ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月29日
ジルテック錠は医療用医薬品に分類されるため、医師の処方箋が必要です。
一方、ジルテック錠と同じ有効成分を配合した市販薬も存在するため、今回はジルテック錠と市販薬との違いについても解説していきます。
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)とは
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)とは1998年にグラクソ・スミスクライン株式会社が販売を開始したアレルギー性疾患治療剤です。有効成分にセチリジン塩酸塩を配合しています。
ジルテックはもともとベルギーの製薬会社であるUCB社で開発された抗アレルギー薬で1986年ベルギーにおいてアレルギー性鼻炎や蕁麻疹の治療薬として承認されていました。
ジルテックには3種類の剤型があり、今回ご紹介する錠剤タイプにはジルテック錠5とジルテック錠10の2種類があります。ジルテック錠5には有効成分セチリジン塩酸塩が1錠中に5mg、ジルテック錠10には有効成分セチリジン塩酸塩が1錠中に10mg配合されています。
またドライシロップタイプ(細粒・顆粒状で水に溶かして服用)もあり、こちらは1g中に有効成分セチリジン塩酸塩が12.5mg(1.25%)配合されています。主に2歳以上の小児に使用されることが多いです。
では有効成分であるセチリジン塩酸塩にはどんな特徴があるのでしょうか?成分の働きについて詳しく見ていきましょう。
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の成分について
ジルテック錠の有効成分であるセチリジン塩酸塩は第二世代抗ヒスタミン薬に分類されます。抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代に分類が分かれており、一般的に第二世代は第一世代に比べて、副作用で起きやすい「眠気」が出にくいのが特徴です。
主に抗アレルギー作用や抗ヒスタミン作用によってアレルギー性鼻炎や皮膚疾患によるかゆみを抑える効果があります。では抗アレルギー作用や抗ヒスタミン作用とはどういった作用なのでしょうか?
抗アレルギー作用
花粉やハウスダストを始めとした、アレルギーを持つ特定の物質(アレルゲン)が身体の中に侵入してくると、ヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー誘発物質が放出されます。
この物質が受容体に結合することによって鼻ではくしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎症状が引き起こされ、皮膚ではかゆみや炎症などの症状を引き起こします。
ジルテック錠の有効成分であるセチリジン塩酸塩は抗アレルギー作用によって肥満細胞からのアレルギー誘発物質の放出を抑えることで、これらの症状を抑えることができます。
抗ヒスタミン作用
アレルギー誘発物質の一つであるヒスタミンはヒスタミン受容体に結合することで、鼻ではくしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎症状を引き起こし、皮膚ではかゆみや炎症などの症状を引き起こします。
抗ヒスタミン作用とはヒスタミン受容体にフタをしてヒスタミンが受容体に結合できないようにする働きです。これによりヒスタミンによって引き起こされるアレルギー性鼻炎症状や皮膚疾患に伴かゆみ症状を抑えることができます。
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)はどんな症状に効果がある?
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)は成人や小児によってそれぞれ効果が異なります。
【成人】
・アレルギー性鼻炎
・蕁麻疹(じんましん)、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症
【小児】
・アレルギー性鼻炎
・蕁麻疹(じんましん)、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の用法・用量は?
