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コロナ禍によるメンタルヘルス|コロナうつと偏見・差別の矛先とは

監修医師 井林雄太
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

コロナ禍によるメンタルヘルス|コロナうつと偏見・差別の矛先とはのイメージ
2020年1月に国内で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が確認され、もうすぐ2年が経とうとしています。度重なる緊急事態宣言や蔓延防止措置法などが発令され、わたしたちは今まで経験したことのない制限を強いられました。

その結果、ストレスや孤独を強く感じ『メンタルヘルス』つまり『こころの健康』をも侵された人が多くいます。今回は、コロナ禍におけるメンタルヘルスの様々な問題の現状を中心に解説していきます。

コロナ禍により、大きく変わった生活

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、わたしたちの生活は大きく変わりました。会社員は在宅ワークが主流となり、学生はオンラインでの授業となりました。

 

新学期が始まってもクラスメイトと直接会えない異例の事態。また、コロナ禍において求人も減り、高校3年生や大学4年生の就職活動は厳しいものとなっています。

孤独に耐えられない女子中高生の自死が増加

毎年、長期休暇が明けた日(始業式)に中高生の自殺が多いといわれています。
そして、2020年の8月の児童生徒の自殺者数は前年度比の約2倍、うち女子中学生は約4倍、女子高校生に至っては約7倍でした。

 

※2019年8月の自殺者数 中高生合計:29人 女子中学生:3人 女子高校生:3人
2020年8月の自殺者数 中高生合計:63人 女子中学生:8人 女子高校生:23人
児童生徒の月別自殺者数[推移](厚生労働省・警察庁)② より抜粋

 

児童生徒の自殺原因は「いじめ」がいちばんに思いつきますが、原因がわかる(遺書など存在)自殺原因として次の3つに分けられます。
1.進路に関する悩み、学業不振など学校問題
2.うつ病、その他の精神疾患など健康問題
3.家族からのしつけ・叱責など家庭問題

 

各教育委員会等に対し注意を喚起し、学校関係者は保護者と密に連絡を取り合い、必要に応じて家庭訪問をする、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置により教育体制の充実を図っています。

 

また、文部科学省は「24時間子供SOSダイヤル」を設置しました。
子供のSOSの相談窓口:文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm

「コロナ鬱(うつ)」とは

コロナ禍において、メディアで報道されるようになった「コロナ鬱(うつ)」という言葉。しかし、コロナ鬱は病名でも医学用語でもなく、はっきりとした定義もありません。

 

COVID-19に罹るのではないかという不安や恐怖、制限の多い暮らしに対するストレスや気分の落ち込み、新型コロナウイルスに対して過敏に反応している状態が原因とされています。
症状は様々であり、うつ病に類似しています。

コロナ鬱を解消する方法

基本的なことですが、下記の5つは重要です。
・毎日同じ時間に入眠・起床
・気の合う人とコミュニケーションをとる(電話やLINEなど)
・趣味を作る
・運動する。できれば午前中早い時間に日光に当たる。
・睡眠を十分とる
体内時間のリズムを整え、「気分転換」「ストレス発散」「十分な休養」がポイントです。

 

また、国としてもコロナ禍におけるメンタルヘルスの問題は重要視しており、下記は厚生労働省が心の悩みの相談窓口をまとめたページになっています。必要に応じて、ご活用ください。
心の悩みにおける相談窓口一覧|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000643326.pdf

命を守るゲートキーパー

『ゲートキーパー』という言葉を知っていますか?

“「ゲートキーパー」とは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことで、言わば「命の門番」とも位置付けられる人のこと”

ゲートキーパー|自殺対策|厚生労働省 より抜粋

ゲートキーパーに適する人として、下記の職業、関係者が挙げられています。
・地域のかかりつけの医師、保健師
・行政や関係機関などの相談窓口
・民生委員・児童委員や保健推進委員、ボランティア
・家族や同僚、友人 など

あなたもゲートキーパーになりうる

そう、家族や同僚、友人でいつもとおかしい言動があるならば、あなたもゲートキーパーになりえるのです。ゲートキーパーには特別な資格などいりません。

 

下記のURLよりゲートキーパーの心得や声かけの仕方などがあるので、ご参考ください。

 

命を守る「ゲートキーパー」とは?|まもろうよ こころ|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/gatekeeper/

あなたもゲートキーパーに! 大切な人の悩みに気づく、支える | 暮らしに役立つ情報|政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201402/2.html

COVID-19感染者への偏見・差別

第5波が過ぎ去り、一時期に比べるとCOVID-19新規感染者数は東京都で62人(2021年10月14日現在)と減少傾向にあります。

 

それでも、新型コロナウイルスは根絶されたわけではなく、今なお感染対策は必要不可欠であり、誰がいつどこで罹ってもおかしくはない状況は続いています。

 

しかし、COVID-19感染者に対する偏見・差別・いじめや風評被害など後を絶ちません。

どこかで情報が漏れ、COVID-19感染者だと周りに知られると「あの人は感染したから近寄るな」などと言われる、感染者の氏名や行動をSNS上で公表・非難される、回復したのに出社拒否される、最悪な場合は感染を理由に解雇されるなどの報告されています。

