ユーザー向け

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 福岡 蓉佑
更新日:2024年02月29日

更新日:2024年02月29日

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
医療用医薬品セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)はご存知でしょうか?今回は消化管運動調律剤として知られるセレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)について成分の特徴や効果、副作用、市販薬との違いについて解説していきます。

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)とは

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)とは1984年に田辺三菱製薬株式会社が販売を開始した消化管運動調律剤です。

有効成分にトリメブチンマレイン酸塩を100mg(1錠中)配合しています。

 

トリメブチンマレイン酸塩はもともとフランスの製薬会社であるJouveinal社が開発した成分ですが、田辺三菱製薬株式会社が独自の合成法を確立し、1972年よりさまざまな検討評価を行いました。

その結果、トリメブチンマレイン酸塩は消化管平滑筋に直接作用して、消化管運動が低下している場合には運動を促進させ、一方で消化管運動が亢進している場合には運動を抑制するという2面的作用を持ち合わせた新しいタイプの消化管運動調律剤セレキノン錠を発売するに至ったという経緯があります。

 

では、有効成分であるトリメブチンマレイン酸塩にはどんな特徴があるのでしょうか?

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)の成分について

セレキノン錠の有効成分であるトリメブチンマレイン酸塩には腸の働きを正常化してくれる働きがあります。

トリメブチンマレイン酸塩は腸を収縮したり、弛緩したりする筋肉(消化管平滑筋)に働いてその動きを適切なレベルに調整する働きと、その筋肉(消化管平滑筋)の動きを調整する神経系(自律神経)の受容体に働きかけ、適切なレベルに調整する働きをすることで腸の運動を正常な働きに整えることができます。

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)はどんな症状に効果がある?

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)は以下の症状に効果があります。

・慢性胃炎における消化器症状(腹部疼痛、悪心、噯気、腹部膨満感)
・過敏性腸症候群

では慢性胃炎や過敏性腸症候群とはそれぞれどんな病気なのでしょうか?

慢性胃炎とは

慢性胃炎とは胃炎が慢性化したものです。80%以上がピロリ菌感染によるものとされ、ピロリ菌が胃の粘膜を傷つけることで慢性胃炎を引き起こします。

胃の粘膜が弱まっているため、治療に時間がかかることもあり、放置しておくと胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんに進行するケースもあり注意が必要です。

下記が慢性胃炎の際に起こる代表的な症状です。

・胃痛
・胃が重い
・胃がむかつく
・胸焼け
・吐き気
・腹部の張り
・食欲不振など

過敏性腸症候群(IBS)とは

お腹の痛みや調子が悪く、それと関連して下痢や便秘などお通じの異常が(排便回数や便の形の異常)が数ヶ月異常続く状態の時に最も考えられる病気です。

 

およそ10%程度の人が過敏性腸症候群と言われており、男性よりも女性が多く、年齢とともに減ってくることがわかっています。

 

特徴的な症状として、排便することで症状が和らぐことや、症状とともに排便の回数や便の形状が変わることが知られています。

過敏性腸症候群によるお腹の不快な症状の原因はストレスと言われています。

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)の用法・用量は?

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)の用法・用量は、年齢や使用する疾患によって異なります。用法・用量は以下の通りです。

<慢性胃炎における消化器症状>
通常、成人は1日量300mgを3回に分けて服用します。
なお、年齢、症状により医師が服用量を増やしたり、減らしたりすることがあります。

<過敏性腸症候群>
通常、成人は1日量300〜600mgを3回に分けて服用します。

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)の副作用

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)の重大な副作用に下記の症状があります。このような症状があらわれた場合には、すぐに服用を中止して医師、薬剤師にご相談ください。