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)は剤型や年齢によって服用方法が異なります。
それぞれの服用方法は以下の通りです。
【ジルテック錠10】
通常、成人にはセチリジン塩酸塩として1回10mgを1日1回、就寝前に服用します。
なお、年齢、症状により服用量を増やしたり、減らしたりすることがありますが、1日最大で20mgまで服用することができます。
【ジルテック5】
<成人>
通常、成人にはセチリジン塩酸塩として1回10mgを1日1回、就寝前に服用します。
なお、年齢、症状により服用量を増やしたり、減らしたりすることがありますが、1日最大で20mgまで服用することができます。
<小児>
通常、7歳から14歳までの小児にはセチリジン塩酸塩として1回5mgを1日2回、朝食後と就寝前に服用します。
つまり、ジルテック10・ジルテック5は15歳以上の方が服用できますが、7歳〜14歳の小児の場合はジルテック5のみ服用することができます。
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の副作用
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の重大な副作用に下記の症状があります。このような症状があらわれた場合には、すぐに服用を中止して医師、薬剤師にご相談ください。
・ショック、アナフィラキシー
呼吸困難や血圧低下、蕁麻疹(じんましん)、発赤などがあらわれることがあります。
・痙攣(けいれん)
・肝機能障害、黄疸
血液検査においてAST、ALT、γ-GTP、LDH、AI-Pの上昇や初期症状として全身倦怠感、食欲不振、発熱、吐き気、黄疸があらわれることがあります。
・血小板減少
またそれぞれの領域ごとに起こるその他の副作用を下記に示します。
【精神神経系】
<0.1%〜5%未満>
眠気、倦怠感
<0.1%未満>
頭痛、頭重感、ふらふら感、しびれ感、めまい、浮遊感
<頻度不明>
不眠、振戦、抑うつ、激越、攻撃性、無力症、錯感覚、幻覚、不随意運動、意識消失、健忘、自殺念慮、悪夢
【消化器】
<0.1%〜5%未満>
口渇、嘔気、食欲不振
<0.1%未満>
胃不快感、下痢、消化不良、腹痛、腹部不快感、胃痛、口唇炎、便秘、口唇乾燥感、嘔吐、味覚異常、口内炎
<頻度不明>
腹部膨満感、食欲亢進
【循環器】
<0.1%未満>
動悸、血圧上昇、不整脈(房室ブロック、期外収縮、頻脈、発作性上室性頻拍、心房細動)
【血液】
<0.1%〜5%未満>
好酸球増多
<0.1%未満>
好中球減少、リンパ球増多、白血球増多、白血球減少、単球増多、血小板増加、血小板減少
【過敏症】
<0.1%未満>
発疹、蕁麻疹(じんましん)、浮腫、かぶれ、そう痒感、血管浮腫
<頻度不明>
多形紅斑
【眼】
<0.1%未満>
結膜充血、霧視
<頻度不明>
眼球回転発作
【肝臓】
<0.1%〜5%未満>
ALT上昇、AST上昇、総ビリルビン上昇
<0.1%未満>
Al-P上昇
【腎臓・泌尿器】
<0.1%未満>
尿タンパク、BUN上昇、尿糖、ウロビリノーゲンの異常、頻尿、血尿
<頻度不明>
排尿困難、遺尿、尿閉
【その他】
<0.1%未満>
耳鳴、月経異常、胸痛、ほてり、息苦しさ
<頻度不明>
関節痛、手足のこわばり、嗅覚異常、鼻出血、脱毛、咳嗽、体重増加、筋肉痛
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)に関する注意点
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)は次に該当する人は服用してはいけません。
・ジルテック錠の成分または、ピペラジン誘導体(レボセチリジン、ヒドロキシジンを含む)に対して過敏症の経験がある人
・重度の腎機能障害がある人
また次の人は服用にあたり、注意が必要です。
服用してしまうことで、症状が悪化してしまったり、薬が効き過ぎるおそれがあるためです。
以下に該当する人は必ず医師に相談しましょう。
・てんかん等の痙攣性疾患または、これらの既往歴のある人
けいれんを誘発させるおそれがあります
・腎機能障害のある人
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の効果が強く出てしまうおそれがあります
・肝機能障害のある人
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の効果が強く出てしまうおそれがあります
・高齢の人
腎機能が低下していることが多く、ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の効果が強く出 てしまうおそれがあります
上記の疾患だけでなく妊娠中の人や授乳中の人も注意しましょう。
添付文書には「妊婦または妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または、中止を検討すること」との記載があります。
妊娠中や妊娠の可能性がある人、授乳中の人は主治医に相談してみましょう。
さらに下記のお薬を服用中の人は注意が必要になります。現在、服用中のお薬がある場合は必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
【テオフィリン】
テオフィリンは気管支喘息をはじめ、喘息性(様)気管支炎や慢性気管支炎、肺気腫に使用されるお薬です。テオフィリンを服用している人はジルテック錠(セチリジン塩酸塩)と一緒に服用することでジルテック錠の効き目が強く出てしまう可能性があります。
【リトナビル】
リトナビルはHIV感染症に使用されるお薬です。リトナビルを服用している人はジルテック錠(セチリジン塩酸塩)と一緒に服用することでジルテック錠の効き目が強く出てしまったり、リトナビルの効き目が弱くなってしまう可能性があります。
【中枢神経抑制剤・アルコール】
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)と一緒に服用することで中枢神経抑制作用が増強される可能性があります。
【ピルシカイニド塩酸塩水和物】
ピルシカイニド塩酸塩水和物は頻脈性不整脈に使用されるお薬です。ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)と一緒に服用することでジルテック錠やピルシカイニド塩酸塩水和物の効き目が強く出てしまう可能性があります。
ジルテック錠(セチリジン塩酸塩)と同じ成分の市販薬はある?
