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アシノン錠(ニザチジン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 小村 稜
更新日:2024年02月21日

更新日:2024年02月21日

アシノン錠(ニザチジン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
病院やクリニックなどの医療機関でのみ取り扱うことのできるアシノン錠(ニザチジン)というお薬をご存じでしょうか。胃潰瘍や十二指腸潰瘍など消化器系の疾患に対して使用されるお薬です。

今回はアシノン錠(ニザチジン)について成分の特徴や効果、副作用について詳しく解説します。
医療用医薬品であるアシノン錠(ニザチジン)だけでなく、薬局やドラッグストアで販売しているアシノンZについても解説しているので最後までご覧ください。

アシノン錠(ニザチジン)とは

アシノン錠(ニザチジン)は日本では2007年にゼリア新薬工業株式会社から販売が開始された医療用医薬品です。

このお薬は「H2受容体拮抗剤」に分類され、胃潰瘍・十二指腸潰瘍をはじめとした消化器系疾患に対して使用されます。

 

病院やクリニックなどの医療機関から発行された処方箋をもとに薬局などで受け取ることができる医療用医薬品です。

成分の配合量によって75mg錠と150mg錠があり、医師の判断の元、適切な剤形が処方されます。

アシノン錠(ニザチジン)の成分について

アシノン錠(ニザチジン)に配合されている有効成分は「ニザチジン」です。「ニザチジン」は「H2受容体拮抗剤」に分類される成分であり、胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体を遮断し、持続的に胃酸分泌を抑制します。

 

胃酸の分泌を促進する神経伝達物質にはヒスタミン、ガストリン、アセチルコリンなどがあり、それぞれの受容体に結合することで胃酸の分泌を促進します。「ニザチジン」はヒスタミンが結合するヒスタミンH2受容体をブロックすることでヒスタミンの胃酸分泌促進効果を抑制します。

 

お薬に詳しい方の中にはヒスタミン受容体をブロックすると聞いて鼻炎や花粉症などに対する抗アレルギー薬を連想する方もいるかもしれません。

 

ヒスタミン受容体にはH1やH2などいくつかの種類があり、アレルギー症状に関係するのは「ヒスタミンH1受容体」です。アシノン錠(ニザチジン)は「ヒスタミンH2受容体」をブロックするお薬ですので抗アレルギー作用は有していません。ご注意ください。

アシノン錠(ニザチジン)はどんな症状に効果がある?

アシノン錠(ニザチジン)の効果および効能は次の通りです。

・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎
・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

上記のうち特徴的なものについて詳しく解説します。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

消化性潰瘍は、消化管粘膜の一部に生じるびらんで、粘膜筋板を貫通するものを指します。典型的な症状としてみぞおち付近が焼けるように痛み、しばしば食事によって軽減するのが特徴です。

 

発生する部位によって名称が区別され、胃にできる消化性潰瘍を胃潰瘍、十二指腸にできるものを十二指腸潰瘍と呼びます。多くの症例がヘリコバクターピロリ感染症または非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の使用に起因すると言われています。

ヘリコバクターピロリ感染症および非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、粘膜の正常な防御および修復機構を妨げることにより、胃酸が胃や十二指腸などを刺激してしまいます。アシノン錠(ニザチジン)は胃酸の分泌を抑制することで、胃酸から胃や十二指腸を守ります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸を含む胃の内容物が胃から食道へ逆流し、食道の炎症を引き起こす疾患です。食道はのどから胃をつなぐ管で、正常な状態では一方向のみに輸送を行い、逆流することはありません。

 

しかしながら、肥満やアルコール摂取、特定薬剤の服用が原因となり、しばしば胃の内容物が逆流してしまうことがあります。胃は胃粘膜によって胃酸から保護されていますが、食道にはこのような保護機能がないため、胃酸が食道へと逆流すると炎症や損傷が生じることがあります。

 

症状としてはみぞおちからのどの周辺が焼けるように痛むことが挙げられます。アシノン錠(ニザチジン)は胃酸の分泌を抑制することで逆流する胃酸の量を減らし、上記の症状を和らげます。

アシノン錠(ニザチジン)の用法・用量は?

