ダイアート錠(アゾセミド)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月28日
今回はその中でもループ利尿薬に属するダイアート錠(アゾセミド)について解説します。
ダイアート錠(アゾセミド)とは
ダイアート錠は、1960年代後半にドイツ べーリンガー・マンハイム社(現ロシュ社)において、利尿及び塩類排泄作用をもつ化合物として開発されました。
アゾセミドは投与量に依存して利尿作用をもつ点においては今まで処方されてきたループ利尿剤と同様でしたが、臨床試験の結果今までのループ利尿薬より利尿作用の持続時間が長いことが判明しました。
1978年には心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫に対しての効果が認められ、1987年6月にダイアート錠の承認を得て、同年7月発売された医薬品です。
発売されてから30年以上の歴史をもつ医薬品になります。
ダイアート錠(アゾセミド)の成分について
体のむくみ(浮腫)の原因の一つに体内の過剰な水分貯留があり、血液中にもたくさんの水分が含まれているため血液の流れが悪くてもむくみが起こることがあります。
腎臓の尿細管と呼ばれる部位で尿(原尿)に含まれる水分などを血液中へ戻す再吸収が行われています。尿細管は主に近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管、集合管という部位に分かれ、それぞれの部位で再吸収が行われています。
尿細管での水分の再吸収を阻害すれば血液へ戻る水分量が減り、尿として排泄される水分量が増えます。その結果として、体内にある水の量が減ることになります。
ループ利尿薬とは、主にヘンレループでの再吸収を抑制し、尿量を増やして体の過剰な水分を排泄することでむくみを改善する作用をもっています。
また、体内の水分量が減れば血液量も減るため、心臓への負担を軽くする効果も期待できるため、心不全などへ使用する医薬品になります。
ダイアート錠(アゾセミド)はどんな症状に効果がある?
添付文書上の適応は下記の通りになります。
心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫
利尿効果が高いため、浮腫に使用することの多い医薬品です。
ダイアート錠(アゾセミド)の用法・用量は?
添付文書上の用法・用量は下記の通りとなっています。
ダイアート錠(アゾセミド)は規格によって用法用量が変わるのでしっかり確認することが大切になってきます。
・ダイアート錠30mg
通常成人1日1回2錠(アゾセミドとして60mg)を経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減。
・ダイアート錠60mg
通常成人1日1回1錠(アゾセミドとして60mg)を経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減。
利尿作用が強く現れやすい患者さんや60mgでも効果が薄い患者さんもいるので、服用後の様子を聴取しながら投与量を決定していきます。
ダイアート錠(アゾセミド)の副作用
この項目では、ダイアート錠(アゾセミド)の重大な副作用とその他の副作用の項目に分けて説明していきます。
重大な副作用
電解質異常
低カリウム血症、低ナトリウム血症などの電解質異常があらわれることがあります。服用後に異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うことが必要となってきます。
どちらも採血を行った上で何が不足しているのかを判別し、必要な電解質(カリウム、ナトリウムなど)を投与することで改善が見られることが多いです。
無顆粒球症、白血球減少
無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあります。服用後に異常が認められた場合は、投与を中止し適切な処置を行ってください。
無顆粒球症や白血球減少になってしまうと菌やウイルスに感染しやすくなり命の危険を伴う場合もありますので、発熱などの風邪症状や口内炎がなかなか治らないなどの症状があれば免疫が低下している可能性があるので、早急にかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
その他の副作用
添付文書上のその他の副作用は下記の通りになっています。
代謝異常
低クロール性アルカローシス、高尿酸血症、高血糖症、高コレステロール血症、高トリグリセライド血症
過敏症
発疹(服用後に痒み、発疹が出た場合は服用を中止して医師の指示を仰いでください。)
消化器症状
