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新型コロナウイルス感染症で咳症状が出る原因とタイミングを紹介

監修医師 木村眞樹子
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

新型コロナウイルス感染症で咳症状が出る原因とタイミングを紹介のイメージ
新型コロナウイルス感染症は呼吸器感染症の一種で、その呼吸器感染症の典型的な症状として咳があります。ただし、咳といっても原因やタイミングはいつも同じではありません。今回は、新型コロナウイルス感染症による咳について詳しく解説します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の典型的な症状

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は新型コロナウイルス(SARS−CoV−2)に感染することで引き起こされる呼吸器感染症の一種です。

 

SARS-CoV-2に感染してから症状が出るまでの潜伏期間と呼ばれる期間は1~14日間ほどと考えられており、特に5日程度で症状が現れると言われています。

 

COVID-19は無症状のまま経過する場合もありますが、発熱・咳・咽頭痛・頭痛・倦怠感などの一般的な感冒やインフルエンザに似た症状だけでなく嗅覚障害や味覚障害といったCOVID-19特有の症状が出ることもあります。

 

米国ではCOVID-19感染者37万人を対象とした調査では、上記のCOVID-19の症状の中でも咳が出た患者が全体の50%で最も多く、次いで発熱が43%、筋肉痛と頭痛がそれぞれ36%と34%であったことが分かっています。

 

一方で、同じ調査の中で感冒やインフルエンザのときには比較的多くの患者で認められる鼻汁はCOVID-19の場合だと6%にとどまっています。

 

以上よりCOVID-19の患者に現れる症状として咳が多いことが分かったため、ここからは咳についてさらに詳しく解説していきます。

咳が出やすい疾患

COVID-19の症状として咳を認める頻度が高いことは既に紹介しました。ここでは、COVID-19以外に咳が出やすい疾患をいくつか紹介します。

風邪症候群

いわゆる「風邪」や「感冒」のことを指し、病原性を持つウイルスや細菌により引き起こされる感染症です。

 

風邪症候群の原因となる病原体はライノウイルス・RSウイルス・アデノウイルス上・一般細菌などです。

 

気道や下気道で急性炎症を引き起こすことで咳・発熱・鼻汁などの局所的な症状が現れます。一般的な風邪症候群では1週間ほどで症状が治まります。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスを病原体とする感染症です。一般的には先ほどの風邪症候群と比較して強い症状を認め、筋肉痛や関節痛といった全身性の症状が出ることもあります。

 

咳を含め、基本的に発症から1週間ほどで症状は治まります。また、インフルエンザに対しては効果的な治療薬がいくつか開発されているため、早めの受診・治療開始が大切です。

アレルギー

喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)といったアレルギー反応が原因で起こる疾患でも咳が出ることがあります。

これらの疾患はCOVID-19の重症化のリスクが高いと考えられているため、適切な治療を受けるとともに感染予防対策も行うことが大切です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で咳が出る原因

COVID-19としての咳は症状の経過によって咳が出る原因が異なる可能性があります。ここからは、現段階で分かっている範囲で各経過ごとに咳が出る原因を整理します。

初期症状としての咳

この段階での咳は一般的な呼吸器感染症と同様のメカニズムで咳が出ていると考えることができます。具体的には、気道に付着したウイルスを異物として認識し、その異物を排除するためのいわゆる咳反射による咳を指します。

重症化したときの咳

COVID-19は症状が出た患者のうち約80%が軽症のまま回復するといわれていますが、経過とともに重症化してしまう場合もあります。

 

COVID-19の重症化にはサイトカインストームと呼ばれる免疫機能の暴走が関与していると指摘されています。このサイトカインストームによって肺炎が引き起こされ、肺炎による臨床症状として咳が出ることがあります。

 

COVID-19で肺炎が生じてさらに重症化すると、急性呼吸窮迫症候群(ARDS:Acute Respiratory Distress Syndrome)と呼ばれる呼吸不全の一種に陥ることがあります。

後遺症としての咳

COVID-19の後遺症として生じる咳を含めた多くの症状が起こる明確な原因は未だに明らかになっていませんが、SARS-CoV-2の感染により肺胞上皮細胞や肺組織の血管周囲に免疫反応による炎症が起きたことが原因のひとつとして考えられています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で咳が出やすいタイミング