偏見・差別の矛先は患者だけではない

残念ながら、偏見や差別的取扱いの矛先は感染者本人だけではなく、感染者の家族、また医療従事者、エッセンシャルワーカー※など不特定多数の人と関わる仕事をしている人やその家族にまで及んでいます。

※エッセンシャルワーカー…日常生活における必要不可欠な仕事を担う労働者
具体例:医療従事者、各種福祉関係者、スーパーなどの小売業の店員、郵便配達員やトラック運転手など

 

武蔵野赤十字病院の泉 並木院長は、医療従事者の子供が差別を受けている報告を受け、病院のホームページ上にCOVID-19患者の受け入れをしていても、医療従事者の感染はゼロであることを明記し、次の文章を掲載しました。

 

“(略)私たちは医療者としての自覚を持ち院外でも三密を避ける、マスク着用、手洗いなど感染予防行動を徹底しており、医療者を通じて子供など家族に感染することは決してありません。
(略)今後もコロナウイルス感染との闘いは続くと予想され、国民は団結してウイルスと戦っていかなければならないと思います。

医療従事者を暖かく励ましていただき、わが国全体でこの難局を乗り切ることが大切だと思います。くれぐれも、医療従事者が傷つくような言動は控えていただきますようお願い申し上げます。”

 

医療従事者の家族に対する偏見や差別について|武蔵野赤十字病院 より一部抜粋

新型コロナワクチンを受けない人にも偏見が

ワクチン接種をしないという理由で、感染者と同様に解雇になった例も報告があります。
接種対象年齢の全国民にワクチン接種票は送付されますが、あくまでもワクチン接種は「努力義務」。本人の意志によるもので強制力はありません。
接種票の中の「かかりつけ医の同意を得ているか?」という質問があるように、持病などが原因で、ワクチンを受けたくても受けられない人もいます。

また、重症化を防ぐメリットと副反応などのデメリットを十分理解した上で、これから訪れるブースター接種(3回目)を受けるかを冷静に判断し、ワクチンを受けない人を非難することはやめましょう。

 

ちなみに、mRNAワクチンを用いた新型コロナワクチン(ファイザー社製、武田/モデルナ社製)による副反応の症状は1回目接種より2回目接種の方が頻度が高いことがわかっています。

 

では、3回目接種は2回目よりも副反応が強く出るのか、と心配になると思います。すでに3回目のブースター接種が実施されているアメリカのCDC(アメリカ疾病予防管理センター)より報告された内容は、2回目と3回目は副反応の頻度は大きく変わらないとのことです。

改正特措法により偏見や差別を防止

日本政府もこの偏見や差別を問題視し、COVID-19に関する偏見や差別を防止するための規定を設けました。(「新型インフルエンザ等対策特別措置法を一部改正する法律」2021年2月13日施行)

 

改正特措法では、感染者やその家族、医療従事者等の人権の尊重などが盛り込まれ、これからも国や地方公共団体はCOVID-19に関する差別的取扱い等の実態把握や啓発活動をおこなっていくことを明言しています。

まとめ

コロナ禍におけるメンタルヘルスの問題について解説しました。
COVID-19のニュースが毎日流れ、目に見えない感染への恐怖や不安が過剰となった結果、今回解説したCOVID-19に関する様々な悲しい現実が起きているのだと推測されます。

 

わたしたちは間違った情報に流されず、正しい情報を見極めなければならないのです。

※なお、この記事で用いたデータは、2021年10月17日現在のものです。

参考文献
コロナ禍における児童生徒の自殺等対策について|令和3年2月26日更新版|文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20210303-mxt_jidou01-000013164_003.pdf
コロナ禍における児童生徒の自殺等に関する現状について|令和2年2月15日|文部科学省
www.mext.go.jp%2Fcontent%2F20210216-mxt_jidou01-000012837_003.pdfこころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト|厚生労働省
https://kokoro.mhlw.go.jp/
「コロナうつ」、それって病気? | ヨミドクター(読売新聞)

「コロナうつ」、それって病気? 


ゲートキーパー|自殺対策|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/gatekeeper_index.html
医療従事者の家族に対する偏見や差別について|武蔵野赤十字病院 https://www.musashino.jrc.or.jp/notice/20-158.pdf

最近ではオンライン診療を行っている病院も増えており、誰でも気軽に相談できるという状況が生まれています。

 

オンライン診療は、

・受付や会計の待ち時間が短縮される。

・自宅や外出先で診療が受けられる。

・院内処方の場合くすりが自宅に届く。

・院内感染・二次感染のリスクがない。

などのメリットがあり、非常に便利なサービスです。

 

SOKUYAKUでは、多数の診療科目や全国から病院を探すことができます。

 

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周辺への感染の可能性を配慮して外出を控えたいやその他事情により、病院に行くことが難しい場合は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修医師 井林雄太
内分泌代謝/糖尿病の臨床医。健康長寿に関連するミトコンドリア基礎研究に従事しつつ、内分泌代謝内科専門医や糖尿病専門医等の資格を取得。最近では内科学に加え、栄養・アンチエイジング学にも専門を広げ、予防医学の一環として教育に力を入れながら情報発信を行っている。
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