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甲状腺疾患が疑われる場合は内科と耳鼻科どっちに行ったらいい?

監修医師 田頭 秀悟
更新日:2024年07月26日

更新日:2024年07月26日

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甲状腺疾患の可能性がある場合、適切な医療機関を選ぶことが大切です。疲れやすいなどの症状が出ている場合、内科か耳鼻科のどちらに行くべきか迷うかもしれません。

この記事では、甲状腺疾患が疑われる場合にどの診療科を選択すべきか、その理由を詳しくご説明します。

甲状腺疾患について

甲状腺疾患は、甲状腺のホルモンバランスが崩れることで起こる病気です。甲状腺がうまく働かないと、さまざまな症状や病状が現れることがあります。

 

たとえば、甲状腺がホルモンを多すぎるほど生産すると、甲状腺機能亢進症と呼ばれる状態になり、体が過剰に活動的になります。逆に、ホルモンが不足すると甲状腺機能低下症になり、体の活動が鈍くなります。

 

単純性甲状腺腫は、甲状腺が均等に大きくなる状態を指し、甲状腺がんは甲状腺の細胞が異常に増殖する重大な病気です。また、甲状腺が炎症を起こすと甲状腺炎と診断され、これには急性と慢性の2種類があります。

甲状腺とは

甲状腺は、私たちの首の前に位置する小さいながらも重要な臓器です。その重さは約10〜20gで、大きさは縦約4.5㎝、横は4〜5㎝ほどになります。形は蝶が羽を広げたような形状をしており、男性よりも女性の方が少し高い位置にあることが一般的です。

 

この臓器は非常に柔らかく、通常は触ってもその存在を感じることは難しいですが、何らかの病気で腫れたり硬くなったりした場合、首が太く見えることがあります。

 

甲状腺の主な役割は、甲状腺ホルモンを生成することです。このホルモンは体の新陳代謝を活発にし、細胞の成長を促進するなど健康を維持するために欠かせない働きをしています。つまり、甲状腺は私たちの体が日々元気に活動できるよう支えているといえるでしょう。

甲状腺疾患とは

甲状腺の疾患には、ホルモンの分泌異常が関わるものと、甲状腺腫瘍があるものという二つの大きなグループに分類されます。

 

【ホルモンの分泌異常が関わるもの】

ホルモンの分泌異常は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態(甲状腺機能亢進症)と、不足する状態(甲状腺機能低下症)に分けられます。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態

・バセドウ病

・無痛性甲状腺炎

・亜急性甲状腺炎

・プランマー病など

 

甲状腺ホルモンが不足した状態
・甲状腺機能低下症
・慢性甲状腺炎(橋本病)
・甲状腺手術の後など

 

【甲状腺腫瘍があるもの】

甲状腺腫瘍には、良性と悪性のものがあります。

 

良性腫瘍

・甲状腺嚢胞

・腺腫様甲状腺腫

・濾胞性腫瘍など

 

悪性腫瘍

・乳頭がん

・濾胞がん

・低分化がん

・髄様がん

・未分化癌

・悪性リンパ腫など

甲状腺疾患の治療について

甲状腺疾患の治療方法は、症状や甲状腺疾患の種類によっていくつかの方法があります。主な治療法は以下の通りです。

 

1.薬物療法

甲状腺ホルモンの合成や分泌を減らす効果がある薬を使用します。バセドウ病の場合、甲状腺の働きを抑える抗甲状腺薬が用いられることが一般的です。

 

2.放射性ヨード治療

放射性ヨードを用いて甲状腺ホルモンを作る細胞を破壊し、ホルモンの過剰な分泌を抑えます。

 

3.手術

甲状腺の一部または全部を外科的に切除する方法です。これは、薬物療法や放射性ヨード治療が効果的でない場合や、甲状腺がんの診断がある場合に選択されることがあります。

 

4.ホルモン補充療法

甲状腺機能低下症の場合、甲状腺ホルモンの補充を目的とした治療が行われます。橋本病では、ホルモン製剤を内服することで体の機能を正常に戻せます。

バセドウ病の治療について

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。主な症状には喉仏の下が腫れる、動悸、暑がりになり汗をかくようになる、手足が震える、イライラしやすくなる、体重の減少、便が軟らかくなる、生理が少なくなる(女性の場合)などがあります。

 

バセドウ病の治療は主に三つの方法があります。最初に薬物治療を行うことが一般的です。症状や体質によってはアイソトープ治療や手術が適している場合もあります。

 

薬物治療
甲状腺ホルモンのバランスを整えるために、抗甲状腺薬を使う治療法です。この薬は、甲状腺が作るホルモンの量を減らす助けをしてくれます。

 

