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イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 小村 稜
2021年08月29日
イトリゾールカプセルはイトラコナゾールを有効成分として含む抗真菌活性を持つ医療用医薬品です。今回は、イトリゾールカプセルの効果、用法・用量、服用するときに注意すべき点を詳しく解説し、同じ成分を含む市販薬の有無を紹介していきます。

イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)とは

イトリゾールカプセルはヤンセンファーマ株式会社が製造販売している真菌感染症治療に用いる医療用医薬品です。イトリゾールはカプセルの他に内用液と注射剤が承認を受けて販売されています。

イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)の成分について

イトリゾールカプセルの有効成分であるイトラコナゾールは抗真菌薬に分類される医薬品成分で、真菌の細胞膜を構成する主要成分の生合成を行うタンパク質の働きを阻害することで抗真菌活性を示します。抗真菌活性を持つ医薬品成分はイトラコナゾール以外にテルビナフィン塩酸塩やアムホテリシンBなどがあります。

また、真菌にはいくつか種類があり、病原性を持ち感染症の原因となる真菌の他にキノコや発酵食品に含まれる酵母も真菌の一種です。

イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)はどんな症状に効果がある?

イトリゾールカプセルは以下の真菌が原因の疾患に効果があります。

適応菌種
皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ属、マラセチア属、アスペルギルス属、クリプトコックス属、スポロトリックス属、ホンセカエア属

適応症
1. 内臓真菌症(深在性真菌症)
 真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎

2. 深在性皮膚真菌症
 スポロトリコーシス、クロモミコーシス
   
3. 表在性皮膚真菌症(爪白癬以外)
 白 癬:体部白癬、股部白癬、手白癬、足白癬、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡

 カンジダ症:口腔カンジダ症、皮膚カンジダ症、爪カンジダ症、カンジダ性爪囲爪炎、カンジダ性毛瘡、慢性皮膚粘膜カンジダ症
 
 癜風、マラセチア毛包炎

4. 爪白癬

イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)の用法・用量は?

イトリゾールカプセルは対象とする疾患に応じて用法・用量が以下のように異なります。

・内臓真菌症(深在性真菌症):
成人は食直後に1日1回イトラコナゾールとして100-200mgを服用します。なただし、イトラコナゾール注射剤からイトリゾールカプセルへ切り替える際は、イトリゾールカプセルをイトラコナゾールとして200mgを1日2回食直後に服用します(1日400mgまで)。

・深在性皮膚真菌症:
成人は食直後に1日1回イトラコナゾールとして100-200mgを服用します(1日200mgまで)。

・表在性皮膚真菌症(爪白癬以外):
成人は食直後に1日1回イトラコナゾールとして50-100mgを服用します。ただし、爪カンジダ症とカンジダ性爪囲爪炎に対してイトリゾールカプセルを用いるときは、1日1回食直後にイトラコナゾールとして100mgをします(1日200mgまで)。

・爪白癬(パルス療法):
成人は1日2回食直後にイトラコナゾールとして1回200mgを1週間服用した後に3週間休薬するサイクルを3回繰り返します。パルス療法とは、短期間で薬を服用した後に薬を飲まない期間も含めて治療期間とする方法です。

なぜ「食直後」服用か?

一般に口から飲んだ薬の有効成分が効果を発揮するためには、消化管から吸収されて体内(血中)へ移行する必要があります。また、消化管の中でも小腸の上部で溶けている有効成分が吸収に寄与すると考えられています。

しかしながら、イトリゾールカプセルの有効成分であるイトラコナゾールは水に非常に溶けにくい成分であるため、食事を摂る前の小腸内ではほぼ溶けません。一方で、食後の消化管内には食事成分や分泌された胆汁酸によって水に溶けにくい成分でも溶けやすくなっています。

つまり、食事を摂った直後にイトリゾールカプセルを服用することは、イトラコナゾールの吸収量を上げるために有効な手段だといえます。

イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)の副作用

イトリゾールカプセルを服用したときに起こる副作用として肝障害、間質性肺炎、下痢、発疹、浮腫などが報告されています。

イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)に関する注意点

併用薬があるときは医師または薬剤師へ相談

イトリゾールカプセルに含まれている有効成分であるイトラコナゾールは、多くの医薬品成分が体内から消失するときにかかわるタンパク質であるCYP3A4やP糖タンパクの働きを阻害します。また、イトラコナゾール自身もCYP3A4によって代謝されます。そのため、イトリゾールカプセルと併用できない(併用禁忌)もしくは併用するときには注意が必要(併用注意)な成分があります。