アシノン錠(ニザチジン)の用法・用量は症状によって異なります。

〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍〉
通常、成人はニザチジンとして1回150mgを1日2回(朝食後、就寝前)経口にて服用します。

また1回300mgを1日1回(就寝前)経口投与することも可能です。なお、年齢、症状により適宜増減することが添付文書上に記載されています。

 

〈逆流性食道炎〉
通常、成人はニザチジンとして1回150mgを1日2回(朝食後、就寝前)経口にて服用します。

なお、年齢、症状により適宜増減することが添付文書上に記載されています。

 

〈下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期〉
通常、成人はニザチジンとして1回75mgを1日2回(朝食後、就寝前)経口にて服用します。

なお、年齢、症状により適宜増減することが添付文書上に記載されています。

アシノン錠(ニザチジン)の副作用

アシノン錠(ニザチジン)の服用中に次の重大な副作用が現れることがあるので注意してください。

・ショック、アナフィラキシー
顔面蒼白、血圧低下、全身発赤、呼吸困難等が現れることがあります。

・再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少
白血球が減ることによる発熱や咳などの感染症の症状、赤血球が減ることによる体動時の動悸、息切れ、疲れやすさなどの貧血症状、血小板減少による易出血性が現れることがあります。

・肝機能障害、黄疸
AST、ALT、γ-GTPの上昇等をともなう肝機能障害、黄疸が現れることがあります。

・間質性腎炎
初期症状として発熱、腎機能検査値異常(BUN、クレアチニン上昇等)等が見られる場合があります。

・中毒性表皮壊死症
高熱や全身倦怠感を伴う、皮膚や粘膜、眼における広範は紅斑、びらん、水疱が現れる場合があります。

・房室ブロック
脈が遅くなる不整脈の一種。息切れや動悸、疲れやすいなどの症状が現れることがあります。

アシノン錠(ニザチジン)に関する注意点

腎機能が低下している方や高齢者は特に注意が必要です。アシノン錠(ニザチジン)は主に腎臓の働きによって体外へと排泄されるお薬です。

 

持病や年齢によって腎機能が低下している方はアシノン錠(ニザチジン)の血中濃度が高まり、副作用のリスクが高くなります。特にアシノン錠(ニザチジン)などの「H2受容体拮抗剤」にはせん妄の副作用が知られており注意が必要です。

 

またアシノン錠(ニザチジン)の服用によって胃がんによる症状を隠蔽することがあるので注意が必要です。

アシノン錠(ニザチジン)と同じ成分の市販薬はある?

アシノン錠(ニザチジン)の有効成分である「ニザチジン」には薬局やドラッグストアで購入可能な市販薬が存在しています。
アシノン錠(ニザチジン)を販売しているゼリア新薬工業株式会社から発売されているアシノンZ錠とアシノンZ胃腸内服液です。

アシノンZ錠

アシノンZ錠は1錠中に「ニザチジン」が75mg配合されているお薬です。アシノン錠(ニザチジン)とは効果・効能、用法・用量が異なるため注意してください。

アシノンZ錠は第1類医薬品に分類されるため、薬剤師のいるドラッグストアなどで購入可能です。

効果・効能
胸やけ、むかつき、胃痛、もたれ

用法・用量
成人(15歳以上、80歳未満):1回1錠  1日2回まで
15歳未満、80歳以上 :服用しないでください

服用後8時間以上たっても症状が治まらない場合にはもう1錠服用してください。

アシノンZ胃腸内服液

アシノンZ胃腸内用液は1本中(30ml)に「ニザチジン」が75mg配合されているお薬です。

アシノンZ錠とは異なり、液体タイプのお薬ですので錠剤を飲むのが苦手な方、水のない状況でも服用することが可能です。

アシノンZ胃腸用内服液は第1類医薬品に分類されるため、薬剤師のいるドラッグストアなどで購入可能です。

効果・効能
胸やけ、むかつき、胃痛、もたれ

用法・用量
成人(15歳以上、80歳未満):1回1瓶(30ml)  1日2回まで
15歳未満、80歳以上 :服用しないでください

服用後8時間以上たっても症状が治まらない場合にはもう1錠服用してください。

 

この記事で紹介した市販薬は一時的な症状に使用するということを覚えておいてください。

症状が長く続く場合や、これらの市販薬を3日間服用しても改善が見られない場合には医師や薬剤師に相談してください。

参考資料

添付文書 アシノン錠75mg/アシノン錠150mg
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2325005F1031_1_07/

MSD マニュアル プロフェッショナル版 消化性潰瘍
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%83%83%E7%82%8E%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E6%B6%88%E5%8C%96%E6%80%A7%E6%BD%B0%E7%98%8D/%E6%B6%88%E5%8C%96%E6%80%A7%E6%BD%B0%E7%98%8D

MSD マニュアル 家庭版 胃食道逆流症
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/03-%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E9%A3%9F%E9%81%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%A8%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E8%83%83%E9%A3%9F%E9%81%93%E9%80%86%E6%B5%81%E7%97%87-gerd

N.Kikkawa et al. General Hospital Psychiatry 2011 72 88-91
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0163834321001092

添付文書 アシノンZ錠
https://www.zeria.co.jp/healthcare/acinonz/lineup/img/tablet2.pdf

添付文書 アシノンZ胃腸内服液
https://www.zeria.co.jp/healthcare/acinonz/lineup/img/liquid2.pdf

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監修薬剤師 小村 稜
医療編集プロダクションMEDW代表
Webディレクター / 薬剤師

今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
「メディアから医療を支える」をミッションに活動している
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