酒さ(しゅさ)ってどんな症状?赤ら顔の原因や治療法を詳しく解説
更新日:2025年01月8日
酒さ(しゅさ)とは?
酒さ(赤ら顔)は、顔が赤くほてったように見える皮膚の病気です。顔の表面の細かい血管が広がり、その周りに炎症が起こることで引き起こされます。たとえば、顔の中心部、鼻や頬の周りは血管が密集しているため、赤くなりやすい場所です。
酒さの症状は主に2種類にあり、毛穴の周りに炎症が起こった場合、鼻やほほにニキビのような赤みやぼつぼつが現れることもあります。両方の症状が、同時に出ることも珍しくありません。
酒さ(しゅさ)の原因
原因はまだ完全に解明されていません。飲酒、紫外線、辛い食べ物、ストレス、運動、暑さなどが原因で悪化することがあります。それぞれの要因が異なるため、自分に影響を与える要因を特定し、それを避けることが重要です。
皮膚の免疫異常
「デモデックス」と呼ばれるニキビダニや、顔の皮膚の免疫異常とされています。日光や年齢を重ねることで毛細血管が広がり、赤みが悪化します。遺伝的な要因も大きいため、家族に同じ症状を持つ人がいる場合は発症しやすいと言われています。
血行の促進
次に、温度差や血行が関係します。冬に暖房を使うことで寒暖差が大きくなると赤みが悪化しやすく、暖房で顔がほてったように感じることもあります。また、お風呂上がりや運動後、食後、辛いものを食べた後、飲酒後など、血行が良くなる行動をした後に赤みが増す場合もあります。これらが原因でお悩みの場合は、酒さの可能性が高いです。
治療による影響
さらに、湿疹やアトピー性皮膚炎の治療でステロイドを長期間使っていたり、ニキビ治療で強めのピーリングやレーザーを続けていたりすると、酒さの原因となることもあります。
酒さ(しゅさ)の症状
顔の鼻や頬、額などが赤くなり、ニキビのような症状がでます。ただし、ニキビと違って、毛穴が詰まったり、角化したりすることはありません。皮膚が赤くなるだけでなく、ほてりやヒリヒリ感も感じることがあります。
酒さには4種類のタイプがあります。これらのタイプが複数同時に現れることがありますので、症状に応じて適切な治療や対策を取ることが重要です。
紅斑毛細血管拡張型
鼻や眉間、顎に赤みやほてりが現れます。この症状は一時的に消えたり戻ったりすることが特徴です。次第に毛細血管が広がり、赤みが持続するようになります。気温の変化や飲酒で症状が悪化しやすく、かゆみやほてり感、皮膚の敏感さが増します。
丘疹膿疱型
ニキビのような丘疹や膿疱が顔全体に広がります。毛細血管がさらに拡張し、皮脂の分泌が増えるため、肌の凹凸が目立つようになります。
鼻瘤
鼻を中心にニキビのような皮疹が集まって腫瘤を形成します。鼻の毛穴が目立ち、皮膚が赤紫色になり、「みかんの皮」のような見た目になるため、鼻が目立ちます。
眼型
約20%の方には、皮膚の症状に先行して眼の充血や異物感、かゆみ、乾燥、そしてまぶしさを感じることがあります。目に症状が出ますが、酒さの一部です。
酒さの進行は通常、4段階に分かれます。
ステージ1: 初期段階では、顔が繰り返し赤くなり、火照るような感じがします。急性反復性顔面紅斑です。20代前半に現れることがあり、血流の増加が原因と考えられています。顔の赤みは、食事や体温の急な変化、温かい飲み物やアルコールを摂取した後に起こることが一般的です。
ステージ2: 顔が常に赤い状態が続きます。顔の皮膚表面の血管が拡張し、くも状血管腫や毛細血管拡張症と呼ばれる状態が見られます。
ステージ3: 顔の赤みと火照りに加え、ニキビのような赤い丘疹や膿疱が現れます。
ステージ4: 主に男性に見られる症状で、鼻が赤く膨らみ、いわゆる団子鼻のようになることが特徴です。これは鼻瘤と呼ばれ、皮脂腺の肥大が原因になります。
酒さの治療方法
酒さには2つの主要な症状があります。一つは血管が広がって顔が赤くなる症状、もう一つは毛穴が炎症を起こして小さな赤いポツポツができる症状です。それぞれに対して異なる治療が必要です。
塗り薬を使用する
ロゼックスゲルは、2022年5月から保険適用となった抗菌薬の塗り薬になります。副作用が少なく、赤ら顔の治療に効果的です。主成分であるメトロニダゾールには抗菌作用があり、ニキビダニや寄生虫、嫌気性菌を減らします。また、抗炎症作用や免疫抑制作用もあり、酒さの症状を改善します。