毎日決まった量を飲むことで、体の中のホルモンの量が徐々に減っていき、症状も改善されます。ただし、すぐに効果が出るわけではなく、飲み始めてから2週間後くらいから徐々に良くなり、1〜2ヶ月経つとかなり楽になることが一般的です。

 

甲状腺ホルモンの量が正常に戻れば、日常生活に大きな制限はありません。ただし、薬を飲み続けてください。症状が良くなったからといって、自分で薬をやめたり、飲む量を変えたりするのはやめましょう。症状が再び悪化することがあります。医者の指示に従って、定期的に検査を受けながら薬の量を調整していくことが重要です。

 

通常、抗甲状腺薬による治療は2年程度続きます。薬をやめる時期は、検査の結果や体の状態を見て、医者と相談しながら決めます。もし2年間薬を飲んでも症状が改善されない場合や、副作用が強くて薬を続けられない場合は、治療法を変更することもあります。

 

アイソトープ治療
アイソトープ治療は、放射性ヨウ素が含まれたカプセルを一度飲むだけです。このカプセルが体内で甲状腺に向かい、過剰な甲状腺組織を減らして正常なサイズに戻します。治療は通常、一回の服用で完了しますが、甲状腺の大きさによっては数回服用することもあります。治療を受ける際に、入院の必要はありません。

 

治療によって甲状腺ホルモンの生成が減少するため、甲状腺機能低下症になることがあります。しかし、甲状腺ホルモン剤を服用することで対応でき、副作用の心配もほとんどありません。また、アイソトープ治療後の検査は、年に2回程度で済みます。

 

手術
甲状腺の大きさが非常に大きい場合や、バセドウ病眼症がある場合、または妊娠を希望している場合には手術も選択肢になります。手術は通常、約一週間の入院が必要です。甲状腺を全摘出するため、術後は甲状腺ホルモン剤を服用してホルモンのバランスを保つ必要があります。

良性腫瘍に対する治療について

甲状腺濾胞性病変とは、甲状腺に発生する腫瘍の一種で、主に良性のものです。この腫瘍は、甲状腺の濾胞細胞から発生し、厚い被膜に包まれて周囲の甲状腺組織を押し広げるように成長します。

 

通常、単発で発生し甲状腺の機能に影響を与えることなく、痛みや他の症状を引き起こすことは少ないことが特徴です。しかし、腫瘍が大きくなり首の腫れが目立つようになったり、気管や食道を圧迫する症状が出たりする場合には手術が検討されます。

 

手術では、甲状腺の片側を取り除くか、必要に応じて甲状腺全体を取り除くことがあります。これは、濾胞癌の可能性がある場合、リンパ節への転移が少ないとされているためです。もし濾胞癌が確認された場合には、追加の治療を行うために残りの甲状腺組織も取り除くことが必要になることがあります。

 

この手術は、腫瘍が小さくても通常2cm以上の大きさがあるため、腫瘍だけを取り除くのではなく、片葉切除が行われることが一般的です。

 

手術以外の治療としては、甲状腺ホルモン剤を使った治療があります。ただし、効果が不確実で正常な甲状腺機能を抑制する可能性があるため、初回治療としてはあまり推奨されていません。また、エタノール注入療法やラジオ波焼灼療法といった他の治療法もありますが、まだ一般的ではなく、限られた施設でのみ行われています。

悪性腫瘍に対する治療について

悪性腫瘍である甲状腺がんは、甲状腺にできるしこりの中で悪性のものです。甲状腺がんにはいくつかの種類があり、最も一般的なのは乳頭がんで、甲状腺がんの約90%を占めています。

 

甲状腺がんの治療は主に手術、放射線治療、薬物治療の3つです。がんの種類や進行度、健康状態によって治療法を選びます。小さながんやリスクが低い場合は、手術をせずに定期的な検査で様子を見ることもあります。

 

手術
がんを直接取り除く方法です。甲状腺の全部、または一部を取り除けます。手術後は、数日間の入院が必要ですが、その期間は回復具合によって異なります。

 

放射線治療
がん細胞を破壊するために放射線を使います。手術後に残ったがん細胞を取り除くために使われることが多いです。

 

薬物治療
甲状腺ホルモンのバランスを整える薬、がん細胞の特定の分子に作用する薬、広範囲にがん細胞を破壊する薬などがあります。これらは、がんの種類や再発、転移の有無に応じて使われます。

 

