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形成外科はどんな時にかかるべき?皮膚科との違いや診療内容について詳しく解説

監修医師 松澤 宗範
更新日:2025年01月8日

更新日:2025年01月8日

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形成外科と聞くと、美容目的の治療を連想しがちですが、そうではありません。形成外科は、傷跡ややけどの治療、先天性の体の形態異常の矯正など、幅広い症状をとり扱う診療科です。ただし、皮膚科との違いが分かりにくい方もいるでしょう。この記事では、どのような症状で形成外科にかかるべきか、皮膚科との違い、治療内容について詳しく解説します。

形成外科はどんな時にかかるべき?

形成外科は見た目をできるだけ良くすることを重視しており、ケガやヤケド、手術後の傷跡などを治療します。

 

・皮膚にできものがある

・けがをして出血が止まらない

・顔に傷を負った

・まぶたが重くて目が開けにくい

・わきの臭いが気になる

・傷跡が引きつれている

 

顔の骨折や交通事故による皮膚の損傷、乳がん手術後の乳房再建などです。腫瘍の治療や先天性の異常の治療も行います。

形成外科とは

形成外科は英語で表現した場合、プラスティックサージャリーです。「plastikos」というギリシャ語に由来しており、「造形」や「形成」を意味します。つまり、形成外科とは、失われた組織を修復し、元の形状や機能を回復させる医療分野のことです。

 

体の外表の皮膚を中心に、ケガや火傷、先天的な理由などで生じた異常を可能な限り元の状態に戻すことを専門としています。例えば、美容外科、がん治療後の再建外科、先天的異常に対する治療、褥瘡や糖尿病性足潰瘍のような難治性の傷の治療など、幅広い分野に対応しています。

 

また、日常生活で困るような問題、たとえば巻き爪や陥入爪、ホクロやできもの、魚の目やタコ、眼瞼下垂、軽い擦り傷や火傷、床ずれやおむつかぶれといった身近なトラブルにも専門的に対応できる診療科です。形成外科医は一人で全てをカバーするのは難しいですが、他の医療施設と連携し、患者に最適な治療を提供しています。

 

身体の外見的な異常や欠損を治療し、形態と機能を正常化することで、患者の精神的な劣等感を取り除くのが形成外科です。

形成外科と皮膚科の違い

形成外科は、皮膚や皮下組織、細かな神経や血管、さらには顔の骨に対する手術も行います。このため、形成外科は「外科系」と言えます。外科系というのは、手術を中心とした治療を行う分野のことです。

 

一方、皮膚科は、皮膚の病気や状態を診断し、治療することを専門としています。皮膚科では、病理診断や病態生理学に基づいて治療を行います。病理診断とは、病気の原因を特定することを指し、病態生理学は病気の進行や影響を研究する分野です。このため、皮膚科は「内科系」に近いと言えます。内科系というのは、手術よりも薬や治療法を用いて病気を治療する分野のことです。

 

形成外科の専門医であっても皮膚科の治療ができる方もいれば、逆に皮膚科の専門医であっても手術を行う方もいます。形成外科と皮膚科の領域は重なる部分もありますが、それぞれのアプローチや方法は異なることが一般的です。

形成外科で治療する皮膚腫瘍

皮膚腫瘍とは、皮膚の細胞が異常に増殖し、皮膚の表面に隆起やしこりのことです。多くの場合は、ゆっくりと大きくなるだけで無害ですが、一部の腫瘍は急激に成長し、周囲の組織を壊したり、他の部位に転移してしまうことがあります。

粉瘤(アテローム)

粉瘤(ふんりゅう)は皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍で、内部に皮脂や老廃物がたまります。初めは小さな硬いしこりとして感じますが、特に問題はありません。

 

感染していない場合、手術で腫瘍を摘出します。腫瘍の大きさに合わせた皮膚の切開を行い、皮膚と袋を一緒に取り除きます。顔にできた場合、用いられるのが、小さい切開を用いて、袋を引き出して摘出する方法です。

 

感染がある場合、軽度なら抗生剤や抗炎症剤を使って治療し、感染が治まってから摘出します。重度の感染で膿が多量にたまっている場合は、切開して膿を出し、開放治療を行います。

脂肪腫

脂肪腫は、皮膚の下にできる柔らかい良性の腫瘍です。脂肪からできているため、普通は痛みはありあせん。脂肪腫は、背中や肩、首などにできやすく、触ると柔らかく、丸みを帯びたしこりとして感じます。

 

治療法としては、手術が一般的です。腫瘍の上の皮膚を切開し、周囲の組織から丁寧に分離して取り出します。手術後は、血が溜まらないようにしっかりと止血し、必要に応じてドレーンを使って経過を見ます。脂肪吸引法も使われることがありますが、あまり一般的ではありません。

 

脂肪腫自体は目で見ても触っても境界がはっきりしていて、柔らかいので簡単に取り除けます。手術で取り除いた場合、再発することはほとんどありません。

いぼ(脂漏性角化症)

