの感染が不安なため、対面で診療を受けたり、医薬品を受け取ったり、服薬指導を受けることを控えたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、僻地にお住まいで、近くに医療機関がないという方でも何とかして診療を受けたり、服薬指導を受けたいという方もいるかもしれません。こういった要望に対応すべくオンラインを利用して医療を提供するサービスを実施するケースが増えています。
ヘルスケアのDXの一環として、病院やクリニック、薬局にわざわざ足を運ばずとも診察や服薬指導を受けることができるオンライン診療やオンライン診療や服薬指導のニーズが高まっています。
厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国民がより診察を受けやすくするために、時限的・特例的に初診からオンラインを利用で診察を受けられるように解禁しました(0410対応)。
また、診療報酬の改定や薬剤服用歴管理指導料の新設が施行され、薬局経営にも変化が起こっています。
オンライン診療・オンライン服薬指導とは
厚生労働省は、オンライン診療について、「遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為」と定義しています。
診察を受けたいけれども様々な事情で対面での診察・医療を受けるのが困難な患者さんが、電話やパソコン、スマートフォン(スマホ)やタブレットなどオンラインで情報をやり取りできる機器を活用してリアルタイムで診察を受けられるというものです。
同様に、オンライン服薬指導(遠隔服薬指導)もこれらの情報通信機器を使って遠隔で薬剤の使用上の注意点をお伝えする行為です。
オンライン服薬指導などを盛り込んだ薬機法改正が2020年9月1日から施行され、算定が改定されたことで、オンライン服薬指導システムを導入する薬局が少しずつ増えています。
薬剤師は医師から送られてきた処方箋をもとに服薬指導計画書を作成し、これをもとに患者さんとオンラインで対面して服薬指導を行います。
オンライン服薬指導を受けられる条件とは?
オンライン服薬指導を受けるには要件が設けられています。
これまでに電話やパソコンやスマートフォン、タブレットなどの通信機器を使用して医師によるオンライン診療を受けた方や在宅医療を受けている方がオンライン服薬指導の対象となります。
ただし、薬剤の内容によっては対面での服薬指導が必要な場合がありますので、一度薬局にご相談ください。
オンライン服薬指導の流れ
それでは実際にオンライン服薬指導はどのように行われているのでしょうか。診察からオンラインで服薬指導を受け、薬剤が配送されるまでの流れをご紹介します。
医師による対面診療またはオンライン診察を受ける
まず医師による診察を受けます。病院やクリニックなどに足を運び診察を受けてもよいですが、電話やパソコン、スマホ、タブレットなどの情報通信機器を使って診察を受けることができます。
診察を受けようとする医療機関がオンライン診察に対応しているか窓口に問い合わせてみましょう。
厚生労働省のホームページにはオンライン診療に対応している医療機関のリストが公開されていますので、こちらで検索するのもよいでしょう。
診察を受ける際にオンラインで服薬指導を希望する意思を担当の医師に申し出てください。薬を受け取った後にオンラインで服薬指導をしてもらいたいと思い立つ場面もあるかもしれません。
その際は、希望する薬局に問い合わせてみてください。設備や条件が揃えば現在服用している薬の服薬指導を受けることができる可能性があります。
病院やクリニックなどの医療機関から薬局へ処方箋を送付
診療が終わり、患者さんに薬を服用してもらう必要があると医師が判断した場合、処方箋を発行します。
患者さんが対面での薬の受け渡しや服薬指導を希望している場合は、医療機関から患者さんに対して直接、院外処方の処方箋を渡します。
患者さんはその院外処方の処方箋をもって薬局に行き、調剤ならびに服薬指導を受けます。
一方、患者さんがオンラインでの服薬指導を希望した場合、医療機関は患者さんが希望する薬局へFAXを送付します。
服薬指導計画書の作成
医療機関から患者さんがオンライン服薬指導を希望しているとの連絡を受けると、薬局の薬剤師はオンライン服薬指導に向けて準備を開始します。
まず、通信環境の確認を行います。オンライン服薬指導を電話で行うのか、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの情報通信機器なのかといった情報を事前に把握します。
次に、薬剤師は服薬指導計画書の作成を行います。事前に薬剤師から、オンライン服薬指導で説明する医薬品の情報や、医薬品をどのように受け渡すのか(対面か郵送か)、今後オンラインのみで服薬の指導を行うのか、緊急時の医療機関との連絡方法や搬送についてなど様々な状況や情報を確認されることになります。
薬剤師が様々な項目を検討した結果、オンライン服薬指導のみでは十分に薬剤管理指導が行えないと判断した場合、オンラインでの指導が行えず、対面での服薬指導に切り替える必要がある場合があります。
調剤薬局の薬剤師による調剤
服薬指導計画書の作成と並行して薬剤師は調剤を行います。処方に間違いがないか、投与量は適切かなど、患者さんの現状と照らし合わせながら、薬が適切に処方されているかを見極めます。
もし、処方に疑義が生じたら、薬剤師は処方箋を作成した医師に相談し、患者さんの状況に応じた調剤を行います。
オンライン服薬指導の実施
調剤が完了したらいよいよオンライン服薬指導が実施されます。
薬局の薬剤師から患者さんの電話もしくはスマホやタブレットなどに連絡があります。連絡方法は薬局によって様々です。専用のソフトやアプリを使う場合、患者さんの方で事前に準備する必要があります。
服薬指導内容は、通常のものと同様で薬剤の情報が提供されます。処方されている薬をその効能・効果、注意すべき副作用や飲み合わせ、食事との相性、取扱いの注意などについて薬剤師からの情報提供が実施されます。
医薬品は薬剤師の服薬指導に従って取扱い、適切に使用することが治療の上でとても重要です。
薬局から患者へ医薬品が配送される
オンライン服薬指導が終わった後、調剤薬局から患者さんのご自宅や入所している施設に薬剤が配送されますので、外出することなく受け取りが可能です。
なお、医薬品の内容によっては、配送できないものもあります。また、郵送は代金引換サービスで、代金引換手数料は患者様負担となります。
これまで通り、薬局の店舗に薬を受け取りに行くことも可能です。オンライン服薬指導中に薬剤師に相談してください。
薬剤師は医師に情報を共有
オンライン服薬指導の後、必要に応じて薬剤師は患者さんの現在の状況に関する情報などについて医師と情報を共有します。このように医師と薬局の薬剤師が連携して患者さんの健康を管理しています。
オンライン服薬指導のメリットは?
