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パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 伊波 綾乃
更新日:2024年02月20日

更新日:2024年02月20日

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
胃薬として作用する方法に「胃酸の分泌を抑える作用をもつ薬」と「胃粘膜を保護する薬」の2種類があります。また、胃酸の分泌を抑える作用をもつ薬は主に2種類に分類されます。

胃粘膜細胞にあるH2受容体を阻害する「H2拮抗薬」と、胃粘膜細胞にあるプロトンポンプを阻害し胃酸の分泌を阻害する「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」があります。

今回はプロトンポンプ阻害薬(PPI)に分類されるラベプラゾールナトリウムについて解説していきます。

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)とは

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)は1994年にエーザイ株式会社によって発売された医薬品になります。

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)の成分について

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)は、胃粘膜細胞のプロトンポンプを阻害することによって胃酸の分泌を抑える医薬品になります。

 

なお、酸性条件下では不安定で、胃酸により急速に分解されてしまいます。このためパリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)には胃酸に対する安定性を確保するため、腸で溶けるように設計されています。

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)の適応症

添付文書上の適応症は下記の通りになります。
・5mg/10mg
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、非びらん性胃食道逆流症、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制

下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
・20mg
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)の用法・用量

添付文書上の用法・用量は下記の通りになります。
5mg/10mg
〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群〉
成人には1回10mgを1日1回経口投与しますが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができます。

なお、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与制限があります。

 

〈逆流性食道炎〉
治療:逆流性食道炎の治療においては、成人には1回10mgを1日1回経口投与しますが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができます。

なお、通常8週間までの投与とされています。また、プロトンポンプ阻害薬による治療で効果不十分な場合、1回10mgまたは1回20mgを1日2回、さらに8週間経口投与することができます。

1回20mg1日2回投与は重度の粘膜傷害がある場合に限ります。

維持療法:再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、成人には1回10mgを1日1回経口投与します。

また、プロトンポンプ阻害薬による治療で効果不十分な逆流性食道炎の維持療法においては1回10mgを1日2回経口投与することができます。

 

〈非びらん性胃食道逆流症〉
通常、成人には1回10mgを1日1回経口投与してください。

なお、通常4週間までの投与とします。

 

〈低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制〉
通常、成人には1回5mgを1日1回経口投与しますが、効果不十分の場合は1回10mgを1日1回経口投与することができます。

 

〈ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助〉
通常、成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mg、アモキシシリンとして1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与してください。

なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができますが、1回400mg(力価)1日2回を上限とします。

 

プロトンポン阻害薬、アモキシシリン及びクラリスロマイシンの3剤投与によるヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功の場合は、これに代わる治療として、通常成人にはラベプラゾールナトリウムとして1回10mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びメトロニダゾールとして1回250mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与してください。

 

20mg
〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群〉
通常、成人には1回10mgを1日1回経口投与しますが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができます。

なお、胃潰瘍、吻合部潰瘍では8週間まで、十二指腸潰瘍では6週間までの投与とされています。

 

〈逆流性食道炎〉
逆流性食道炎の治療においては、通常、成人には1回10mgを1日1回経口投与となっていますが、病状により1回20mgを1日1回経口投与することができます。

なお、通常8週間までの投与とされています。

また、プロトンポンプ阻害薬による治療で効果不十分な場合、1回10mg又は1回20mgを1日2回、さらに8週間経口投与することができます。

ただし、1回20mg1日2回投与は重度の粘膜傷害がある場合に限ります。

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)の副作用

重大な副作用

・ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
・ 汎血球減少(頻度不明)、無顆粒球症(頻度不明)、血小板減少(0.1%未満)、溶血性貧血(頻度不明)
・ 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1~5%未満)、黄疸(頻度不明)
・ 間質性肺炎(0.1%未満)
・ 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑等
・ 急性腎障害(頻度不明)、間質性腎炎(頻度不明)腎機能検査に注意する
・ 低ナトリウム血症(頻度不明)
・ 横紋筋融解症(頻度不明)
・ 視力障害(頻度不明)
・ 錯乱状態(頻度不明):せん妄、異常行動、失見当識、幻覚、不安、焦燥、攻撃性等があらわれることがある