脂漏性角化症は、年齢を重ねるにつれて顔や体、腕などに現れる褐色のイボになります。最初は褐色のシミとして現れ、時間が経つと徐々に盛り上がっていくのが特徴です。良性であり、ほとんどの場合症状はありませんが、軽い痒みを感じることもあります。

 

治療方法は、局所麻酔を施して高周波メスで焼き取る方法や、メスで切り抜いて縫合する方法です。切除した場合は、顕微鏡による検査も行われ、診断を行います。また、液体窒素でイボを凍らせて取る方法もありますが、この方法では施術後に色素沈着が強く出ることが多いため注意が必要です。

ほくろ

肌に現れる色素の集まりで、小さな点から大きなものまで多様です。平坦なものや隆起したもの、黒や茶色の色合いがあり、生まれつきのほくろもあれば、後から出現することもあります。場合によっては、毛が生えたり表面がでこぼこしたりすることもあります。小さなほくろは通常、健康に問題を起こさないことが多いですが、巨大な色素性母斑は悪性化する可能性があるため注意が必要です。

 

治療は、ほくろの大きさや場所、治療方法によって異なります。小さなほくろはレーザーや電気で除去でき、大きなほくろは手術が必要になるかもしれません。手術では、ほくろを切除し、縫い合わせたり、皮膚を移植したりします。

皮膚線維腫

皮膚線維腫は、腕や足にできることが多い小さな腫瘍になります。直径が3センチ程度で、褐色や黒色をしていることが一般的です。皮膚の表面から少し盛り上がっていることが多く、触ると硬い感じがすることがあり、皮下にも広がっている場合があります。痛みや痒みがほとんどありません。虫刺されや小さなケガの後にできることがよくあります。

 

治療は、局所麻酔を施して腫瘍を取り除きます。術後すぐは赤みが目立つかもしれません。ただし、時間が経つにつれてだんだんと目立たなくなります。

軟性線維腫

柔らかい肌の部分(首や脇、鼠径など)にできる、肌色の柔らかい小さな腫瘍(しこり)のことです。これが1cm以上の大きさになると、「軟性線維腫」と呼ばれます。特に女性や少し太り気味の方にできやすく、加齢による変化の一つと考えられています。

 

小さい場合、はさみで直接切り取る方法や、液体窒素を使って凍結させる方法、そしてレーザーで焼き切る方法が一般的な治療法です。大きな腫瘍は、メスを使って切り取り、縫い閉じる手術を行います。

石灰化上皮腫

皮膚の下にできる硬いしこりで、主に若い方や子供の顔や腕に現れることがほとんどです。このしこりは毛根の細胞が原因で、しこりは硬く、時々かゆみや痛みを伴うことがあります。皮膚の直下に硬いしこりを触れることが多く、症状がないことがほとんどです。時にかゆみや痛みがあることもあり、しこりの色が黄白色や青黒く見えることがあります。

 

自然に治ることはなく、手術で摘出するのが一般的です。摘出後、顕微鏡でしこりを調べて確定診断を行います。手術は小学生以上なら局所麻酔で日帰りが可能ですが、小さい子供や大きなしこりの場合は全身麻酔が必要です。

症状が気になる場合は医師に相談しましょう。

皮膚に異常が出たり、見慣れない症状が現れたりした場合、専門の医師に診てもらうことが重要です。自己判断せずに専門家の診断を受けることで、病気や症状の早期発見と治療が可能になります。

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まとめ

形成外科は、身体の形や機能に問題がある場合に、それを直したり改善したりする診療科です。そのため、皮膚科とも協力して治療を行うこともあります。外科的治療を行ったり、美容目的だけでなく機能の回復を目的とする治療も提供します。形成外科の診療内容を理解し、自分に合った治療を受けるための第一歩を踏み出してみてください。この記事が、参考になれば幸いです。

コメント 形成外科は、外科的手法によって皮膚や軟部組織を再建・修正し、機能的・審美的改善を目指す領域です。一方、皮膚科は皮膚疾患を内科的治療や検査を中心に診療します。両者には一部重なる分野もありますが、主眼とする治療手段や目的に明確な違いがある点が特徴です。

監修医コメント

医師
松澤 宗範

形成外科は、外科的手法によって皮膚や軟部組織を再建・修正し、機能的・審美的改善を目指す領域です。一方、皮膚科は皮膚疾患を内科的治療や検査を中心に診療します。両者には一部重なる分野もありますが、主眼とする治療手段や目的に明確な違いがある点が特徴です。

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監修医師 松澤 宗範
青山メディカルクリニック院長/慶応義塾大学病院形成外科

皮膚科, 形成外科, 総合内科, 美容外科, 美容皮膚科, 先端医療, 再生医療

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
青山メディカルクリニック院長/慶応義塾大学病院形成外科 皮膚科, 形成外科, 総合内科, 美容外科, 美容皮膚科, 先端医療, 再生医療 2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
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