・肝機能障害、黄疸
血液検査においてAST、ALT、γ-GTP、LDH、AI-Pの上昇や黄疸があらわれることがあります。

またそれぞれの領域ごとに起こるその他の副作用を下記に示します。

【消化器系】
<0.1%未満>
便秘、下痢、腹鳴、口渇、口内しびれ感、悪心、嘔吐

【循環器系】
<0.1%未満>
心悸亢進

【精神神経系】
<0.1%未満>
眠気、めまい、倦怠感、頭痛

【過敏症】
<0.1%未満>
発疹、じんましん、そう痒感

【泌尿器】
<0.1%未満>
排尿障害、尿閉

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)に関する注意点

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)を服用するにあたり、授乳中の方やご高齢の方は注意が必要です。

 

セレキノン錠はお薬の成分が母乳に移行することがわかっています。お薬の説明書にも「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または、中止を検討すること」との記載がありますので、授乳中の方は医師に相談しましょう。

 

またご高齢の方も注意が必要です。ご高齢の場合は一般に肝臓の機能やその他の生理機能が低下していることが多いため、服用に関しては医師に相談しましょう。

セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)と同じ成分の市販薬はある?

これまでお話ししてきた内容は、医療用医薬品のセレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)でしたが、市販薬にも主成分にトリメブチンマレイン酸塩を配合した商品は存在します。

 

以下がトリメブチンマレイン酸塩を配合した市販薬です。

・セレキノンS(第2類医薬品)
・タナベ胃腸薬<調律>(第2類医薬品)

ここからはそれぞれの商品について詳しく見ていきましょう。

セレキノンS

セレキノンSは今回ご紹介したセレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)の販売元である田辺三菱製薬株式会社が市販薬として発売している商品です。

 

特徴としてセレキノンSは市販薬で唯一の過敏性腸症候群(IBS)再発治療薬になります。

セレキノンSは医療用医薬品のセレキノン錠と同様にトリメブチンマレイン酸塩を1錠中に100mg配合しています。しかしながら購入の際に注意しなければならない点がいくつかあります。

 

効能は過敏性腸症候群に限られている
市販薬として販売されているセレキノンSには効能として「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和:腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は交互にあわられる下痢又は便秘」と記載があります。

 

つまり今回ご紹介した医療用医薬品のセレキノン錠が持つ「慢性胃炎における消化器症状」に対しては効能を持ちません。そのため、市販薬のセレキノンSは過敏性腸症候群の再発の方しか購入することができないので注意しましょう。

 

以前に医師から過敏性腸症候群の診断・治療を受けた方のみ購入できる
市販薬として販売されているセレキノンSは過敏性腸症候群の再発症状改善薬です。過敏性腸症候群の特徴として繰り返す下痢や便秘症状があります。

 

しかし、繰り返し起こる下痢や便秘症状には「大腸ガン」や「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などの大きな病気が隠れている場合もあるため、以前に医師から過敏性腸症候群の診断・治療を受けた方のみ購入できる商品となっています。

 

過敏性腸症候群かもしれないと感じる方は、まずはお近くの医療機関を受診してみましょう。

タナベ胃腸薬<調律>

タナベ胃腸薬<調律>はこちらも今回ご紹介したセレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)の販売元である田辺三菱製薬株式会社が市販薬として発売している胃腸薬です。

 

タナベ胃腸薬<調律>は有効成分のトリメブチンマレイン酸塩を1錠中に50mg配合しています。医療用医薬品のセレキノン錠と比べると1錠あたりに配合されているトリメブチンマレイン酸塩の配合量は半分になっています。

 

しかし、タナベ胃腸薬<調律>にはトリメブチンマレイン酸塩以外にも胃酸の分泌を抑えるロートエキスや胃酸を中和する炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、食べ物の消化を助けるビオヂアスターゼ2000、リパーゼAP6、粘膜の炎症を抑えるカンゾウ末が配合されており、さまざまな胃腸の悩みに対してサポートできる処方になっています。

 