ステロイドの塗り薬が原因で酒さが悪化している場合は、ステロイドの使用を中止しましょう。この際、一時的に症状がリバウンドすることがありますが、しっかり治療を続けることで改善します。再度ステロイドを使用しないように注意してください。
加えて、日焼け止め、保湿剤などの市販薬を組み合わせて使うことも大切です。
飲み薬を服用する
テトラサイクリン系抗生物質が処方されます。抗生物質は感染症の原因菌に対処するほか、抗炎症作用も持ち、酒さの症状を改善します。テトラサイクリン系抗生物質で副作用があったり、使えなかったりする場合、処方されるのがマクロライド系抗生物質です。
桂枝茯苓丸や当帰芍薬散、加味逍遥散などの漢方薬が処方されることがあります。さらに、体の熱を冷まし火照りを取る白虎加人参湯なども用いられます。
レーザー治療を行う
顔の赤みに対しては、塗り薬や飲み薬だけではあまり効果がありません。この場合、Vビームというレーザー治療が効果的です。レーザーを月に1回から3ヶ月に1回ほど行い、3〜5回の治療を重ねると赤みが改善されます。
酒さ(しゅさ)のスキンケア方法
酒さは、さまざまな要因で引き起こされる可能性があります。遺伝や生活習慣が大きく影響しているため、普段から温度差や血行に気をつけ、肌に負担をかけないようにしましょう。
紫外線対策
紫外線は皮膚にダメージを与え、症状を悪化させることがあります。日焼け止めが使えない場合でも、帽子や日傘、長袖の服を着用することで紫外線を防げます。また、日焼け止めを使う場合は、通勤や買い物などの短時間の外出でも、SPF10〜20程度の日焼け止めを定期的に塗るようにしましょう。
保湿
皮膚が乾燥すると外部の刺激に敏感になるため、保湿をしっかり行うことが求められます。化粧水を使う際は、手のひらに適量を取って顔全体になじませるか、コットンを使って優しくつけると効果的です。その後、乳液やクリームを重ねて使用することで、さらに保湿効果が高まります。保湿成分としては、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリンなどが含まれた製品がおすすめです。
洗顔
皮膚が非常に敏感になっているため、洗顔の際は泡立てた泡で優しく洗うようにし、手で強くこすらないようにしてください。化粧品を選ぶ際は、低刺激性のものを選ぶようにすると安心です。
生活習慣
日常生活では、スカーフやマフラーを使って風や冷風から顔を守りましょう。また、肌に触れる衣服には刺激の少ない素材を選び、暑すぎる環境は避けるのがベストです。
香辛料が多い食べ物やカフェイン、赤ワイン、熱い飲み物などは避けてください。自分の肌の状態と食事内容を毎日記録することで、どの要素が肌に影響を与えているのかを把握するのが効果的です。
ストレスや睡眠不足は皮膚の状態を悪化させる原因となるため、十分な睡眠とストレスを溜めない生活を心がけましょう。
酒さ(しゅさ)の症状が気になる場合は医師に相談しましょう。
酒さは湿疹や脂漏性皮膚炎、ニキビと間違うかもしれません。強い赤みやほてり、刺激感に悩む方がほとんどです。酒さは酒さがある方は、皮膚の水分が減少し、敏感肌になりやすいためケアが大切になります。
症状に悩んでいる方は、ぜひ専門の医師に相談してください。適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。
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まとめ
酒さは、皮膚の炎症や血管拡張が要因の一つです。かゆみや痛みだけではなく、見た目に影響する皮膚の症状ですが、原因を避け、スキンケアを行うことで軽減が期待できます。くりかえす場合や悪化する場合には、医療機関を受診しましょう。要因に合わせた治療が可能です。酒さの症状や原因を正しく理解し、早めの治療で肌の健康を取り戻してください。この記事が参考になれば、幸いです。
医師
高藤 円香
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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