不眠症には漢方が効果的って本当?効果的な漢方薬を詳しく解説
更新日:2024年09月24日
不眠症を治したいけど、一般的な薬では効果を感じられなかったり、睡眠薬を使うのには抵抗がある方も多いかもしれません。そんな場合には、漢方薬を検討しましょう。
漢方薬は、体全体のバランスを整え、不眠症の根本的な原因に働きかけると言われています。しかし、どの漢方薬が効果的なのかを知ることが重要です。この記事では、不眠症に対して効果的な漢方薬について詳しく解説し、その選び方や使用方法をご紹介します。質の良い睡眠を取り戻すためのヒントを見つけましょう。
不眠症には漢方が効果的って本当?
漢方薬は不眠症に対して効果的な場合があります。漢方薬は直接的に眠りを誘発するのではなく、不眠の原因を解消することで自然な形で睡眠を促します。体質や症状に応じて処方されるため、個々の状態に合わせた治療が可能です。
不眠症とは
誰でも一度は「眠れない夜」を経験したことがあると思います。心配事があったり、試験の前日だったり、旅行先で環境が変わったりすると、眠れなくなることがありますが、通常は数日から数週間でまた眠れるようになります。
しかし、長期間にわたって眠れない状態が続くことがあり、これが不眠症です。不眠症になると、日中に疲れやすくなったり、やる気が出なかったり、集中力が低下したり、気分が落ち込んだり、頭が重く感じたり、めまいや食欲不振などの症状が現れます。不眠症は、夜に眠れないことが続き、日中に精神的や身体的な不調を感じて生活の質が低下する状態です。
実は、不眠症はとても一般的な問題です。成人の30〜40%が何らかの不眠症状を経験しており、特に女性に多いです。慢性的な不眠症は成人の約10%に見られ、年齢を重ねると不眠症状は増加し、60歳以上では半数以上の人が不眠症状を抱えています。
不眠症は不眠そのものだけではなく「日中に不調が出現する」ことが問題です。眠りが浅く感じられても、昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。睡眠時間が短いことや目覚めの回数にこだわりすぎないことが大事です。
不眠症の原因
不眠症の原因はストレスや精神疾患、神経疾患、アルコール、薬の副作用などさまざまです。
ストレス
ストレスや緊張は、リラックスして眠ることを妨げます。特に神経質で真面目な性格の人は、ストレスを強く感じやすく、不眠に陥りやすいため注意しましょう。
身体の病気
高血圧や心臓病、呼吸器疾患、腎臓病、前立腺肥大、糖尿病、関節リウマチ、アレルギー疾患、脳出血や脳梗塞など、さまざまな身体の病気が不眠を引き起こします。これらの病気の治療を優先しましょう。
心の病気
うつ病などの心の病気も不眠を伴うことが多いです。気分の落ち込みや意欲の減退などの症状が見られる場合は、専門医の診察を受けることが重要です。
その他の睡眠障害
睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)など、睡眠中の呼吸異常や四肢の異常運動が原因で不眠になることもあります。
薬や刺激物
降圧剤や甲状腺製剤、抗がん剤などの治療薬が不眠を引き起こすことがあります。また、カフェインやニコチンなどの刺激物も安眠を妨げます。
生活リズムの乱れ
交替制勤務や時差ボケなどで体内リズムが乱れると、不眠を招きます。現代社会では昼夜の区別が曖昧になりがちで、睡眠リズムが狂いやすいです。
環境
騒音や光、寝室の温度や湿度が適切でない場合も、不眠の原因となります。
漢方における不眠とは
漢方では、不眠や不眠症の原因を「気・血・水(き・けつ・すい)」の流れが悪くなっていることと考えます。これらは体のバランスを保つために重要です。
ストレスなどで「気」の流れが悪くなると、イライラや不安が生じ、不眠につながります。また、「血」の流れが悪いと体が冷え、手足の末端が冷たくなり、寝つきが悪くなったり、熟睡できなくなったりします。
気滞:不安感による不眠
気滞とは、生命エネルギーや気持ちの流れが悪くなり、気が滞ってしまう状態です。この状態になると、不安感が増し、それが原因で眠れなくなることがあります。
気逆:神経過敏による不眠
気逆とは、気が通常の流れとは逆方向に流れてしまう状態です。通常、夜になると気が体内の熱を鎮めてくれるため、自然に眠りにつけます。しかし、気逆の状態ではこの熱をうまく鎮められず、その結果、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりすることがあります。
気血両虚:体力不足による不眠
気血両虚とは、体内の気や血が不足したり、その働きが低下したりしている状態です。このため、睡眠に必要なエネルギーが不足し、疲れているのに眠れなかったり、深い眠りにつけなかったりすることがあります。
漢方薬で不眠治療を行うメリット
漢方薬による不眠治療は、直接的に眠りを誘うのではなく、不眠の原因に働きかけて改善を目指します。たとえば、気の巡りが悪い「気滞」の場合は、気の流れを良くする漢方薬を使用し、イライラが原因の不眠には、心を落ち着かせる漢方薬を選びます。これにより、自然な形で不眠を改善し、睡眠薬に頼らずに済むかもしれません。
一方、西洋医学では、まず不眠の原因を取り除き、眠りやすい環境を整えることから始めます。たとえば、寝具や寝室の環境を整えたり、リラックスする方法を取り入れたり、カフェインを控えるなどが不眠への対策です。それでも改善されない場合は、睡眠薬の使用や精神療法を行うこともあります。
不眠症に効果的な漢方薬6選
眠れない状態の人は、他にも様々な不調を抱えていることが一般的です。漢方では、全身のバランスを整えることで改善を目指します。そのため、眠れない以外の症状や体質に合わせて、適切な漢方薬を選びます。
人参養栄湯
