アラセナ-A軟膏(ビダラビン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年09月18日
口唇ヘルペスの治療薬として、よく用いられるのがアラセナ-A軟膏(ビダラビン)です。
今回はアラセナ-A軟膏に含まれる成分やどのような効果があるのか、注意すべき副作用などを解説します。
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)とは
アラセナ-A軟膏は1992年5月に持田製薬より販売開始されました。2009年1月にアラセナ-A軟膏から『アラセナ-A軟膏3%』に名称変更、現在に至ります。2g/5g/10gチューブの3つの包装があります。
また、剤形違いの『アラセナ-Aクリーム3%』が2001年7月に販売開始されました。2g/5gチューブの2つの包装があります。
一般的に、軟膏はほとんどの皮膚発症部位に使用可能であり刺激も少ないですが、ベタつくため顔面や手足などでは使いづらいことが欠点です。
一方、クリームはべたつき感が少なく、夏場などの暑く、汗をかきやすい季節には患者から好まれることも多く、また顔面や手足などの露出部位や陰部などに対し特に使用しやすい点があります。
他に、注射用のアラセナ-A静注用300㎎が販売されています。また、2021年9月現在、アラセナ-A軟膏のジェネリック医薬品※1 は7社より販売、アラセナ-Aクリームのジェネリック医薬品は1社より販売されています。
※1 ジェネリック医薬品:
先発品(アラセナ-A軟膏)の特許が切れた後、先発品と同じ有効成分を主成分としている医薬品のこと。効果や安全性については先発品と比較して同等と厚生労働省から認められています。
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)の成分について
『アラセナ-A軟膏3%』1g中には有効成分のビダラビンが30mg含まれています。
ビダラビンはDNAポリメラーゼ阻害薬といわれる種類の薬です。
まず、細胞やウイルスが分裂・増殖するには、生命情報のすべてが刻まれているDNAを複製(合成)していかねばなりません。
DNA合成には、DNAポリメラーゼという酵素が必要不可欠になります。そこで、ビダラビンはDNAポリメラーゼを阻害することにより、ヘルペスウイルスの増殖を抑えます。
ただし、ヒトなどのDNAポリメラーゼに影響することはなく、ウイルスのDNA依存DNAポリメラーゼを選択的かつ強力に阻害することにより、抗ウイルス作用を発揮します。
また、ビダラビンの生体内活性型物質Ara-Aは、水痘帯状疱疹ヘルペスウイルスと単純ヘルペスウイルスの他に、サイトメガロウイルス、アデノウィルス、ワクチニアウイルスなどのDNAウイルスの増殖抑制を強く示しましたが、インフルエンザウイルスなどのRNAウイルスに対する効果は認められませんでした。
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)はどんな症状に効果がある?
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)の効能・効果:帯状疱疹、単純疱疹
では、それらの症状はどのようなものか、何が違うのかご存じですか?
帯状疱疹
・原因ウイルス:水痘(すいとう)帯状疱疹ウイルス
・感染経路:非常に感染力が強く、空気感染することもある
・発症部位:主に上半身の片側だけに帯状にできる
・後遺症:帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹治癒後も数ヵ月にわたり残る可能性がある)
・再発の可能性:4%程度
・ワクチン:あり。50歳以上の人は時期を問わず、接種可能
単純疱疹
・原因ウイルス:単純ヘルペスウイルスⅠ型・Ⅱ型
・感染経路:接触感染
・発症部位:基本的には体のどこでも感染。左右にまたがって発症
(Ⅰ型)口唇ヘルペス・顔面ヘルペス・角膜ヘルペスなど
(Ⅱ型)性器ヘルペス・臀部ヘルペスなど
・後遺症:基本的になし
※ただし、顔面ヘルペスや耳介ヘルペスの場合、数ヵ月にわたり顔面麻痺や難聴が残る可能性がある
・再発の可能性:Ⅱ型単純ヘルペスウイルスによる性器ヘルペスは1年以内にほぼ再発
・ワクチン:なし
この2つの原因ウイルスは似た性質を持ち、両方とも一度感染すると一生涯体の中のどこかに潜んでいて、わたしたちの免疫力が落ちた時に悪さをします。
また、主にアトピー性皮膚炎を基礎疾患とする患者が単純ヘルペスウイルスに感染すると、広範囲に疱疹が広がるカポジ水痘様発疹症になってしまいます。
アトピー性皮膚炎によって皮膚のバリア機能が低下しているため、重症化しやすいといわれています。
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)の用法・用量は?
