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ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 小村 稜
2021年08月28日
ニトロペン舌下錠は有効成分としてニトログリセリンを含む医療用医薬品で、狭心症発作の症状を和らげるために長い間用いられています。今回は、ニトロペン舌下錠の効果や用法・用量、副作用、さらには服用するときに注意すべき点を紹介していきます。

ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)とは

ニトロペン舌下錠とは、狭心症の発作時に症状を緩和させるために使用する医療用医薬品で、医師の処方せんに基づいて薬局で受け取りができます。有効成分が持つ爆発性や揮発性などの問題を解決したニトロペン舌下錠は1979年に日本での製造が許可され、1988年から販売が開始されています。

舌下錠とは

「舌下錠」という言葉に馴染みがない方も多いかもしれませんが、舌下錠とは口腔粘膜から有効成分を吸収させるための錠剤です。
服用するときは錠剤を舌の下に入れて自然に溶かしてくます。このとき、飲み込んだりかみ砕いてしまうと十分な効果が発揮できないため注意してください。
ニトロペンが舌下錠として開発された理由は舌下錠のメリットとともに後ほど詳しく解説します。

ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)の成分について

ニトロペン舌下錠の有効成分は「ニトログリセリン」です。ニトログリセリンは爆発性のある物質で爆薬の原料にもなります。しかしながら、ニトロペン舌下錠は添加剤など製剤設計を工夫しているため、正しく使用していれば爆発することはありません。

ニトログリセリンは硝酸薬の一種

ニトログリセリンは「硝酸薬」と呼ばれることがあります。一般に、硝酸薬は細胞の中で一酸化窒素に変換され、産生された一酸化窒素が冠動脈や静脈を拡張する働きがあります。冠動脈の拡張は酸素供給量の増加させ、静脈の拡張は一度に心臓へ流れ込む血液量を減らすことで心臓の負荷を軽減します。以上の働きにより、ニトロペン舌下錠を服用することで狭心症発作の症状を軽減してくれます。
また、硝酸薬はニトログリセリンの他に硝酸イソソルビド、ニコランジルがあり、ニトログリセリンと同じく主に狭心症の治療に用いられています。

なぜ「舌下錠」?

舌下錠のメリットは「肝臓を通らずに血中へ有効成分が移行できること」です。これにより、以下のように大きく2つのメリットがあります。

① 通常の経口剤と比較して作用発現までの時間が早い
② 血中移行前の肝臓での代謝を回避できる

ニトロペン舌下錠は発作が起きたときの症状緩和を目的として服用するため、①のように服用してから効果が出るまでの時間は短いほど効果的です。その点では静脈内投与が最も有効ですが、発作はいつ起こるか分からないため、普段から持ち歩いて異変が起きたときに服用できる錠剤が好まれます。ちなみに、ニトロペン舌下錠を服用後、4分程度で血中のニトログリセリン濃度が最も高くなります。

また、ニトログリセリンは肝臓で非常に代謝を受けやすい医薬品成分です。そのため、ニトログリセリンにとって②は非常に有効で、血中のニトログリセリン濃度を少しでも高くすることができます。

ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)はどんな症状に効果がある?

ニトロペン舌下錠は狭心症・心筋梗塞・心臓喘息・アカラジアの一時的緩解を目的として服用することができ、主に狭心症の発作時に用いられます。
狭心症とは、何らかの原因で血管が狭くなってしまうことで心臓を動かすために必要な血液(酸素)が十分に供給されず、胸部に痛みを伴う疾患です。狭心症と心筋梗塞のように、心臓を動かす細胞(心筋細胞)への酸素供給が不十分な状態が続くことで胸痛などを生じる疾患をまとめて虚血性心疾患と呼ぶことがあります。

ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)の用法・用量は?

有効成分としてニトログリセリン0.3mgがニトロペン舌下錠1錠あたりに含まれており、成人に対してニトロペン舌下錠を1~2錠舌下投与します。さらに、狭心症に対して服用する場合は、服用から数分間で効果が現れない場合はニトロペン舌下錠1~2錠を追加投与します。

ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)の副作用

ニトロペン舌下錠の副作用は、脳貧血・血圧低下・頭痛・動悸・めまい・発汗などが報告されています。

ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)に関する注意点

ニトロペン舌下錠を服用する際に注意すべき点を紹介していきます。

狭心症の発作に対して服用するときの注意点

ニトロペン舌下錠は服用してから4分ほどで有効成分であるニトログリセリンの血中濃度が最も高くなるため、通常ニトロペン舌下錠服用から数分以内に効果が現れます。しかしながら、ニトロペン舌下錠を服用してから数分経っても効果が現れない場合は追加でニトロペン舌下錠を1~2錠服用できます。

