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ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム) に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 伊波 綾乃
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)  に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
痛み止めや解熱剤には色々な種類があります。頭痛や発熱時、腰などの痛み、抜歯後の痛みなどの症状で処方されるので、服用したことがある方がほとんどと思われます。

今回はその中でもボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)について焦点をあてて解説していこうと思います。

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)とは

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)は1965 年にスイス のCIBA- GEIGY 研究所(現ノバルティス ファーマ社)で開発された医薬品です。

 

鎮痛・抗炎症・解熱作用をもっており、その化学構造は副腎皮質ホルモンとは異なり、フェニル酢酸誘導体と呼ばれるの非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)に分類されます。

 

日本では1974 年に世界に先駆けて発売され、その後スイス、アメリカ、イギリス 等で発売されています。また、1982 年には坐剤としてボルタレンサポを発売しており、坐薬ながらにボルタレン錠同様その鎮痛・抗炎症効果は高いと評価されています。

 

1990 年にはボルタレンSRカプセルが発売され、その他にも経皮吸収型製剤としてボルタレンゲル、 ボルタレンテープ、ボルタレンローションが発売されています。

 

また、2021年5月には各種がんにおける鎮痛目的としてジクトルテープが発売れされ、がん性疼痛における治療の幅が広がりました。

 

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)の特徴としては、鎮痛効果の発現が速く投与後 30 分以内に効果が発現すること、錠剤は粒が小さいので飲みやすいことが挙げられます。

発熱・痛み・炎症について

「痛み」「発熱」「炎症」は身体に何らかの異常や異変が生じている状態に感知するものです。

 

もし、「痛い」という感覚がなかったら、危険を察知したり、回避することができず、ケガや病気を繰り返したり、命の危険につながることもあります。「痛み」は本来、私たちの身体や命を守る、生命活動に欠かせない役割を持ちます。

 

次に発熱・痛み・炎症がどのようにして起こるのかのメカニズムについて説明します。
痛み刺激が脳に伝わると、アラキドン酸という物質がシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によってプロスタグランジンという物質に変換されます。

このプロスタグランジンが痛み・発熱・炎症の原因になっています。

作用機序

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)を含む非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬(NSAIDs)に共通する作用なのですが、NSAIDsはアラキドン酸からプロスタグランジンに変換するシクロオキシゲナーゼ(COX)の働きを阻害しプロスタグランジンの生成を抑制することで、鎮痛・解熱・抗炎症効果を発揮します。

冒頭でも説明したとおり作用は強力で効果の発現も速く、内服薬の場合は服用後30分ほどで効果を示します。

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)はどんな症状に効果がある?用法用量は?

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)は切り傷、火傷、打撲、骨折、抜歯後の痛み、一部の頭痛、生理痛、関節リウマチなどの炎症性の痛みなどの「侵害受容性疼痛」と呼ばれる痛みに対して主に効果を発揮します。

 

剤型がたくさんあるのでいくつかの剤型の適応と用法用量について紹介していきます(剤型が多いのでボルタレンローション、ボルタレンゲル、ジクロフェナクナトリウム点眼については割愛いたします)。

ボルタレン錠(25mg)

一般的に使用される剤型になります。抜歯後に処方された方も多いのではないでしょうか?

錠剤の適応、用法用量は以下の通りです。

適応
1)下記の疾患ならびに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、腱鞘炎、頸肩腕症候群、神経痛、  後陣痛、骨盤内炎症、月経困難症、膀胱炎、前眼部炎症、歯痛
2)手術後ならびに抜歯後の鎮痛・消炎
3)記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

用法用量
1,2)通常、成人にはジクロフェナクナトリウムとして1日量75〜100mgとし原則として3回に分け経口投与してください。また、頓用する場合には25〜50mgとしてください。なお、空腹時の投与は避けさせることが望ましいです。
3)通常、成人にはジクロフェナクナトリウムとして1回量25〜50mgを頓用してください。なお、年齢、症状により適宜増減できます。原則として1日21回までとし、1日最大100mgを限度とされています。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましいです。

ボルタレンサポ(12.5mg、25mg、50mg)

坐薬(サポ)は主に内服困難な患者さん(経管の患者さん、激しい嘔吐などで内服困難な患者さん、小児)に使用されることが多いです。

 

適応、用法用量は以下の通りです。

適応
1)下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、後陣痛
2)手術後の鎮痛・消炎
3)他の解熱剤では効果が期待できないか、あるいは、他の解熱剤の投与が不可能な場合の急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の緊急

