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ラシックス錠(フロセミド)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 小村 稜
更新日:2024年02月27日

更新日:2024年02月27日

ラシックス錠(フロセミド)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
ラシックス錠は、フロセミドを有効成分とする利尿降圧剤に分類されるお薬です。利尿薬の中でもラシックス錠は効果が強いループ利尿薬に分類され、心不全や腎不全、高血圧を治療するために医療現場では広く使用されています。

今回は、ラシックス錠に含まれている有効成分のフロセミドについて、その効果や副作用について詳しく解説していきます。

ラシックス錠(フロセミド)について

まずはラシックス錠の製品について紹介します。

ラシックス錠の歴史
ラシックス錠は、今から56年前の1965年に発売されました。発売以降、心不全や腎不全、高血圧等に広く使用されている歴史の長いお薬です。サノフィ・アベンティス株式会社から販売されていましたが、2011年4月に日医工株式会社に販売移管されました。

 

現在は、製造販売承認をサノフィ株式会社(2012年にサノフィ・アベンティスからサノフィに社名変更)が保有し、日医工株式会社より販売されています。

 

錠剤以外の剤形
ラシックス錠はフロセミドの含有量によりラシックス錠10mg、ラシックス錠20mg、ラシックス錠40mgの3つの規格があります。錠剤以外に細粒や注射剤が販売されており、ラシックス細粒4%、ラシックス注20mgはラシックス錠と同様に利尿降圧剤として、ラシックス注100mgは利尿剤として分類されています。

ラシックス錠(フロセミド)の成分について

ラシックス錠の有効成分であるフロセミドは利尿降圧剤に分類され、利尿や降圧効果を期待して使用されます。フロセミドは利尿薬の中でも利尿作用が強力であるループ利尿薬に分類されます。

 

今回ご紹介しているラシックス錠(フロセミド)はループ利尿薬の中で、よく使われているお薬です。ここでは、フロセミドの成分の特徴について解説していきます。

 

フロセミドの働き
フロセミドは主に腎尿細管のヘンレループ上行脚でのNa-K-Cl共輸送体を阻害し、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Cl(クロール)の再吸収を阻害することで利尿作用を示します。
ナトリウムは体内に存在する電解質の一つで、体液のバランスを正常に保つ働きがあります。主に食べ物や飲み物から体内へ摂取され、主に汗や尿と共に体外に排泄されます。

 

正常な状態では、腎臓の働きにより尿の排出量が調整され、体内のナトリム濃度は一定に保たれることで体液のバランスは保たれていますが、何かの原因で体液が増えすぎると血圧の上昇や浮腫(むくみ)としてと現れます。そのため、余分な体液は体外に排泄させる必要がある場合に利尿薬を用いられます。

 

フロセミドの性質
光によって徐々に着色してしまいます。光を避けて保管するようにしましょう。

ラシックス錠(フロセミド)はどんな症状に効果がある?

ラシックス錠の添付文書に記載がある効能・効果は以下の通りです。

・高血圧症(本態性、腎性等)
・悪性高血圧
・心性浮腫(うっ 血性心不全)
・腎性浮腫
・肝性浮腫
・月経前緊張症
・末梢 血管障害による浮腫
・尿路結石排出促進

ラシックス錠(フロセミド)の用法・用量は?

ラシックス錠の添付文書に記載されている用法・用量は以下の通りです。

“通常、成人にはフロセミドとして1日1回40~80mgを連日又は隔日経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。腎機能不全等の場合にはさらに大量に用いることもある。ただし、悪性高血圧に用いる場合には、通常、 他の降圧剤と併用すること。”
ラシックス®︎添付文書

 

ラシックス錠(フロセミド)の特徴を考慮し、用法や用量は医師により患者に応じて設定されます。

用法に関連するラシックス錠(フロセミド)の特徴
服用開始後1時間以内に利尿効果が発現し、6時間程度持続します。睡眠障害をさけるため1日1回投与の場合は朝に投与されることが一般的です。しかし、疾患によっては夜間に投与されることもあります。

用量に関連するラシックス錠(フロセミド)の特徴
フロセミドを経口投与した場合(飲み薬として服用した場合)、効果の発現は個人差が大きいとされています。そのため、医師による経過的な観察が必要な薬剤です。

ラシックス錠(フロセミド)の副作用

医療現場では広く使用されているラシックス錠ではありますが、「重大な副作用」の報告があります。重大な副作用が発現することはごくまれではありますが、発現した場合、死に至るような可能性のある重篤な副作用です。

 

症状の重篤化を回避するためには早期発見が必要ですので重大な副作用に関しては初期症状を一緒にご紹介していきます。

 