嘔気、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、下痢、腹痛、口渇、膵炎
血液系の症状
血小板減少(血が固まりにくなります。症状が出た場合は早急に受診してください。)
肝臓機能障害
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、ビリルビン値上昇
腎臓機能障害
BUN上昇、クレアチニン上昇
精神神経系の症状
0めまい、耳鳴、頭痛
その他の症状
脱力感、倦怠感、筋痙攣、関節痛
いずれも早期発見、早期対応することで悪化を防ぐことのできる副作用になっています。服用後に体調がおかしいなと感じたら医師・薬剤師に相談してください。
ダイアート錠(アゾセミド)に関する注意点
使用禁忌・注意の患者さん
ダイアート錠(アゾセミド)は利尿作用を促して浮腫を改善する医薬品になるため、無尿の患者さんには効果が期待できないことから禁忌とされています。
また、肝性昏睡のある患者さん、血液中のナトリウム、カリウムの濃度が減少している患者さん、スルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者さんは使用禁忌となっています。
使用注意の患者さんとして、進行している肝硬変症の患者さん、本人や家族に糖尿病や痛風の既往のある患者さん、下痢・嘔吐の患者さんなどが挙げられます。
特に、下痢や嘔吐がある時は体の水分が不足しがちで電解質異常を起こしやすいといわれています。服用している方は早めに医療機関を受診してダイアート錠(アゾセミド)を服用していることを申告し、医師の指示を仰いでください。
併用禁忌・注意の医薬品
デスモプレシンという薬を使用している患者さんでは併用することで低ナトリウム血症を発症してしまうため禁忌となっています。
併用注意の医薬品として、ACE阻害薬やβ遮断薬などの降圧薬、アミノグリコシド系の抗生剤、シスプラチン(抗がん剤)、ジギタリス製剤、ステロイドなどの医薬品が挙げられます。
併用することは可能ですが、ダイアート錠(アゾセミド)の副作用の確率を上げてしまうことがありますので、服用を継続するかどうかは医師とよく相談してください。
高齢者
高齢者では急激な利尿は脱水、低血圧等による立ちくらみ、めまい、失神などを起こすことがあります。特に心疾患で浮腫のある高齢者では急激な利尿は急速な血漿量の減少により血液濃縮起こすため脳梗塞などの血栓塞栓症を誘発するリスクが高くなります。
また、それに伴って高齢者では低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすいことがわかっています。高齢者には、少量から投与を開始するなど状態を観察しながら慎重に投与することが大切になってきます。
小児
ダイアート錠(アゾセミド)は心臓や肝臓、腎臓に浮腫が見られる小児にも使用されることがあります。しかし、低出生体重児では腎臓が石灰化するおそれがあります。
また、乳児では電解質バランスがくずれやすいため、服用後の経過や血液検査をみて適正な投与量を決定し、慎重に投与することが求められてきます。
妊婦・授乳婦
妊婦(2カ月〜6カ月)または妊娠している可能性のある患者さんにはダイアート錠(アゾセミド)による治療が必要だと判断された場合にのみ投与することとされています。
また、類似薬で乳汁中に薬剤が移行されていることが確認されているため、ダイアート錠(アゾセミド)投与中は粉ミルクに変えるなどして、授乳を避けさせるようにしてください。
ダイアート錠(アゾセミド)と同じ成分の市販薬はある?
ダイアート錠(アゾセミド)と同成分の市販薬、また他の利尿薬についても市販されている商品はありません。
適応が心疾患、肝臓浮腫、腎浮腫など医療機関でしっかり診察された上で処方される医薬品なので、今後も市販化されることはないと考えられます。
最後に
今回はダイアート錠(アゾセミド)について解説していきました。また別の医薬品についての解説もしていますので、興味がある方はそちらもご覧になってください。
参考文献
ダイアート錠30mg/ダイアート錠60mg 添付文書・インタビューフォーム
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2139008F1056_1_12/?view=frame&style=SGML&lang=ja
ループ利尿薬の解説|日経メディカル処方薬辞典
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf82a2.html
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