用法用量
【成人】ジクロフェナクナトリウムとして通常1回25〜50mgを1日1〜2回、直腸内に挿入するが、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましいとされています。低体温によるショックを起こすことがあるので、高齢者に投与する場合には少量から投与を開始してください。
【小児】ジクロフェナクナトリウムとして1回の投与に体重1kgあたり0.5〜1.0mgを1日1〜2回、直腸内に挿入してください。なお、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましいとされています。低体温によるショックを起こすことがあるので、少量から投与を開始してください。
年齢別投与量の目安は1回量として下記のとおりです。
1才以上3未満:6.25mg
3才以上6才未満:6.25〜12.5mg
6才以上9才未満:12.5mg
9才以上12才未満:12.5〜25mg

ボルタレンテープ(15mg、30mg)

湿布薬は肩こり、腰痛、関節痛などで処方されたことのある方も多いのではないでしょうか。

適応
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎 (テニス肘等)、筋肉痛 (筋・筋膜性腰痛症等)、外傷後の腫脹・疼痛

用法用量
1日1回患部に貼付してください。

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)の副作用

ボルタレン錠・ボルタレンサポ(ジクロフェナクナトリウム)の重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、出血性ショックまたは裂孔を伴う消化管潰瘍、再生不良性貧血などの血球異常、急性腎不全、ネフローゼ症候群、重症喘息発作(アスピリン喘息)などがあります。

いずれも頻度不明となっています。

 

0.1〜5%の確率で消化器症状(食欲不振、悪心・嘔吐、胃痛など)の症状が、0.1%未満の確率で消化器潰瘍、胃腸出血、吐血、下血など消化器の出血を伴う症状が出てくることがあります。

 

服用後に胃の痛みや悪心・嘔吐、アレルギー症状、喘息発作が出た場合は服用を中止し、すぐに医療機関を受診してください。また、消化管出血の特徴として便が黒くなることがあるので一つの目安にしてみてください。

 

また、ボルタレンテープの副作用としてショック、接触皮膚炎、光線過敏症、刺激感、浮腫、水疱などの皮膚症状が頻度不明で起こっており、肌の弱い人は貼付部位がかぶれてしまったり、痒みが出てくることがあります。

 

もしショックなどの症状が起きてしまったらすぐにテープを剥がし医療機関を受診してください。また、かぶれてしまった場合はテープを剥がし貼付部位を石鹸でしっかり洗い流して経過をみて、1〜2日経っても症状が改善しない場合は皮膚科受診してください。

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)に関する注意点

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)を使用するにあたり注意する点は、過去にNSAIDsを使用してショック・アナフィラキシーを起こしたことがないか、気管支喘息、消化管潰瘍などの既往がないかということです。

 

これらの既往がある方は再度ショックやアナフィラキシーを起こしたり、喘息の悪化、消化管潰瘍の再燃が起こる可能性が極めて高いため使用を控えることをお勧めします。

 

また、インフルエンザの患者さんへ使用すると「インフルエンザ脳症」を起こしてしまう可能性が高まるので、インフルエンザ疑いがある時は服用を避けてください。

 

小児へ投与後に「ライ症候群」を発症したという報告もあるため、原則小児への投与を行うことはありません。これはNSAIDs系の薬剤全てに当てはまることです。

 

多数の総合感冒薬に含まれているので小児へ市販薬を使用する際には医薬品情報をしっかり調べるようにしましょう。

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)と同じ成分の市販薬はある?

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)の内服薬の市販薬は発売されていません。一方で、NSAIDs系の市販薬として「ロキソニンS」「ロキソニンSプラス」「ロキソニンSプレミアム」が発売されています。

 

こちらは第一類医薬品なので薬剤師のいる薬局やドラッグストアでのみ販売されているものですが、軽い頭痛や腰痛などの緊急性を伴うような症状ではない場合は市販薬で様子をみてみるのもいいかもしれません。

 

外用薬はゲル、ローション、テープ、スプレー剤が発売されています。こちらは第二類医薬品なので登録販売者のいるドラッグストアなどで購入可能です。手軽に入手できるので、骨折などの疑いがない場合は市販薬を使用してみるのもいいと思います。

最後に

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)は非常に効果の高い解熱・鎮痛・抗炎症薬です。ですが、使い方を間違えてしまうと持病の悪化を招いたり、副作用により入院が必要となってくることもあるので注意が必要です。

 

また、定期的に薬を飲んでいる方は服用している薬と相性が合わないという場合もあります。服用する際には医師・薬剤師に相談することをお勧めします。

 

参考文献
ボルタレン錠|添付文書
痛みの情報サイト-疼痛(疼痛).jp|ヴィアトリス/エーザイ
ボルタレンEX/AC 公式サイト

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監修薬剤師 伊波 綾乃
総合病院で4年、保険薬局で3年勤務。がん治療期~緩和ケア領域、小児科、耳鼻科、透析、心療内科を経験。現在はフリーランス。 症状に適したお薬選びができるよう、読者の皆様の手助けができればと思います。
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