その他の副作用

過敏症

発疹、瘙痒感 0.1~5%未満
蕁麻疹 0.1%未満

——————–
血液

白血球減少、白血球増加、好酸球増多、貧血 0.1~5%未満
赤血球減少、好中球増多、リンパ球減少 0.1%未満

——————–
肝臓

AST、ALT、Al-P、γ-GTP、LDHの上昇 0.1~5%未満
総ビリルビンの上昇 0.1%未満

——————–
循環器

血圧上昇 0.1~5%未満
動悸 0.1%未満

——————–
消化器

便秘、下痢、腹部膨満感、嘔気、口内炎 0.1~5%未満
めまい、ふらつき、眠気、四肢脱力、知覚鈍麻、握力低下、口のもつれ、失見当識 0.1%未満
せん妄、昏睡 頻度不明

——————–
精神神経系

頭痛 0.1~5%未満
めまい、ふらつき、眠気、四肢脱力、知覚鈍麻、握力低下、口のもつれ、失見当識 0.1%未満
せん妄、昏睡 頻度不明

——————–
その他

総コレステロール・中性脂肪・BUNの上昇、蛋白尿、血中TSH増加 0.1~5%未満
かすみ目、浮腫、倦怠感、発熱、脱毛症、しびれ感、CKの上昇 0.1%未満
目のちらつき、関節痛、筋肉痛、高アンモニア血症、低マグネシウム血症、女性化乳房 頻度不明

 

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)服用開始後に上記のような症状が見られた場合はすぐに医師・薬剤師にご相談ください。

また、重大な副作用の項目に当てはまる場合は直ちに医療機関を受診して、適切な治療を受けてください。

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)に関する注意点

基本的な注意点

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)の投与中には、血液像や肝機能に注意し、定期的に血液学的検査・血液生化学的検査を行うことが望ましいとされています。

併用禁忌・併用注意の医薬品

併用禁忌
・アタザナビル
・リルピビリン
どちらの薬剤も胃酸抑制によるpHの低下により吸収率が悪くなってしまうため、併用禁忌とされています。
併用注意
・ジゴキシン
・メチルジゴキシン
・イトラコナゾール
・ゲフィチニブ
・水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム含有の制酸剤
・メトトレキサート

使用禁忌の患者さん

・アタザナビル、リルピビリン服用中の患者さん
・パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)で過敏症が起きたことのある患者さん

高齢者

消化器症状等の副作用があらわれた場合は休薬するなど慎重に投与することとされています。

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)は主として肝臓で代謝されますが、高齢者では肝機能が低下していることが多く、副作用があらわれることが多いです。

また、他の医薬品を服用している可能性も高いので、お薬手帳に現在服用している薬を記録しておき、医師・薬剤師に確認させるようにしてください。

小児

小児等を対象とした臨床試験は実施していないため、安全性は確立されていません。

妊婦・授乳婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療が必要だと判断される場合にのみ投与することとされています。
また、授乳婦では治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討することとされています。服用するかどうかはかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

パリエット錠(ラベプラゾール)と同じ成分の市販薬はある?

パリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)と同成分の市販薬は販売されていません。
類似薬として「ガスター10(ファモチジン)」は第一類医薬品として市販化されています。

 

数日間服用しても症状が改善しない場合は他の病気が隠れている可能性もあるので、すぐに医療機関を受診してください。

最後に

今回はパリエット錠(ラベプラゾールナトリウム)について解説しました。
胃薬は他にも多数あります。いくつか記事をあげているので、よければそちらもご一読ください。

参考資料
パリエット錠5mg/10mg(ラベプラゾール)添付文書・インタビューフォーム
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2329028F1023_1_33/?view=frame&style=XML&lang=ja
パリエット錠20mg(ラベプラゾール)添付文書・インタビューフォーム
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2329028F2020_1_22/?view=frame&style=XML&lang=ja

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監修薬剤師 伊波 綾乃
総合病院で4年、保険薬局で3年勤務。がん治療期~緩和ケア領域、小児科、耳鼻科、透析、心療内科を経験。現在はフリーランス。 症状に適したお薬選びができるよう、読者の皆様の手助けができればと思います。
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