オンライン診療やオンライン服薬指導といった医療サービスを活用することで得られるメリットとはどのようなものがあるでしょうか。
新型コロナウイルスへの感染を予防
オンライン服薬指導の最大のメリットは、自宅にいながら医薬品の情報を提供してもらえることでしょう。
いつどこで新型コロナウイルスに感染するか分からない状況で、病院やクリニック、薬局などの実店舗に足を運ばすに診療を受けたり、服薬指導を受けられることは、新型コロナへの感染リスクを大きく下げることができます。
僻地にお住まいの方や外出が難しい患者さんも服薬指導を受けられる
オンライン診療やオンライン服薬指導は、近隣に病院やクリニック、薬局が近隣にない地域にお住まいの方や、出かけること自体が困難な状況にある方にとっても、オンラインによる医療サービスを利用することで通院する負担が減り、健康管理の効率が上がると考えられます。
アプリの活用によりオンライン診療・オンライン服薬指導をスムーズに
近年、オンライン診療やオンライン服薬指導などの医療サービスを円滑に行うために、多くのアプリが開発、運用されています。
このアプリはオンライン診療の予約から決済までサポートし、これらを一元管理する機能を提供してくれるサービスです。導入することで医療機関側も業務を効率化できるためこのシステムを導入する医療機関が増えています。
このシステムを導入しているかどうかは病院や薬局、調剤薬局に問い合わせましょう。
オンライン服薬指導のニーズが高まり薬局経営にも変化が
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、薬局経営に影響が出ています。2020年に日本薬剤師会によって行われた調査の結果によると、処方箋受付回数、調剤報酬、技術料、薬剤料・特定保険医療材料料の全てが前年比を下回っています。
一方、情報通信システムを使った薬剤管理をおこなった場合、薬剤服用歴管理指導料を算定できるなど、対人業務への評価が拡充されています。
改正薬機法において、薬剤を渡した後も患者さんをフォローすることが義務化されたことから、今後、薬の服用状況、効果や副作用の確認に力を注ぐ薬局が増えてくることが予想されます。
まとめ
この記事ではオンライン服薬指導の流れを中心に、最近のオンライン医療の動向についてもご紹介しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした0410対応により、病院や薬局においてDXの推進が加速しています。
全ての医療機関でオンライン診療や遠隔服薬指導を行っているわけではないという課題は残されていますが、医師が処方せんを薬局にfaxで送り、遠隔服薬指導と配送により、患者さんは在宅しながら健康への支援を受けることができるという状況は拡がりつつあります。
オンライン医療を活用して、効率よく健康管理しましょう。
なお、この記事で錠介した情報は、令和2年4月10日に発出された「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(令和2年4月10 日事務連絡)」という資料に基づいて書かれていますが、状況は目まぐるしく変わっています。最新の情報を確認しておきましょう。
参考資料
オンライン診療に関するホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html, (2020-01-17参照)
令和2、新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000620995.pdf,(2020-01-17参照)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(オンライン服薬指導関係)https://www.mhlw.go.jp/content/000650601.pdf, (2020-01-17参照)
新型コロナウイルス感染症による薬局経営への影響について
https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/pr-activity/PressRelease_20200908.pdf,
(2021-01-17参照)
最近ではオンライン診療を行っている病院も増えており、誰でも気軽に相談できるという状況が生まれています。
オンライン診療は、
・受付や会計の待ち時間が短縮される。
・自宅や外出先で診療が受けられる。
・院内処方の場合くすりが自宅に届く。
・院内感染・二次感染のリスクがない。
などのメリットがあり、非常に便利なサービスです。
SOKUYAKUでは、多数の診療科目や全国から病院を探すことができます。
また、新型コロナウイルス感染症の検査は、医療機関以外の自宅でも実施が可能です。
SOKUYAKUで、ビデオ通話にて診療をご受診頂き、PCR検査をご希望の場合は、SOKUYAKUからご自宅で唾液採取して頂く検査キットをご注文頂けます。
周辺への感染の可能性を配慮して外出を控えたいやその他事情により、病院に行くことが難しい場合は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。
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