1.イトラコナゾールのCYP3A4阻害作用によって併用薬の血中濃度が上昇
・併用禁忌:トリアゾラム、シンバスタチン、スボレキサント
・併用注意:ハロペリドール、シクロスポリン、アトルバスタチン

2.イトラコナゾールのP糖タンパク阻害作用によって併用薬の血中濃度が上昇
・併用禁忌:アリスキレン、ダビガトラン

3.イトラコナゾールのCYP3A4およびP糖タンパク阻害作用によって併用薬の血中濃度が上昇
・併用禁忌:リバーロキサバン、リオシグアト
・併用注意:ニロチニブ、アピキサバン

4.併用薬のCYA3A4阻害作用によってイトラコナゾールの血中濃度が上昇
・併用注意:クラリスロマイシン、リトナビル

5.併用薬とイトラコナゾールのCYP3A4阻害作用によって両方の血中濃度が上昇
・併用注意:インジナビル、テラプレビル

6.併用薬のCYP3A4誘導によってイトラコナゾールの血中濃度が低下
・併用注意:リファンピシン、フェニトイン

7.併用薬の胃酸分泌抑制作用によってイトラコナゾールが溶けにくくなることで血中濃度が低下
・併用注意:ファモチジン、ランソプラゾール

服用できない場合がある

以下に該当する場合はイトリゾールカプセルを服用できません。

・ピモジド、キニジン、ベプリジル、トリアゾラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソルジピン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン、バルデナフィル、エプレレノン、 ブロナンセリン、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)、アスナプレビル、バニプレビル、スボレキサント、イブルチニブ、チカグレロル、アリスキレン、ダビガトラン、リバーロキサバン、リオシグアトを投与中の患者
理由:イトラコナゾールのCYP3A4やP糖タンパク阻害作用により併用薬の血中濃度が上昇する可能性があるため。

・肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者
理由:コルヒチンの作用が増強する可能性があるため。

・重篤な肝疾患にかかっている、もしくはかかっていた患者
理由:不可逆的な肝障害が生じる可能性があるため。

・妊婦又は妊娠している可能性のある患者
理由:動物実験で催奇形性が報告されているため。

イトリゾール「内用液」とは別物

イトリゾールにはカプセルの他に内用液もあります。イトリゾールカプセルとイトリゾール内用液はどちらも口から摂取するタイプの医薬品ですが、適応症や用法・用量が一部異なる
ため、注意が必要です。

用法・用量で大きく異なる点は服用するタイミングです。イトリゾールカプセルは、吸収量を少しでも高くするため「食直後」服用が基本でしたが、イトリゾール内用液は「空腹時」服用です。これは、イトリゾール内用液の添加物にイトラコナゾールを見かけ上溶けやすくする成分が含まれていることから、食後の消化管内の環境でなくてもイトラコナゾールが溶けるためです。

イトリゾールカプセル(イトラコナゾール)と同じ成分の市販薬はある?

医療用医薬品のイトリゾールカプセルの有効成分であるイトラコナゾールを含む市販薬は販売されていません。一方で、水虫の治療薬としてはイトラコナゾールに似た成分であるテルビナフィン塩酸塩やブテナフィン塩酸塩を有効成分として含む市販の外用薬は販売されています。水虫の治療に対しては、上記の成分を含む市販の外用薬を試してみても良いでしょう。

今回はイトラコナゾールを有効成分として含む抗真菌薬のイトリゾールカプセルについて紹介しました。イトリゾールカプセルは食直後に服用することや併用薬に注意が必要な医療用医薬品です。特に既に服用している医薬品を医師が把握しておくことは適切な治療を受けることに繋がるため、併用薬は事前に知らせておきましょう。
参考資料
イトリゾールカプセル50|添付文書
イトリゾール内用液1%|添付文書
MSDマニュアルプロフェッショナル版 真菌感染症の概要
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監修薬剤師 小村 稜
医療編集プロダクションMEDW代表
Webディレクター / 薬剤師

今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
「メディアから医療を支える」をミッションに活動している
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