そのため、タナベ胃腸薬<調律>は下記の様々な胃の不調に対して効能を持ちます。
・胃もたれ、胃部膨満感、胃重
・はきけ(胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき)、胃部不快感
・食べすぎ、飲みすぎ、消化促進、消化不良による胃部・腹部膨満感
・食欲不振、胃弱、消化不良、胸つかえ
・胃痛、胸やけ、胃酸過多、げっぷ、嘔吐

 

ただし、タナベ胃腸薬<調律>はあくまでも上記の効能に限られています。慢性胃炎や過敏性腸症候群に対しての使用はできませんので、胃の不調が長く続いていたり、過敏性腸症候群の可能性がある場合には医師に相談してみましょう。

参考資料

セレキノン錠/添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400315_2399006F1331_1_06
セレキノン錠/医薬品インタビューフォーム
https://medical.mt-pharma.co.jp/di/file/if/f_cek_a.pdf
慢性胃炎(萎縮性胃炎)の原因と治療方法について/美馬クリニック内科
https://www.mima-naika.com/gastritis/
胃炎(慢性胃炎・萎縮性胃炎)の治療/症状(胃痛・胸焼け)/さいたま市南区の南浦和にある牧野医院
https://www.makino-iin.com/gastritis/
過敏性腸症候群(IBS)の症状と対策/セレキノンS(IBSの再発症状改善薬)/田辺三菱製薬
https://hc.mt-pharma.co.jp/site_cerekinon/about/
過敏性腸症候群(IBS)ガイド/患者さんとご家族のためのガイド/日本消化器学会ガイドライン
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/ibs.html
製品情報/セレキノンS(IBSの再発症状改善薬)/田辺三菱製薬
https://hc.mt-pharma.co.jp/site_cerekinon/info/
タナベ胃腸薬<調律>/田辺三菱製薬ヘルスケア
https://hc.mt-pharma.co.jp/choritsu/digestive.html

最近ではオンライン診療を行っている病院も増えており、誰でも気軽に相談できるという状況が生まれています。

 

オンライン診療は、
・受付や会計の待ち時間が短縮される。
・自宅や外出先で診療が受けられる。
・院内処方の場合くすりが自宅に届く。
・院内感染・二次感染のリスクがない。
などのメリットがあり、非常に便利なサービスです。

 

SOKUYAKUでは、多数の診療科目や全国から病院を探すことができます。

 

また、新型コロナウイルス感染症の検査は、医療機関以外の自宅でも実施が可能です。

 

SOKUYAKUで、ビデオ通話にて診療をご受診頂き、PCR検査をご希望の場合は、SOKUYAKUからご自宅で唾液採取して頂く検査キットをご注文頂けます。

横にスライドしてください

周辺への感染の可能性を配慮して外出を控えたいやその他事情により、病院に行くことが難しい場合は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。

当コラムの掲載記事に関するご注意点

  • 当コラムに掲載されている情報については、執筆される方に対し、事実や根拠に基づく執筆をお願いし、当社にて掲載内容に不適切な表記がないか、確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。
  • 当コラムにおいて、医療及び健康管理関連の資格を持った方による助言、評価等を掲載する場合がありますが、それらもあくまでその方個人の見解であり、前項同様に内容の正確性や有効性などについて保証できるものではありません。
  • 当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。
  • 前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任を負うものではありません。
セレキノン錠(トリメブチンマレイン酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。
監修薬剤師 福岡 蓉佑
ドラッグストア薬剤師を4年間経験した後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
オンライン診療アプリ
SOKUYAKUの使い方
  • STEP1

    診療予約

    SOKUYAKUの使い方STEP1
  • STEP2

    オンライン問診

    SOKUYAKUの使い方STEP2
  • STEP3

    オンライン診療

    SOKUYAKUの使い方STEP3 SOKUYAKUの使い方STEP3
  • STEP4

    オンライン服薬指導

    SOKUYAKUの使い方STEP4 SOKUYAKUの使い方STEP4
  • STEP5

    おくすり配達

    SOKUYAKUの使い方STEP5

    ※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。

SOKUYAKUメディカルコラム