COVID-19は先ほど紹介したように、大きく分けて3つのタイミングでそれぞれ原因が異なる咳が出やすくなります。

初期症状として咳が出る場合

冒頭で紹介したように、COVID-19の典型的な症状のひとつとして有症状者の半数で咳が出ると言われています。

 

SARS-CoV-2に感染した後の潜伏期間を経てCOVID-19の軽症患者が症状を発症するときに出る咳は発症から一般的に1週間ほどで消失します。

重症化したときに咳が出る場合

発症から1週間ほどでCOVID-19の症状が治まらずに中等症・重症と重症化していくと初期症状としての咳とは異なる原因で咳が出てきます。

 

SARS-CoV-2が血管に侵入し全身へ感染が拡大してしまったときなどによってADRSが起きたときは咳が出るだけでなく非常に危険な状態であるため、適切な治療が必要になります。

後遺症として咳が長引くことも

COVID-19では後遺症としての咳も問題になっています。日本人を対象として聞き取り調査の結果から、COVID-19の症状を発症してから4ヶ月後でも2~11%の方が咳をはじめ呼吸困難感・倦怠感・味覚障害といった症状を自覚していることが明らかになっています。

咳が出たときに取るべき行動

ここからは、COVID-19の初期症状として咳が出た場合にどのように対応すれば良いか、そのとき取るべき行動の一例を紹介します。

自己判断は控える

COVID-19の可能性を疑うような状況で咳が出ている場合は特に自己判断による行動は控えてください。

 

例えば、自己判断により咳症状を放置した結果、COVID-19の重症化に繋がる可能性がゼロではないばかりか、周囲の人に感染を拡げるおそれもあります。咳が出てきた場合は放置をせずにかかりつけ医へ電話で相談してみると良いでしょう。

かかりつけ医や相談センターに連絡

以下に該当する場合はかかりつけ医もしくは各自治体の相談センターに相談してください。

・高熱・呼吸困難・強い倦怠感などの症状がある方
・発熱や咳など比較的軽い感冒症状がある高齢者、糖尿病・心不全・呼吸器疾患などの基礎疾患がある方、透析治療を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤による治療を受けている方
・上記以外で比較的軽い感冒の症状が続いている方
これらのいずれかに該当する場合は感染拡大を防ぐために電話で相談してください。また、まずはかかりつけ医がいる方はかかりつけ医へ連絡し、かかりつけ医がいないもしくは連絡先が分からない場合に各自治体の相談センターへ連絡しましょう。

感染防止対策の徹底

COVID-19を疑うような咳症状が出た時は外出しないことを前提としますが、同居家族への家庭内感染を防ぐためにも以下の感染対策を今一度確認・徹底していきましょう。
・マスクを正しく着用
・こまめな手洗い・手指消毒
・3密(密着・密集・密閉)の回避

まとめ

今回はCOVID-19によって起こる症状の中でも、咳に着目して詳しく解説しました。同じ咳でも、COVID-19の経過によって原因が異なると考えられており、特になかなか治らない咳には注意が必要です。

 

COVID-19の症状は咳だけではありませんが、まずは咳が出る原因やタイミングを理解していきましょう。

参考資料
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5.3版(2021年8月31日改訂)|厚生労働省
かぜ症候群|一般社団法人日本呼吸器学会
People with Certain Medical Conditions|Centers for Disease Control and Prevention
Confronting COVID-19-associated cough and the post-COVID syndrome: role of viral neurotropism, neuroinflammation, and neuroimmune responses
Post-COVID Conditions|Centers for Disease Control and Prevention
Post-discharge persistent symptoms and health-related quality of life after hospitalization for COVID-19
Prolonged and Late-Onset Symptoms of Coronavirus Disease 2019
急性呼吸窮迫症候群(ARDS) – 07. 肺と気道の病気 – MSDマニュアル家庭版

最近ではオンライン診療を行っている病院も増えており、誰でも気軽に相談できるという状況が生まれています。

 

オンライン診療は、

・受付や会計の待ち時間が短縮される。

・自宅や外出先で診療が受けられる。

・院内処方の場合くすりが自宅に届く。

・院内感染・二次感染のリスクがない。

などのメリットがあり、非常に便利なサービスです。

 

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監修医師 木村眞樹子
現役医師、産業医 10年以上大学病院で臨床に従事、産業医として企業の健康経営にも携わる 2019年より医療ライターとしても活動している
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