人参養栄湯(にんじんようえいとう)は、食欲がなく体がだるいときに使われる漢方薬です。特に手足の冷えや貧血がある方、年齢を感じやすくなった方に適しています。
漢方医学では、生命エネルギーを「気」、全身に栄養や熱を運ぶものを「血」と呼びます。年齢を重ねると食欲が落ち、栄養をうまく消化・吸収できなくなるため、「気」や「血」が不足しがちです。人参養栄湯は、胃腸の働きを高めて「気」や「血」を補い、体を温めることで、食欲不振やだるさなどの症状を改善します。
病後や手術後の体力低下、疲労感、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血などに効果があります。
酸棗仁湯
酸棗仁湯(さんそうにんとう)は、心身の疲れからくる不眠に対して、穏やかに作用する漢方薬です。疲れているのに眠れないときに使われますが、西洋の睡眠薬のようにすぐに効くわけではありません。この漢方薬には、5つの生薬が含まれ主成分の酸棗仁は、精神を安定させる効果があり、不安や不眠、動悸を和らげると言われています。
酸棗仁湯は、特に心身ともに疲れて体力が低下している人の不眠に用いられます。慢性疾患で消耗している人や高齢者など、非常に疲れているのに眠れない、夜になると目が冴えてしまうといった場合に効果的です。また、常に疲れていて、些細なことが気になって眠れないときにも有効とされています。
帰脾湯
帰脾湯(きひとう)は、心身ともに疲れを感じる方に向けた漢方薬です。特に、精神的な疲れや不眠、動悸、健忘、不安感などの症状を改善するために使われます。この薬は、心と脾(消化器系)の両方の機能をサポートすることで、全体的な健康を促進します。
帰脾湯を使用することで、眠りが浅く夢をよく見る、夜中に何度も目が覚めるといった不眠症状や、日中に眠気が強くなる症状の改善が期待できる薬です。
加味帰脾湯
加味帰脾湯(きひとう)は、消化器の働きを助けながら、不足している「血」を補い、不眠を改善する薬です。夜になると、「気」というエネルギーから生じる熱を鎮めることで眠りにつきます。しかし、「血」が不足していると、この熱を十分に鎮められません。昼と夜の区別がつきにくくなるため、浅い眠りが多くなり、すっきりしない状態が続くことがあります。
この薬は、「血」を増やし、「気」の巡りを良くすることで、気持ちを落ち着かせ、精神を安定させる効果があります。この薬は、血色が悪く、貧血気味で、精神的なストレスや不安、不眠、焦りなどの症状がある方や、胃腸の調子が悪い方に使われます。
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、ストレスや不安感、イライラを和らげるための漢方薬です。高血圧に伴う動悸や不安、不眠、神経症、更年期の神経症、小児の夜泣き、便秘などの症状を改善する効果があります。ストレスによって気の巡りが悪くなり、不安やイライラが生じる場合に、この薬が役立ちます。
仕事や家庭、人間関係などで不安を感じ、高血圧や不眠に悩む方に特におすすめです。柴胡加竜骨牡蛎湯は、心身のバランスを整え、日常生活の中で感じる不安やストレスを軽減する助けとなります。
抑肝散加陳皮半夏
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)は、神経が高ぶりやすく、イライラしやすい方向きの漢方薬です。この薬は、「肝」という概念に基づいています。「肝」は、精神や自律神経の働きを含む広い意味を持ちます。「肝が高ぶる」とは、精神が高ぶり、怒りやすくなる状態になります。
「抑肝散加陳皮半夏」は、「肝」の高ぶりを抑える「抑肝散」に、「陳皮」と「半夏」を加えたものです。この薬は、自律神経を調整しながら、血液の流れを良くし、ストレスによる身体への影響を和らげ、胃腸の働きを整える効果もあります。神経症、不眠症、小児の夜泣きや神経過敏、更年期障害、月経や妊娠、出産、更年期に伴う精神不安やイライラなどに効果があります。
自分に合う漢方が分からない場合は医師に相談しましょう
漢方は、個々の体質や症状に合わせて選ぶことが重要です。専門の医師に相談することで、最適な漢方薬を見つける手助けになります。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
不眠で悩んでいて病院を受診したくても、忙しくてなかなか病院を受診する時間がつくれないこともあるでしょう。そんな場合には、オンライン診療が良いかもしれません。
オンライン診療とは
オンライン診療は、自宅にいながらインターネットを通じて医師の診察を受けられるサービスです。スマートフォン、タブレット、パソコンなどのデバイスを使って、ビデオチャットで医師と直接話せます。このサービスでは、診察の予約、問診、診断、薬の処方箋の発行、そして支払いまで、すべてオンラインで完結します。
SOKUYAKUとは
SOKUYAKUはオンライン診療をより便利にするための多機能なサービスです。予約からお薬の受け取りまで、すべてのステップがアプリを使って簡単に進められます。
専門スタッフのサポートがあり、お気に入りのクリニックや薬局を登録することも可能です。また、お薬手帳をデジタル化でき、全国どこでも当日または翌日にお薬を受け取れます。
まとめ
不眠症に対する漢方薬の効果について詳しく説明しました。漢方薬は、個々の体質や症状に応じて選ぶことが重要です。適切な漢方薬を使用することで、睡眠の質を向上させることが期待できます。
不眠症でお悩みの方は、この記事を参考にして、自分に合った漢方薬を見つけ健やかな眠りを取り戻しましょう。専門家のアドバイスを受けながら、無理のない方法で改善を目指してください。
医師
中路 幸之助
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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