これまでお話ししてきた内容は、医療用医薬品のジルテック錠(セチリジン塩酸塩)でしたが、市販薬にも主成分にセチリジン塩酸塩を配合した商品は存在します。
以下がセチリジン塩酸塩を配合した市販薬です。
・コンタック鼻炎Z(第2類医薬品)
・ストナリニZ(第2類医薬品)
ここからはそれぞれの商品について詳しく見ていきましょう。
コンタック鼻炎Z
コンタック鼻炎Zは今回ご紹介したジルテック錠(セチリジン塩酸塩)の販売元であるグラクソ・スミスクライン株式会社が市販薬として発売している商品です。
コンタック鼻炎Zは医療用医薬品のジルテック錠と同様にセチリジン塩酸塩を配合しています。
セチリジン塩酸塩の配合量は10mg(1日量)です。
コンタック鼻炎Zは「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによるくしゃみ、鼻みず、鼻づまり」に対して効果があります。
ストナリニZ
ストナリニZは佐藤製薬が販売するアレルギー性鼻炎用内服薬です。佐藤製薬は風邪・鼻炎薬の「ストナ」シリーズや点鼻薬「ナザール」解熱鎮痛薬「リングルアイビー」など数々の有名市販薬を手がける製薬会社です。
ストナリニZは医療用医薬品のジルテック錠と同様にセチリジン塩酸塩を配合しています。セチリジン塩酸塩の配合量は10mg(1日量)です。
ストナリニZは「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによるくしゃみ、鼻みず、鼻づまり」に対して効果があります。またストナリニZは錠剤タイプのストナリニZとソフトカプセルタイプのストナリニZジェルの2種類があります。
市販薬との違いは?
医療用医薬品のジルテック錠(セチリジン塩酸塩)と市販薬(コンタック鼻炎Z・ストナリニZ)の間には大きく2つの違いがあります。
1つ目は有効成分セチリジン塩酸塩の配合量の違いです。成人の場合、ジルテック錠は1日最大で20mgのセチリジン塩酸塩を服用できるのに対し、市販薬(コンタック鼻炎Z・ストナリニZ)は1日最大で10mgまでの服用となっています。
2つ目は効能の違いです。ジルテック錠はアレルギー性鼻炎をはじめ、蕁麻疹(じんましん)や湿疹などの「皮膚の症状」に対しても使用することができます。しかし市販薬(コンタック鼻炎Z・ストナリニZ)は皮膚の症状には使用することができず、あくまで「鼻の症状」のみの使用になりますので購入の際には注意しましょう。
参考文献
ジルテック錠/添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/820110_4490020F1020_1_27
ジルテック錠/インタビューフォーム
https://gskpro.com/content/dam/global/hcpportal/ja_JP/products-info/zyrtec/zyrtec_tab-if.pdf
ドライシロップ剤/お子さんへのくすりの使い方/くすりの適正使用協議会
https://www.rad-ar.or.jp/use/basis/children/dry-syrup.html
コンタック鼻炎Z/添付文書
https://contac.jp/shared/pdf/con_bien_z.pdf
ストナリニZ/添付文書
https://search.sato-seiyaku.co.jp/pdf/STONARHINIZ.pdf
ストナリニZジェル/添付文書
https://search.sato-seiyaku.co.jp/pdf/STONARHINIZGEL.pdf
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