発熱外来はどんなときに受診すればいい?診察対象になる症状や診療内容を詳しく解説
更新日:2024年07月27日
この記事では、発熱外来で診察の対象になる症状や診療内容を詳しく解説します。急な体調不良に備えて、適切な対応ができるようにしましょう。
発熱外来とは
発熱外来は、風邪をひいたり、熱が出たりしたときに他の方にうつさないように、病院で用意された特別な場所です。ここでは、普通の診察室とは違って、感染症の心配がある人だけを診てくれます。
このアイデアは、以前に流行したSARSという病気のときに始まりました。SARSは、風邪と似たような症状がありますが症状が重くなる場合があります。そのため、感染症が広がらないように、発熱外来が作られました。発熱外来では、新型コロナウイルス感染症のような新しい感染症が出た場合に設置されることがあります。
発熱外来は、他の方や医療スタッフへの感染リスクを最小限に抑える目的を持っています。
発熱外来で診察してくれる主な疾患
・インフルエンザ
・肺炎
・新型コロナウイルス感染症
・腎盂腎炎(尿路感染症)
発熱外来で診察してくれる疾患は、まず新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症が挙げられます。また、感染症以外の熱をきたす病気であっても、発熱外来の対象です。診察の結果、肺炎、尿路感染症などの入院が必要な感染症が疑われる場合は、発熱外来での検査後に、専門の診療科への紹介受診となることもあります。
以下のような症状がある場合に、発熱外来の対象となります。
・体温が上昇している(通常よりも高い体温)
・全身のだるさや疲れが感じられる
・息苦しさがある
・喉に痛みや違和感がある
・味覚や嗅覚に異常を感じる
・鼻水や咳が止まらない
・下痢や嘔吐の症状がある
・新型コロナウイルス感染症やインフルエンザにかかった方と接触した後に体調不良になった場合
これらの症状が続く場合や発熱外来を受診した方が良いのか分からない場合は、医療機関に事前に確認しましょう。
発熱外来の診察方法
発熱外来では、発熱の原因が感染症であるかどうかを診断する目的があります。そのため、診断前は通常の診察室とは別のエリアで、出来るかぎり直接対面をせずに診察が行われます。
1.予約
ウェブサイトまたは電話で予約します。この際、症状や過去の病歴、連絡先などの情報が必要です。
2.待機
指定された診察時間に病院に到着し、指示された場所で待機してください。車でそのまま待機する場合もあります。
3.診察または検査
医師による診察が行われ、症状の確認や必要に応じて検査が実施されます。まず、最初にインフルエンザやコロナの検査を行ってから診察を行うこともあります。
4.帰宅
診察後は、指示に従って帰宅します。処方箋がある場合は、薬を受け取りましょう。
上記が発熱外来を受診する際の基本的な流れです。診察では問診、聴診、視診、触診などが行われます。
問診
問診は、医師が患者さんの健康状態を把握し、正確な診断を下すための大切な手段です。診察が始まる前に、自分の体調や健康に関する情報を問診表に記入します。発熱外来の場合は、対面しないように電話での問診やWEBやアプリでの入力が必要な場合もあります。
問診の内容は、現在感じている症状だけでなく、過去の病歴や手術の経験、日常の生活習慣(例えば、飲酒や喫煙)、そして家族の健康状態についての質問などがあります。
たとえば、息が苦しいという理由で病院を訪れた場合、以前に心不全の治療を受けていたことが問診で明らかになれば、医師は心不全の再発や悪化を疑う可能性が高くなります。過去の健康状態を知ることは、現在の症状の原因を特定する上で非常に役立つ情報といえるでしょう。
また、現在服用中の薬や、過去にアレルギー反応を示した薬についても、医師に伝えてください。これは、薬の飲み合わせによる問題を避け、合わない薬を処方しないようにするためです。お薬手帳がある場合は持参することをお勧めします。
発熱外来での問診では、以下の情報が大切です。
・症状の種類(咳、鼻水、発熱など)
・症状が始まった時期
・過去に経験した病気や大きな手術
・感染症が疑われる人との接触や、感染症が流行している地域への訪問歴
問診は、医師が一人ひとりの患者に最適な治療を提供するための基盤となります。自身の健康を守るためにも、面倒くさがらずできるだけ正確で詳細な情報を提供することが大切です。
聴診
身体は、健康な時も病気の時も、さまざまな音を発しています。聴診は聴診器という器具を使って、身体の中から聞こえてくる音をチェックすることにより、健康状態を把握する診察方法です。
たとえば咳や鼻水がある時、医師は胸部の音を聴いて肺の状態を確認します。また、お腹が痛い時や吐き気がある時は、腹部の音を聴いて消化器系の問題を探ります。
発熱外来の聴診では、胸の音を聴取することが一般的です。医師は呼吸の質、音のリズム、そして何よりも異常な音がないかを確認します。異常な音は、気管支炎、肺炎、喘息などの可能性があります。
視診
視診とは、健康状態を目で確認する診察方法です。顔色、表情、身体の大きさ、皮膚の状態など、外見から得られる情報を通じて、健康状態の初期評価を行います。
たとえば、喉が痛いという方がいた場合、口を開けてもらい喉の赤みや腫れをチェックします。もし視診にて皮膚に発疹が見られる場合には、原因を調べるために皮膚の一部を採取して顕微鏡で検査するかもしれません。また、視診で関節に腫れを認めた場合は、レントゲンや超音波検査(エコー)を行うこともあります。
発熱外来では、顔色が普通かどうか(例えば、青白い、土色っぽい、唇や爪に青みがかっていないかなど)、苦しそうな表情をしていないか、意識がはっきりしていて質問に対して適切に答えられるかなどをチェックします。
触診
触診は、医師が患者の体を直接手で触れることによって病気を探る診察技術です。痛みの場所や程度、硬さや腫れなど、目には見えない身体の状態を把握します。たとえば、お腹が痛い方がいたら腹部を優しく押して、どこが痛いのか、そして押すときと離すときの痛みの違いなどを確認します。
触診は視診や問診など、他の診察法と組み合わせて行われることが一般的です。問診や視診で気になる場所があった場合、その場所を触って確かめます。たとえば、喉が痛いという症状があって視診で喉の赤さがあることがわかれば、耳の下や顎の下など唾液腺がある部分を触診して腫れやしこりがないかを確認します。
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まとめ
この記事では発熱外来を受診するべき身体の状態や症状、診察の流れについて説明しました。発熱とともに、咳、疲れやすさ、息苦しさなどの症状がある場合は、発熱外来で診てもらいましょう。発熱外来では、症状に応じて検査、問診、聴診、視診、触診などを行い診断します。検査の結果、感染症が否定された場合には詳細な検査や専門の診療科への紹介となることもあります。
発熱外来は感染の拡大を防ぐという目的を持つ特殊な場所です。もし発熱や風邪のような症状がある場合は、発熱外来を利用することで周囲の感染に配慮された状態で治療を受けることができます。
医師
田頭 秀悟
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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