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)の用法・用量:患部に適量を1日1~4回、塗布または貼布
帯状疱疹など病変部位が広い範囲の場合には、ガーゼに薬を塗りそれを患部に貼って使用してください。
使用量は病変の大きさにより医師が決定しますが、メーカーのおこなった試験では帯状疱疹の最大使用量として75g、単純疱疹の場合、カポジ水痘様発疹症の患者で40gが最大使用量だったとの記載があります。
アラセナ-A軟膏を7日間使用しても、改善の兆しがみられないあるいは逆に悪化する場合には他の治療に切り替える必要があります。処方医の受診を受けましょう。
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アラセナ-A軟膏(ビダラビン)の副作用
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)の副作用(1%未満)は以下の通りです。
皮膚症状:接触皮膚炎様症状、刺激感、そう痒感など
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)に関する注意点
・発病初期に近い程効果が期待できるので、発症から5日以内にアラセナ-A軟膏の使用を開始することが重要です。
これは、アラセナ-A軟膏の作用がウイルスの増殖抑制であるため、ウイルスが最も活発で増殖し、水疱を形成する前に使用し始めると効果的であるからです。
・アラセナ-A軟膏に含まれる油脂成分は、コンドームなどの避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化させ、破損させる可能性があります。
避妊用ラテックスゴム製品に薬が付かないように注意してください。
・アラセナ-A軟膏は口唇ヘルペスに適用があり、唇とその周囲に塗ることは可能ですが、口腔内への使用は適用外になります。
アラセナ-A軟膏の基剤には油性である白色ワセリンを使用しているため、唾液がつくと付着性が低くなり、十分な効果が発揮できない可能性があります。
2021年9月現在、アラセナ-A軟膏を舐めた、誤って口の中に入ったなどが原因の重大な副作用が起きたという報告はありませんが、口に入った場合はうがい等行い対処しましょう。
・眼科用として、角膜・結膜には使用しないでください。
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。(静脈投与による動物実験にて胎児への影響が報告されているため)
・小児に対して使用する場合は、必ず医師の指示及び薬剤師の使用方法に従うようにしましょう。。
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)と同じ成分の市販薬はある?
アラセナ-A軟膏(ビダラビン)と同成分同濃度の新一般用医薬品(スイッチOTC※2)として、佐藤製薬よりアラセナS(軟膏タイプ)が販売されています。
同様に、アラセナ-AクリームのスイッチOTCとしてアラセナSクリームが佐藤製薬より販売。
アラセナSシリーズは、いずれも包装は2gチューブのみとなります。
効能・効果は「口唇ヘルペスの再発(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)」となっています。性器ヘルペスや帯状疱疹など、他の部位への使用はできません。
※2 スイッチOTC…すでに医療用として使用されていた医薬品のうち、副作用が少なく安全性が高いものの規制を緩和して、一般用OTC医薬品として販売ができるようにスイッチされたもの
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参考資料
・アラセナ−A軟膏3%/アラセナ−Aクリーム3% (pmda.go.jp) | 添付文書,2020年5月改訂 (第1版)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250700M1189_1_06/?view=frame&style=XML&lang=ja
・アラセナ−A軟膏3%/アラセナ−Aクリーム3% (pmda.go.jp) | インタビューフォーム,20
20年10月(改訂第4版)
https://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/790005_6250700M1189_1_M03_1F.pdf
・口唇ヘルペス 市販再発治療薬「アラセナS」|佐藤製薬
https://www.sato-seiyaku.co.jp/arasenas/
・帯状疱疹.jp | 帯状疱疹の原因・症状・治療法について紹介
https://taijouhoushin.jp/
・アラセナ-A軟膏3%の製品Q&A|持田製薬
https://www.mochida.co.jp/dis/qa/ara-d-h.html
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