1回の狭心症発作でニトロペン舌下錠を3錠まで服用できますが、発作が15~20分以上持続する場合はすぐに医師へ連絡してください。

耐性が生じることがある

ニトロペン舌下錠または他の硝酸薬を継続的に服用していると、ニトログリセリンなどの有効成分に対して耐性が生じて作用が減弱することがあります。ニトロペン舌下錠など発作時に服用する医薬品は安易に服用せず、発作が起きそうもしくは起きたときにのみ確実に服用してください。

授乳中に服用した場合は一定期間の授乳を中止させることがある

ニトロペン舌下錠の有効成分であるニトログリセリンは血液中から乳汁中へ移行する可能性があるため、ニトロペン舌下錠を服用した授乳婦は授乳の中止が必要な場合もあります。また、妊娠中の安全性は明らかになっていないため、ニトロペン舌下錠による治療の有益性が危険性を上回る場合のみ服用できます。
ニトロペン舌下錠を服用する可能性がある妊婦もしくは授乳婦は医師へ相談しましょう。

ニトロペン舌下錠を服用できない場合がある

ニトロペン舌下錠は以下の状態では服用できない場合(禁忌)があります。

・重篤な低血圧または心原性ショックの患者
  理由:血管拡張作用により、さらに血圧を低下させることで症状を悪化させる可能性があるため。

・閉塞隅角緑内障の患者
  理由:眼圧を上昇させる可能性があるため。

・高度な貧血の患者
  理由:血圧低下によりめまいや立ちくらみなど貧血症状を悪化させる可能性があるため。

・ホスホジエステラーゼ5阻害薬作用(例:シルデナフィルクエン酸塩)またはグアニル酸シクラーゼ刺激作用(例:リオシグアト)を持つ医薬品成分を含む医薬品を服用中の患者
  理由:ニトロペン舌下錠との併用により過度に血圧を低下させる可能性があるため。

併用に注意が必要な医薬品成分がある

ニトロペン舌下錠はホスホジエステラーゼ5阻害作用またはグアニル酸シクラーゼ刺激作用を持つ医薬品成分との併用はできない(併用禁忌)と紹介しました。ここでは、禁忌ではないものの、ニトロペン舌下錠と併用するときは注意する必要がある医薬品成分を紹介します。

・降圧作用および血管拡張作用のある成分(例:Ca拮抗剤、利尿剤など)
  理由:血圧低下作用が相加的に増強されるため。

・他の硝酸薬
  理由:血管拡張作用が増強されるため。

・非ステロイド性抗炎症薬(例:アスピリン)
  理由:ニトロペン舌下錠服用による血管拡張作用が減弱する可能性があるため。

・アルコール
  理由:血圧低下作用が相加的に増強するため。

これらの成分を含む医薬品を服用している場合は、自己判断で服用を中止せずに医師または薬剤師へ相談してください。他にも医薬品を既に服用している場合はお薬手帳などを活用して医師や薬剤師へ伝えておくと良いでしょう。

ニトロペン舌下錠(ニトログリセリン)と同じ成分の市販薬はある?

ニトロペン舌下錠の有効成分であるニトログリセリンを含む市販薬は現在販売されていません。「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」というセルフメディケーションの考えは重要ですが、全ての疾患に当てはまるわけではありません。
狭心症の発作などは医師の指示に基づいて状況に応じた治療を行っていく必要があるため、市販薬で対応できる疾患とは言えません。

今回紹介したニトロペン舌下錠はニトログリセリンを有効成分として含む狭心症の発作などの一時的緩解を目的として服用する医療用医薬品で、現在はニトログリセリンを含む市販薬は販売されていません。ニトロペン舌下錠を服用中もしくはこれから服用する可能性のある方で不安に感じることがある場合は、医師または薬剤師に相談してから服用しましょう。


参考文献
ニトロペン舌下錠0.3mg添付文書
わかりやすい病気のはなしシリーズ8 狭心症|一般社団法人 日本臨床内科医会
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監修薬剤師 小村 稜
医療編集プロダクションMEDW代表
Webディレクター / 薬剤師

今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
「メディアから医療を支える」をミッションに活動している
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