以下にご紹介する症状は一例ですので、服用開始後に体調の変化がある場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

1. ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシーとはお薬が体内に入ってすぐに現れるアレルギー反応のことです。初期症状としては、口内異常感、そう痒感、紅潮・熱感、くしゃみ、しびれ感、悪心、嘔吐、尿意、喘息などが挙げられ、さらに症状が進行すると血圧低下、チアノーゼ、眼前暗黒感、痙攣、気道浮腫、呼吸困難などが現れます。

2. 再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少、赤芽球癆
免疫反応により血液疾患を引き起こすことが知られています。

初期症状としては、発熱、咽頭痛、倦怠感、点状・紫斑出血、鼻出血、歯肉出血などが挙げられます。

3. 水疱性類天疱瘡
水疱性類天疱瘡とは自己免疫性の皮膚疾患です。初期症状としては、皮膚の紅斑、水疱(水膨れ)、そう痒・膨疹などが挙げられます。

4. 難聴
初期症状としては、聴力の低下、耳閉感、めまい、口のまわりがしびれる、顔がほてるなどが挙げられます。

5.中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens ‐Johnson 症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)の初期症状は、発熱、頭痛、関節痛、口腔粘膜・外衣部粘膜・眼粘膜などの紅斑・水膨れなどがあげられます。

6. 心室性不整脈(Torsades de pointes)
初期症状はめまい、意識消失、失神などが挙げられます。

7. 間質性腎炎
初期症状は、全身性の過敏反応による発熱、皮疹、関節痛、悪心、嘔吐、下痢、体重減少などが挙げられます。

8.間質性肺炎
初期症状は、発熱、息切れ・呼吸困難、乾性咳(空咳)などが挙げられます。
重篤な副作用以外で注意が必要な副作用として、以下のような代表的な副作用が挙げられます。
・低K血症
・脱水
・ふらつき、めまい

ラシックス錠(フロセミド)に関する注意点

ラシックス錠に関する注意点をご紹介します。

電解質失調、脱水に注意

ラシックス錠(フロセミド)の利尿効果は急激にあらわれることがあるので、電解質失調、脱水に十分注意しましょう。体重や水分補給量、排泄量を観察しましょう。

また、電解質失調とは電解質の釣り合いがとれなくなることです。連用する場合は、定期的な検査により早期の発見につながります。

めまい・ふらつきに注意

降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあります。立ち上がったり、起き上がるときは動作をゆっくりにするとよいでしょう。

高い所での作業や自動車の運転等の危険を伴う機械を操作する際には注意が必要です。

ラシックス錠(フロセミド)の服用に注意が必要な方

ラシックス錠(フロセミド)を服用してはいけない方、注意して服用する必要がある方がいます。過去に薬剤に対するアレルギー歴がある方や服用中のお薬がある方は、注意が必要です。ご自身で判断せず、必ず医師または薬剤師に伝えるようにしましょう。

ラシックス錠(フロセミド)を服用できない方

・無尿の患者
・肝性昏睡の患者
・体液中のナトリウム、カリウムが明らかに減少している患者
・スルフォンアミド誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
・ミニリンメルト(デスモプレシン酢酸塩水和物)を服用中の患者
ミニリンメルト(デスモプレシン酢酸塩水和物)は男性における夜間多尿による夜間頻尿の改善のため用いられるお薬です。ミニリンメルトを服用中の方はラシックス錠を服用することはできません。併用することで低ナトリウム血症が発現するおそれがあります。

ラシックス錠(フロセミド)の服用に注意が必要な方

・高齢者
・妊婦、産婦
・授乳婦:授乳は避けることととされています。
・低出生体重児・乳児

ラシックス錠(フロセミド)と同じ成分の市販薬はある?

ラシックス錠と同じ成分の市販薬はありません。ラシックス錠は医師の指示により、利尿作用や降圧作用を期待して服用します。

浮腫(むくみ)や高血圧の症状が気になる方は、そのまま放置せず医療機関を受診するようにしましょう。

 

参考文献
・ラシックス錠10mg/ラシックス錠20mg/ラシックス錠40mg|添付文書
・「ラシックス®」「オイテンシン®」「セロクラール®」販売移管のご案内|サノフィ・アベンティス株式会社 日医工株式会社
・利尿薬の使い方|医学書院
・体内でのナトリウムの役割の概要|MSDマニュアル家庭版
・利尿薬を正しく使いこなそう 腎疾患における処方の基本|第回日本腎臓学会学術総会 モーニングセミナー|日医工株式会社

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監修薬剤師 小村 稜
医療編集プロダクションMEDW代表
Webディレクター / 薬剤師

今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
「メディアから医療を支える」をミッションに活動している
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