【がんの種類による治療の違い】

・甲状腺分化がん
手術が主な治療法ですが、放射線ヨウ素内用療法を併用することもあります。

・髄様がん
甲状腺全摘出術を行います。リンパ節に転移がある場合は、追加でリンパ節を取り除く手術が必要です。再発や転移がある場合は、分子標的薬が使用されることもあります。

・未分化がん
手術が可能なら行い、続いて放射線治療や化学放射線療法が行われることがあります。手術が適さない場合は、他の治療法を組み合わせた集学的治療が検討されます。

甲状腺疾患を疑わせる症状

甲状腺の不調は、さまざまな形で私たちに知らせてくれます。もし以下のような変化を感じたら、それは甲状腺が何かしらのサインを送っているかもしれません。これらの兆候が見られたら、迷わず医師の診察を受けることが大切です。

 

・首の腫れやしこり

・動悸

・食欲の変化

・体重の増減

・手の震え

・気分の変動

・体温調節の問題

・疲労感

・目の変化

・むくみ

・便秘

・声がれ

・発熱や微熱

・月経の問題

 

ひとつひとつの症状は他の病気でも見られることがあるため、専門家による正確な診断が必要です。

甲状腺機能低下症が疑われる場合は内科と耳鼻科どっちに行ったらいい?

首の前部にある甲状腺が腫れたり、硬くなったり、痛みを感じたりすることがあります。その場合に受診する科は、耳鼻科、内分泌代謝内科、一般内科の3つの診療科です。甲状腺の腫れが明らかな場合は、耳鼻科を受診するのが良いでしょう。それ以外で甲状腺の病気が疑われる場合には一般内科か、内分泌代謝内科のどちらかへの受診を検討しましょう。一般内科を受診して専門的な診察が必要だと判断されれば、内分泌代謝内科へ紹介される場合があります。

日常生活の注意点

甲状腺の健康を守るための注意点を紹介します。

 

1.定期的な検査を受ける

症状がなくても、半年ごとに血液検査をし、年に一度はエコー検査を受けましょう。甲状腺機能低下症は進行してから症状が現れることが多いので、早期発見が重要です。

 

2.妊娠と出産

妊娠や出産後はホルモンバランスが崩れやすいため、血液検査でのフォローが必要です。妊娠中に甲状腺機能が低下していると、胎児に影響を与える可能性があります。妊娠がわかったら、クリニックでホルモンの状態をチェックしましょう。

 

3.日常生活で注意すること
ヨードを含むイソジンを使った日常的なうがいや、昆布の過剰摂取は甲状腺機能低下の原因になることがあります。風邪を引いた時の短期間のイソジン使用や、普通量の昆布摂取は問題ありません。

まとめ

この記事では、甲状腺機能低下症が疑われる場合に見られる症状、治療についての選択肢、そして適切な診療科について説明しました。甲状腺の問題に対しては内分泌内科が専門的ですが、一般内科でも対応してもらえます。耳鼻咽喉科は耳、鼻、喉の疾患に特化しているため、ひとまず甲状腺を見てもらう場合は内科が良いでしょう。症状が現れたら、早めに医師の診察を受けることが重要です。

コメント 一般的に「のどが痛い」という時には、のどの奥の痛みを意味していると思います。例えば食べ物を食べたり、飲み物を飲んだりした時にのどに刺激が加わると余計に痛くなるような場合です。一方で甲状腺はのどと言っても身体の前側、つまり皮膚の上から触れることができる位置にあります。したがって、のどを皮膚の上から押して痛むような場合は甲状腺に炎症が起こっていたり、甲状腺が腫れている可能性を考える必要があります。その場合は今回の記事を参考にして、適切な診療科を受診されることをおすすめします。

監修医コメント

医師
田頭 秀悟

一般的に「のどが痛い」という時には、のどの奥の痛みを意味していると思います。例えば食べ物を食べたり、飲み物を飲んだりした時にのどに刺激が加わると余計に痛くなるような場合です。一方で甲状腺はのどと言っても身体の前側、つまり皮膚の上から触れることができる位置にあります。したがって、のどを皮膚の上から押して痛むような場合は甲状腺に炎症が起こっていたり、甲状腺が腫れている可能性を考える必要があります。その場合は今回の記事を参考にして、適切な診療科を受診されることをおすすめします。

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監修医師 田頭 秀悟
経歴:鳥取大学医学部 卒業 / たがしゅうオンラインクリニック院長 / 脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門とし、主として糖質制限食やストレスマネジメント指導を中心に内科疾患全般に対しての診療を行うオンライン総合診療医。 また東洋医学会専門医でもあり、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。 所属:たがしゅうオンラインクリニック
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